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「成功したければ本を読め」という詭弁

表題。読書好きの皆さん、成功してますか?僕はしてません。

最近、堀元見さんの「ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律」みたいな本を読みまして。

元々「ビジネス書を面白おかしく皮肉る本だよ!」って事は知っていたのでむしろそれを求めて読んでみたんですが、まぁ面白い。

大体、ビジネス書を何冊も何冊も読み漁ると、著者によって言ってることが食い違いまくってわけのわからんことになるんですが、そういうあるあるにツッコミを入れるってアプローチ。好き。

例えば「ポジティブ思考で居れば成功する!」みたいな本があると思えば「ネガティブこそ成功に必要なものである!」みたいな本がある。わけわからん。

誰もが思っていたことだけど、今まで誰も言い出さなかったことなので、堀元さんにはとにかくグッジョブと言いたい。

でも、一応「成功の黄金律」を謳ってる以上「こうすれば成功するんじゃない?」みたいな内容にも、薄ーーーくなってまして。

著者の考えとしては「複数の本を読んで共通する主張はだいたい真実であろう」ということらしいです。

が、僕はそれに対して警笛を鳴らしたい。ビジネス書で絶対食い違わない(食い違うわけがない)主張、一個だけあるじゃん。

「成功したければ本を読みなさい」

っていう・・・。これ、ホントですか?っていう。

■誰かの主張を吟味するならまず「利害関係について考えよう」

まず大前提として、ビジネス書著者も、出版社も基本的には「本を売りたい」という事を押さえておきましょう。

本を売りたい人が「本を読めば成功します!!」という主張をしているのだから、なんか怪しい気がしませんか?

例えばサプリメーカーが「●●という成分で■■という効果が出ました!!」という論文を出したとして、その論文がデータ改ざんの嵐・・・みたいな話はよく聞きますし。

出版社やビジネス書著者が「本を読めば成功します!!」って言っていたら「本を売りたいのだ」と、警戒して然るべきなわけです。

実際、本を読んでも成功しない・・・という事例はクソほどあって、あるからこそ

「本を読んでも成功しない人は●●が足りない!」

みたいな主張を展開しているビジネス本もクソほどあります。

本を売りたい界隈の人たちが「本を読んでも成功しない事例」を踏まえて主張しなきゃいけない事態に陥ってるのだから、もう基本的には「本を読む≠成功」と考えたほうがいいのでは?

■本を読んだら成功する・・・みたいなエビデンス、そもそもないかも。

実を言えば、これについて某論文紹介屋(メンタリストなんちゃら)さんにスパチャして聞いてみたことがありまして。

某氏は、「子供のころの読書量の多い子供ほど成功しやすい」という論文を紹介してくれました。

僕は「大人が本を読んだ場合の効果」について聞きたかったのですが、パッと出てくる論文がそれなので、大人が本を読んだ場合の効果についてはわかってないのかもしれない。

まぁ、某氏がその論文を知らないだけかも知れないですが、某氏のバックには年間5000本以上の論文を読み漁る変態がおりまして、その変態をもってしても、読書と成功に関する納得いく論文を紹介しているところを見たところがないので、本当に無いのかもしれない・・・(あったらごめん。)

「子供の頃の読書量」だけだと、読書が原因なのか、家庭の裕福さ(教育水準の高さ)が原因なのかわかりませんし。

あと「本を読みなさい」系の主張でよく引用される「年収の高い人ほど読書量が多い統計」についても、「年収が高いから本を沢山買えるだけでは?」ってツッコミが擦るほどされまくってますし。

今のところ、読書量と成功についての相関関係はありそうだけど、因果関係は不明と考えたほうがよさそう。

■そもそも、本の内容が間違ってたらどうするの??

極端な話、例えば恋愛の成功法則みたいなタイトルの本があったとして、

「モテたければ、意中の相手ににウンコを投げつけなさい!!」

みたいな事が書いてあったらどうだろう?さすがにこんな極端な内容のものは存在しないにしても、ビジネス書には大抵「著者がうまく行った(なおかつバイアスまみれで再現性のない)方法」が書かれているので、鵜呑みにして実践しまくってたら割を食う内容も結構あったりします。

あと、本の内容はまともなんだけど、鵜呑みにしすぎちゃって「本の内容は正しい→本の内容と矛盾している行動を取っている周りが間違っている」みたいな他責思考で、周りの人間との間に軋轢を生みまくる人を良く見かけます。そうです、僕です。

まぁ、後者は自分の心の問題なので自分でなんとかしてもらうにしても、前者みたいな本ばっか読んでたら、成功に近づくどころか遠ざかって行く気がしませんか?

更に言えば、人には自分の信じたいことしか信じない性質があるので・・・。

「事実はなぜ人の意見を変えられないのか(ターリー・シャーロット)著」によると、いったん意見が対立すると、覆しようのない統計的事実を提示しても認めない・・・ということは、バカ特有のことではなく、誰にでも起こりえる、割と普通のことらしいです。

故に、いったん間違った主張を鵜呑みにしちゃったら、それを修正するのは難しいと考えた方がよさそう。

つまり、意中の人に振り向いてほしくてウンコを投げることを選択してしまった人は、一生ウンコを投げ続ける可能性すら孕んでいるかもしれない。

自己啓発好きの人たちの中には、割とあるんですよね・・・「ウンコを投げてる自分たち素晴らしい」みたいな暴走してる集団。

個人ならまだ修正が付きますが、集団になるとそういう誤認がどんどん強化されてくからどんどん修正が効かなくなってく・・・。

そう考えると、むしろ本を読めば読むほど成功から遠ざかって行く気がしてならないわけで・・・。

■まぁただ、正直体感値的には、本は沢山読んでおいた方がよさそう。

ここまで本をDisりまくって来ましたが、個人的には読書肯定派です。

というか、これまで「読書≠成功」を主張して来ましたが、正直「読書=成功」と思う部分もまぁある。

だって、継続的にスキルアップを目指せる人って、なんか成功しそうな感じがしない?

ウンコを投げることをスキルアップと呼ぶ事が問題なのであって、専門的な技術や知識、それにつながる基礎的な知識、教養をインプットしておくことは多分人生に役立つ。多分。

それに、役に立つとか立たないとか関係なく、読書ってそもそも楽しいからするものだと僕は思いますし。

まぁ何が言いたいのかというと、ウンコを投げるのをやめて本を読もうってことです。

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