誰かに出会って何かが起きる
必要な人のもとへ神様が連れて行ってくれる。
具体的な課題も現れる。
決めると起きること。
誰かに自分を与えて乗り越える。
ひとりでどうにかするのは不可能なのだ。
原理的に。
ひとりでどうにかしたと思っていることですら。
支えてくれた人が必ずいる。
影に日向に。
力一杯じゃなくていい。
目標をひとつ、想う程度でいい。
でも、決める。
すると、誰かに出会って何かが起きる。
世界に戻るんだと決めていた。
だから、必要な人に出会い、しなきゃいけないことも現れた。
何度も。
病状はとても深刻だったし、まだ機能不全も障害も残っているけど。
夏のある日、決めた。
復職すると。
リハビリセンターの作業療法士さんに、症状をよく理解してくれる人がいる。
一般的な誤解にはまらないで見てくれている。
医療保険制度の日数制限で病院での治療終了以降、なんとかやってこれたのは、この人のお陰に他ならない。
そもそも、麻痺で曲がらず全く出なかった左手握力に光明がさしたのは、彼がきっかけ。
入所当初、握力計を左手で持てなかった。
だけど一年以上経った先日、4キロ出力した。
興味深いのは、復職の本当に大きな動機をくれたこと。
彼の仕事から、復職と継続の支えである、主治医外来に通う流れが出来たこと。
誰かに出会って何かが起きる。
準備期間およそひと月、急激に忙しくなった。
必要なことが、解決しておくべきことが、次から次へとやってきた。
身体があまり動かなくて、放置せざるを得なかった仕事机を片付け始めることから。
でも、苦痛ではない。
むしろ、よろこびに溢れていた。
自分を与えていけることは、こんなにも嬉しいことかと、ひしひしと感じていた。
復職して、ひと月経った。
「何を与えていくか」にもう一度直面している。
同時に痛感するのが、今の自分には「何が出来ないか」。
身体機能を失っての復職。
回復傾向にせよ、当然、病前と同じことは出来ない。
リハビリも、継続している。
主治医外来で理解した、自律神経の機能低下は自分が想定していたよりずっと大変だった。
例えていうなら。
家の、基礎的なインフラが弱っている感じ。
水周りの流れが悪い。
温度を下げる機能が働かず、すぐに灼熱になる。
電気を消せない。
つきっぱなしで、逆に停電の原因になる。
過度に機能が働いて、さらに負荷がかかる。
じっと落ち着くのを待つしかない。
だけど、決めたから。
誰かに出会って何か起きる。
主治医は急性期、私が死にかけてる姿をずっと診てくれてた人。
本当に偶然だったけど、再会出来てようやく、理解できたことがある。
生活動作やリハビリを頑張り過ぎてしまうのは、後遺症が把握しきれなかったから。
なんでこんな簡単なことで動けなくなるのだろう。
なんでこんな軽い負荷で息切れするのだろう。
なんでこんな短い距離を歩けないのだろう。
なんでこんなに暑さが苦しいのだろう。
頑張りが、足りないのかな。
でも、違った。
出来なくて当然だった。
頑張り方を間違えていたのだ。
症状を主治医が理解してくれている。
私にも理解出来るように教えてくれる。
だから。
「焦らなくて大丈夫」
「今日出来なくても次がある」
「これ以上はしない方がいい」
とわかるようになった。
「もうひと頑張り」をするか否かの判断。
一度立ち止まって考えられるようになった。
リスク想定と、対処法まで。
瞬時にシュミレーションできるようになった。
見守られているからこそ。
心を病ませる孤独とは無縁。
本当に幸運だ。
ため息をつきたくなることも正直あるけど。
工夫の余地が見えてくる。
いくらでも。
立ってるからしんどくなるのかと思ってた。
でも、座っているだけでも負荷がかかるらしい。
血液を頭に回そうとして、自律神経が頑張ろうとするらしい。心臓より上に頭があるだけで。
横になってできる環境を増やした。
負荷を軽減するために。
頭と心臓が同じ位置になる姿勢。
具体的には文章の推敲と、読書や資料読みの環境。
座って頑張らなくていい。
横になれれば負荷も低くなる。
ぐっと障害者っぽくなるけど。
障害者なのは事実。
出てくるインスピレーションもたくさんある。
横になると、頭に血液が行きやすい。
酸素が供給されてるのか。
出来ることが一気に増えた。
誰かに出会って何かが起きる。
2019年。病気になる前年。
講演会で年間１位を頂いた。
また、講演したいなぁと思う。
動画を作りたいと考えた。
時間はきっとかかる。
コンテンツの企画も考えなければならない。
事務所と相談もしないといけない。
カウンセリングも増やしたい。
執筆ももっとしたい。
どれも、まだ無理だ。
だけど。
誰かに出会って何かが起きる。
必要な人のもとへ神様が連れて行ってくれる。
自分を与える。
分かち合う。
全身全霊で。
扉が開く。
☆
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