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希望の糸(著者:東野圭吾)

著作者:東野圭吾 発行所:株式会社講談社 2022年7月15日発行
 
殺人事件が発生した。被害者は、目黒区自由が丘の喫茶店「弥生茶屋」の経営者「花塚弥生(はなづかやよい)」。年齢は五十一歳。『結婚歴はあるが、現在は離婚していて独り暮らし、子供はいない。栃木県宇都宮市の出身で、その地には今も両親が住んでいる。』
 
刑事の松宮脩平は、被害者の関係者からの聞き取りを行う。「あんないい人はいない。」と誰もがいった。誰かから憎まれたり恨まれたりするような人ではなかった。『被害者の花塚弥生さんは、みんなから慕われ、愛されていた。』
 
弥生茶屋の常連客のリストに一人だけ男性がいる。汐見行伸(しおみゆきのぶ)である。行伸は十数年前に新潟の地震で二人の子供を失っている。当時、小学6年生の絵麻と小学4年生の尚人である。妻の怜子は、『仕事をしなくなった。自宅に閉じこもり、子供たちの写真や、彼等が書き残した学校のノートなどを眺めて過ごしていた。泣くことは少なくなった。涙は涸(か)れてしまったのかもしれない。行伸がいない時にはまともに食事を摂(と)っていないらしく、みるみる痩せていった。』
 
行伸は、生活を改善するため、子育てをやり直すことを提案し、怜子は不妊治療を受ける。そうして生まれたのが、萌奈という女の子だった。
 
萌奈の成長とともに家の中に笑い声が戻った。しかし、悲劇は再び訪れる。怜子が白血病になり、亡くなる。2年ほど前のことである。行伸と萌奈との関係は、日に日に悪化する。
 
萌奈と花塚弥生には、ある関係があることが、判明する。それは何か。殺人事件の犯人は誰か。犯行の動機は何か。親と子の繋がりを軸に物語は展開されていく。
 
注:『』は引用文
 


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