【東京2020サッカー男子まとめ】~課題は監督のマネジメント能力~
日本のオリンピックが終わった。3位決定戦はメキシコに力負けし53年ぶりのメダル獲得はならなかった。「史上最強」と謳われ、高いポテンシャルを持った選手を揃えた日本五輪代表だったが、スペインやメキシコといった強豪と比べた時、技術や戦術面でまだまだレベルの差を感じた。
メダルまで「あと一歩」。でもその「あと一歩」はまだまだ遠い印象だった。日本サッカーのリアルな実力を知れたという意味ではとても価値ある大会だったと思う。
ただ今大会最も気になったのは森保監督のマネジメント能力である。メダルを獲るためには2週間で中2日のハードスケジュールの中、6試合戦わなければならない。チーム戦術や個人の能力以上にマネジメント力が試される条件である。
まずはコンディションのピークをどこに持っていくか。大会前最後のテストマッチだったスペイン戦、ユーロの疲労と移動もあり調整中の感が強かったスペインに対し、日本のコンディションは非常に良かった。結果は1-1。確かに本番に向け期待の持てる結果ではあったが、大会前に出来上がり過ぎではないかと不安を覚えた。
そしてオリンピック本大会、日本は素晴らしいパフォーマンスでグループリーグ3戦全勝で勝ち上がった。だがそこで力を使い過ぎた。前にも書いたが日本の目標はグループリーグ突破ではない。メダルが目標ならばペース配分を考えた戦いが必要だったはずだ。
2戦目のメキシコ戦は前半で2点リードしても攻め続け、フランス戦は引き分けでも首位通過できる試合だったのにも関わらずローテーションに踏み切らず全力で勝ちに行った。この2試合で主力を休ませるチャンスをみすみす逃したと思う。
また大きな大会では、控え選手の活躍によりチームが勢いに乗ることがよくある。信頼してチャンスを与えれば選手は期待に応えようとする。そうやってベンチメンバーも含めパフォーマンスが上がってくるとチームにはオプションが増える。3位決定戦での三笘の活躍を見ると、もっと早い段階でチームにフィットさせられなかったのか?と考えてしまう。森保監督は久保、堂安など一部の選手に頼り過ぎていた。三好も違いを生める選手だけにもっとチャンスを与えて欲しかった。本人もきっと不完全燃焼だろう。
そもそも選手選考に問題はなかったか。最終的に22人の登録メンバーの中、森保監督はディフェンスの選手を9人選んでいる。これにはかなり疑問を感じる。結果的にそのうち2人、瀬古と町田は戦力外扱いだったからだ。
右SBの橋岡、左SBの中山はCBができる。そもそもあまり代えることのないポジションに2人も交代要員がいるにも関わらずさらに2人選んでいる。そして使わない。冨安がケガと累積警告で出場できなかった試合に起用したのは板倉。なんのために瀬古と町田は呼ばれたのだろう。
またCMFもできる板倉をCB起用することにより遠藤と田中の交代ができない。さらには中山雄太もCMFができるが、旗手をSMFで多用することにより外せなくなる。ユーティリティ性の高い選手が何人もいるにも関わらず全く生かすことができていなかった。こんなことなら瀬古、町田の代わりに中盤の選手を選んでおけば遠藤と田中蒼の負担も減らすことができただろう。
正直来年のワールドカップに出場できたとしても、森保監督ではこれまで以上の結果は望めない気がする。オリンピックほどにはハードなスケジュールではないが、ワールドカップにおいても繊細なマネジメントが必要になってくる。
そもそも森保監督には求心力はあるのだろうか。オリンピックではいつも円陣の中心には吉田麻也がいて、森保監督が選手を叱咤激励している様子は見えなかった。3位決定戦のメキシコ戦の後も、森保監督がインタビューを受けている間に吉田が選手を集めて総括をしていた。実際のところ選手に相手にされていないのではないだろうか。
意地悪な言い方をすると、選手として海外での実績もなく、ワールドカップに出場したこともない森保監督を今の代表選手たちがリスペクトしているとは思えない。監督としても普段戦っているクラブチームの監督の方がレベルが高いだろう。
あと1年で森保監督が成長するとは思えない。戦術的オプションも作れず、マネジメントもできない監督とこのまま心中するのだろうか。
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