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【思い出しておくれ】キーワードと共に振り返る東京ヴェルディ2023(前編)【あの日のこと】

2023年の東京ヴェルディは、人によっては悲願であり、人によっては憧れであり、人によっては呪いを解くためであったJ1復帰/J1昇格を達成しました。

開幕前の順位予想は芳しくありませんでした。各種メディアでの順位予想は12〜14位ほどが多く、良いところでPO争いに加われるかというところだったかと思います。2年連続二桁得点の佐藤凌我選手、U22代表の馬場晴也選手、守備の要のンドカ・ボニフェイス選手などがJ1に個人昇格し、2022シーズン終盤の躍進を支えた染野唯月選手も保有元クラブにレンタルバックとなる一方で、宮原和也選手や齋藤功佑選手の獲得には成功したものの、実力未知数の新卒選手や新外国人選手、他クラブで出場機会が限られていた若手選手が補強の中心であったため、客観的に見れば中位予想も妥当なものではあったでしょう。

僕自身は前年終盤の躍進に加え、「凌我、森田、ボニ、谷口、ヴィドの内、半分残せればPO争いは固いはず…」「特に、替えが利かない森田だけはどうにか…」と考えていました。実際にこの5人中3人は残せたので、中位よりは上の順位には行けると感じていたものの、まさかレギュラーシーズン最終節まで自動昇格争いに加わった上で、2位と同勝ち点の3位でフィニッシュできるとは思っていませんでした。改めて監督やスタッフの手腕、選手たちの頑張りと成長には脱帽です。

そんな望外の喜びを得られたこの1年でしたが、振り返ってみると、楽しかったこと、嬉しかったこと、悔しかったこと、悲しかったこと、ブチギレながらインターネットに呪詛をばら撒いてしまったことなど、本当に様々な出来事がありました。この特別な1年を後から懐かしがったり思い出し立腹したりするために、ヴェルディに関連して面白いと感じたエピソードや、印象に残った出来事をキーワードと共に振り返っていきたいと思います。

ピッチ上のお話というよりも、ピッチ外やインターネット上のお話が多いです。ご承知おきください。

※この記事ではだいたい6月頃までに起こった事象を、何となく時系列っぽく記載しています(沿っていないところもあります)。
下半期編はまた後日アップ予定です。

【追記】
下半期編も作成しました。

※一部勝手にツイートを埋め込ませていただいています。掲載NGの方がいましたら、お手数ですがコメント等いただけますと幸いです。
※実は2019年にも同じようなことをひっそりやっていました。よろしければこちらもどうぞ。

(本当は16日には書き上げていたのでその日の夕方頃にアップしようかなーと思っていたものの、いざアップしようとしたほんの少し前にヴェルディサポーター史に残る激熱すぎる名文が公開され、諸々の部分での自分の文章との圧倒的な差に日和ってしまい1日先延ばしにしてしまったのは内緒だ)


息子の暴走

「2023年を振り返る」と銘打っておきながらいきなり2022年末の出来事から始めるのもアレですし、なんだか見出しも下ネタっぽいし、そもそも内容自体もとってもアレで恐縮なのですが…。
2022年末から2023年年始にかけてヴェルディサポーターを大いにざわつかせた人物がいました。海外サッカー専門サイトの編集長を務める城福浩監督のご子息です。

2022シーズン終盤の躍進から契約更新は確実と見られていた城福監督ですが、シーズン終了から1カ月経っても契約更新の報せが届かず、多くのサポーターがヤキモキしていました。そんな中、突如として脚光を浴びたのがそのご子息です。ヴェルディサポーターのツイートに絡み、憶測を生むにおわせ投稿を行い、果ては他の有名サッカーアカウントと組んで有料配信でチームの裏側を暴露(していたらしいです。見てないけど)するなど、なかなか他に類を見ない暴走っぷりにドン引きする人が続出していました。
結果的に年の瀬も押し迫った12月29日に城福監督の契約更新が発表されてホッと胸をなでおろしたものの、何となくしこりが残った人も少なくなかったのではないでしょうか。

その息子氏、年始になって運営する海外サッカー専門サイトで突然活動休止報告なされていました(2023年5月に再開)。その理由はまったくもって定かではありませんが、その後ヴェルディに関して言及する様子は見られなくなりました。
あの暴走はいったい何だったのでしょうか。

直接関係ありませんが、息子氏が大はしゃぎしていた頃と同じようなタイミングで、ヴェルディ前社長の羽生英之氏も突然Twitterアカウントを開設。社長時代のお口のゆるさから(これは放っておいて大丈夫なやつか…?)と一部の人から心配されましたが、特に問題を起こすことはありませんでした。
今ではヴェルディ関連の選手やスタッフにフォローされる度に
「◯◯(選手やスタッフの名前)がフォローしてくれました。◯◯はこうでああで〜」
と、独自の構文でフォロワーのエピソードをウキウキしながら紹介するヴェルディ大好きおじさんとして人気を集めているご様子です。

やたらと梶君と仕事したがってるのはいったい何なんだ。

キャプテン森田

味方も敵もスタッフもボールパーソンも、みんなの視線を独り占めする天才森田キャップ

そのプレースタイルから「天才」「最もヴェルディらしい選手」と呼ばれ多くのサポーターに愛される反面、20歳の誕生日に「これからもそこそこ頑張ります」的なコメントをしたところ、永井秀樹監督(当時)に「そこそこなんて言ってるんじゃねえ!」的にカミナリを落とされてしょげたりと、年相応な幼さも見せてきた森田晃樹選手。
2022シーズンには34試合4得点とキャリアハイの数字を叩き出し、2023シーズンの中心選手と目されていましたが、同時にオフには他クラブからの引き合いも噂されていました。おそらく本人も去就については大いに悩んだことでしょう。契約更新のリリースがチーム始動日まで引き伸ばされたのはその証拠と言えます。ただ、それだけ待たされた分、2023年もヴェルディで戦うことを選んでくれた彼に対して、多くのヴェルディサポーターが感謝し喝采を送りました。

そんな森田選手がキャプテンに就任することが発表されたのは2月10日の開幕直前キックオフイベントでのことでした。
プレーしている背中で引っ張っていけるキャプテンになりたい」と力強いコメントを出す森田選手に対して、個人的にはとても応援したいと思いつつも、ただでさえ勝負の1年として位置づけているであろうに、さらなるレッシャーを掛けてもいいものか…と感じていました。若いユース出身選手がキャプテンを務めることに対する恐れ不安もありましたし。

しかし、結果はご存知の通り。苦しみながらも立派にキャプテンを勤め上げ、見事「ヴェルディをJ1に上げた男」となってくれました。プレーオフ決勝戦後に流した涙は、悲願を達成した喜びに加え、キャプテンとしての重圧と苦悩から解放されて安堵したところも少なからずあったのでしょう。

このように立派にキャプテン業を勤め上げた一方で、ゴール裏挨拶のコメントが短すぎてブーイングを喰らったり、キャプテン就任時に「キャプテンはホーム最終節で挨拶をしなければならないので今からコメントを考えておきます」と言っておきながらホーム最終節を欠場してしまったりと、ちょっぴり締まりきらないところも彼の魅力ですね。

名フォトグラファーの"助っ人参戦"

https://twitter.com/TokyoVerdySTAFF/status/1626518614689091584

ヴェルディのオフィシャルイヤーマガジンの告知がなされた時、大変驚きました。「Photo by 近藤篤」の文字があったからです。
近藤篤さんは、独自の視点と色使い、強烈にコントラストを効かせた写真が特徴のフォトグラファーで、サッカー界隈ではNumber誌や浦和レッズのマッチデープログラムの写真などで知られた方です。
以前から好きなフォトグラファーだったのですが、何の前触れもなくヴェルディへの関わりが知らされた分、このお知らせを見た時とてもテンションが上がりました。
オフィシャルイヤーマガジン以外にも「Match Preview & Column」やベレーザの写真も撮影されていて、見る度にそのカッコよさに唸っておりました。

https://twitter.com/TokyoVerdySTAFF/status/1631904807807242243
https://twitter.com/tokyo_beleza/status/1727628052643938655/photo/1

ご本人のSNSによると2023シーズンは"助っ人参戦"だったようですが、ぜひとも2024年以降もヴェルディに関わり続けていただきたいものです。
ビーチサッカーなんか撮ってくれたらめちゃくちゃカッコいい写真を生み出してくれるんじゃないかなー。

素敵な写真と飾らない文章で世界中のサッカー人を紹介していく近藤篤さんの著書『ボールピープル』はいいぞ( ・`д・´)


激かわ!綱島チャント

ヴェルディユースから国士舘大学に進み、大学サッカー界屈指の大型ボランチに成長してトップチームに帰還した綱島悠斗選手。今シーズンは多くのサポーターが彼に期待をかけた年でもありました。
その期待に応えるように、長い脚を武器にボールを狩りまくる姿や、シーズン最終節の大宮戦に代表されるようなここぞでゴールを穫れる攻撃力を披露し、多くのサポーターを魅了。1年目から昇格に貢献してくれました。

そんな綱島選手関連でプレー以外に印象に残ったのが、彼のチャントに合わせて踊るヴェルディチアダンスチーム・ヴェルディヴィーナスです。

東京ヴェルディはすべての選手のチャントを作成することで知られていますが、ヴィーナスの皆さんもそれぞれのチャントに合わせてオリジナリティ溢れるダンスを見せてくださり、それもまたホームスタジアムに彩りを加えてくれます。そんなダンスの中でも群を抜く可愛さを持ち、2023年に大いに話題となったのが綱島チャントなのでした。
来年はヴェルディヴィーナスの方々のかわいさとカッコよさをJ1に知らしめられると思うとワクワクしますね。

ちなみに、3人バージョンの綱島チャントはこのようにしてハートを作ります。

普段は2人でハートを作るけど、3人バージョンはでっかいハート+ちっさいハートなのだ

こっちも激かわ!

モカソフト綱島

綱島選手というと、もうひとつSNSでバズったことがありました。「モカソフト綱島」です。
詳しくはこちらをご覧いただきたいのですが、4月12日のブラウブリッツ秋田との試合でゴールを決めた際に披露したガッツポーズが「モカソフトを持っているようにしか見えない」とネット上で話題になったのです。

このバズを見逃さなかったのが、ヴェルディ特任広報であり、日本サッカー界屈指のSNS力を持つ小池純輝選手です。ドメサカブログさんがSNSで紹介した数時間後には実際にモカソフトを購入して綱島選手に持たせるというスピーディーかつ精度の高いお仕事を披露してくれます。

これもバズバズし、見事ヴェルディと綱島悠斗の名前をアピールすることに成功したのでした。

なお、小池選手はこのバズツイートの宣伝で、同じく秋田戦でJリーグ通算100試合出場を達成したチームの守護神を紹介する抜かりのなさも披露しておりました。

この一瞬の判断力とリカバリーパワー。
やっぱりエーコはすげえぜ!

サポーター論的なアレコレ

「ゴール裏での応援スタイル」「ブーイングの是非」「サポーターとしての立ち居振る舞い方」といった論争は、どこのクラブでも毎年必ずと言っていいほど巻き起こります。ヴェルディでも何かに付けて勃発していますが、2023年にそれが起こったのは、3月5日の第3節ヴァンフォーレ甲府戦の後というやや早めのタイミングでのことでした。

スコアレスドローで終わったこの試合後、ヴェルディゴール裏からは選手たちに対するブーイングが起こりました。当日僕はDAZN観戦だったので現地の雰囲気はわかりませんでしたが、試合後のインタビューの最中に大きなブーイングが聞こえてきて驚いたことはよく覚えています。
というのも、決していい試合内容だったわけではありませんし、3試合で1ゴールという数字には不満はあったものの、開幕から勝ち→負け→引き分けと成績自体はそこまで悪くなく、(当時未勝利だったものの)上位候補の一角であった甲府相手に最低限の結果を出したことに対して、このタイミングで盛大なブーイングをするほどではないと感じていたからです。
これに端を発してか、試合後にはSNS上で応援に関する考え方で一悶着が起こりましたし、正確な時期は覚えていませんがその前後にもゴール裏での旗振りに関する議論が盛り上がったりもしていました。

僕は基本的にホームはバックスタンド、アウェイはDAZNで見ているので、「応援」というよりも「観戦」的なスタイルでヴェルディに接しています。なのでサポーター論的な話にああだこうだ言うつもりはないのですが、
(こういうのって早くともGWぐらいにやるもんじゃないの?)
(第3節の時点でゴタゴタしちゃうとシンプルに季節感がバグる)
などと感じ、戸惑っていたことをよく覚えています。

ただ、今から考えてみると、この時のブーイングは、それだけゴール裏コア層の今年に懸ける思いの強さを表していたものだったのでしょう。それに、その後も無闇矢鱈にブーイングすることはなく(決して皆無だったわけではありませんが)、むしろこれまでにないくらい辛抱強く応援していたことは印象に残っています。
例えばホームで勝てない時期が長く続いた中、一度はリードしながらも追いつかれて引き分けに終わった第21節のザスパクサツ群馬戦では、これまでなら「ブーイングやむなし!」だったでしょうが、この時ゴール裏は大音量のチャントで選手を迎えていました。

この時のゴール裏の対応には選手たちも思うところがあったようで、宮原選手は試合後のインタビューで次のように述べていました。

──試合後にはゴール裏のサポーターからチームを鼓舞するリアクションがありました。

ホームで勝てていない中、ブーイングでもおかしくない状況にもかかわらず、ああやって応援してもらうと、自分たちのパワーになります。同時に自分たちはもっとやらなければいけないという気持ちです。

https://www.verdy.co.jp/match/info/2023061814/report

ヴェルディのホームゲームは長らく閑古鳥が鳴く様相が続いていましたが、2023年はシーズンが進むに連れて観客数は増え、ゴール裏サポーターの応援も凄みを増していきました。その背景には、序盤のゴタゴタによって雨降って地固まったところも関係していたのかもしれませんね。
それに、堪えるべきところはグッと堪えていったからこそ、PO決勝後の森田選手へ浴びせたブーイングの美しさと愛おしさが増したところもあったと思います。


それにしても2023年のJリーグでは色んなチームでサポーターが荒れ狂う時期が早く、かつ激しくなってしまっていた印象でした。
2022年のワールドカップの影響でオフが長くなってしまったことやコロナ禍で応援活動が制限されたことに加え、社会的に"晒す"ことが一般的になってしまったことなんかも影響していたのかもしれません。
かといって清く正しく美しいスタジアムにしようとする動きもなかなかに気持ち悪いものですし、熱さと激しさと優しさがバランス良く混じり合ったスタジアムになってくれたらといいなと思っています。

"殺せ"事件

2023年のJ2で昇格大本命と目されていたのは、2022年J1得点王のチアゴ・サンタナ選手や、ワールドカップ出場経験もある乾貴士選手や権田修一選手などを擁する清水エスパルスでした。
しかし清水は開幕から7試合勝ちがなく、ヴェルディ戦を前にした4月3日にゼ・リカルド監督との契約を解除。コーチを務めていた秋葉忠宏氏が新監督に就任します。

秋葉監督は以前から熱血指導者としてその強烈なキャラクターが知られていた人物です。その熱を広め、復活の足がかりとするためだったのでしょう。氏の就任直後に清水の公式SNSでは、氏が選手たちに檄を飛ばす動画が投稿されました。
が、それが物議を醸しました。
動画内で「目の前の奴を殺せよ」という発言をしていたのです。もちろんこれは"死にものぐるいでプレーしよう""相手を圧倒するくらいの気迫を見せてやろう"という意味合いの言葉で、実際その後に続く言葉は「目の前の奴に絶対に負けるな」というものでした。多少過激な表現とは言えども決して「相手を怪我させろ」という意図は含んでいなかったはずです。しかし、直近で試合を控えるヴェルディサポーターがこの動画に反応し、インターネット上ではすったもんだが起こりました(このタイミングでは、憤るというより弄る意味合いが多分にあったように感じます)。
個人的にはヴェルディサポーター側のやや過剰気味な反応に辟易しつつも、万が一その後の試合で清水の選手が相手に怪我をさせるような事態が起こればこの映像が擦られまくることは想像に難くなかったので、秋葉氏というよりも、無編集で公開してしまう清水公式の思慮の浅さに呆れてもいました。

その後該当の投稿はしれっと削除され、事態はひとまず落着したかに思われました。
しかし、数日後に開催された第8節の清水vsヴェルディの試合で、ヴェルディの梶川諒太選手が相手との接触プレーにより右膝前十字靭帯損傷という大怪我を負ってしまったのです。そのプレーは故意的で悪質なラフプレーというものではなかったのですが、実際に怪我人が出た、しかもサポーター人気が非常に高い選手が負傷したとあって、再び両チームのサポーター間で大荒れとなりました。
試合前には「気持ちはわからんでもないが過剰反応はよくないよ」と思っていた僕も、試合後には「絶許…AKB絶許…!」となってしまったことは否定できません。

今さら秋葉監督や清水公式に対して言いたいことは特にありません。ただ、このご時世、ああした動画をクラブ公式アカウントから発信することには相応のリスクが生じる点は疑いようがありません。このことはヴェルディ側も理解をしておいた方がいいのだろうなと思います。

なお、梶川選手の負傷場面ではカードを出すどころかファールすら取られませんでした。その他にもこの日はレフェリーに対する不満が募るシーンが多くあったことも影響して、試合後の城福監督からは「自分がもう一回ルールを勉強し直さないといけない」という名言が生み出されたことも記しておきます。

今日のカードが1枚だったという部分では、少し自分が勉強し直さなければいけないと考えています。激しいことと、我々は小さくない怪我人が出ましたが、ピッチでゲームがコントロールされている中での激しいやり取りがなされたのかという部分では、ちょっと私は自分がもう一回ルールを勉強し直さないといけない。カードの基準を含めてそう思いました。

https://www.verdy.co.jp/match/info/2023040808/report

#カジと共にJ1へ

昇格への合言葉となった

4月12日、清水エスパルス戦で負傷した梶川諒太選手の怪我の詳細が発表され、ヴェルディ界隈に激震が走りました。

チーム生え抜きの汗かき役で、二度に渡る移籍を経験しながらもヴェルディに戻ってきてくれた愛すべき選手の大怪我に多くのヴェルディサポーターが嘆き、悲しみ、怒りました。
ただ、それでもグッと堪えたサポーターたちの間からは自然発生的に「#カジと共にJ1へ」というハッシュタグが生まれ、「梶川選手をJ1に連れて行く」という共通の思いがヴェルディ関係者の間に浸透していきました。
梶川選手が抜けた穴は大きく、その後ホームで勝てない時期が長く続いたのも彼の不在は無関係ではなかったでしょう。しかしこの合言葉があったからこそ、最終的にJ1昇格を成し遂げられたのかなと思います。

まさかこの後5カ月もホームで勝てなくなるとは思っていなかったけれども

事業・広報面での成長

長らくJ2所属ということもあり、なかなかサッカーファン以外へのアプローチができていなかったヴェルディですが、今年は一味違いました。
例えば一般誌への露出が増えたことが挙げられます。
4月には筋肉に定評のある稲見哲行選手が雑誌『Tarzan』の腹筋特集号に登場。

▼稲見選手の登場記事はこちらから

宮原和也選手とベレーザの北村菜々美選手は雑誌『smart』に登場します。

▼宮原選手と北村選手の登場記事はこちらから

この他にも、人気バンド「Kroi」がミュージック・アンバサダーに就任したり、京王線新宿駅の大型ビジョンに広告を掲出したりと、これまでにない動きが展開されました。

この仕掛け人とも言えるのが、2022年5月にヴェルディに入社した岡田恵さんです。これまでNPBの各チームでプロモーションを担ってきた岡田さんの発案で「みんながたのしいスタジアム」をコンセプトにスタジアム内でも様々な仕掛けを展開するなど、集客とサポーターづくりのための精力的な取り組みが見られました。もしかすると、先述の近藤篤さんの起用も彼女のアイディアだったのかもしれません。

今年のヴェルディは、レギュラーシーズンのホームゲーム総入場者数が16万7616人となり、2009年からのJ2在籍以降最多を記録しました。もちろんチームが好調だったことが大きな要因ですが、岡田さんをはじめとした事業スタッフの方々の頑張りも大きかったはずです。
J1に上がり注目度が高まる来年はどのような新しい仕掛けを見せてくれるのか。事業面でもとても楽しみです。

来年は中原輝をananセックス特集に送り込むとかいかがか。

顔面偏差値的には表紙にも耐えうるとは思うのだが

爆弾処理班東京ヴェルディ

今年のヴェルディは「◯試合勝ちなし」のチームと戦う機会が多く、結果的に"爆弾処理"を成し遂げてしまうことが頻発しました。代表的なものは以下です。
・第8節清水エスパルス:当時7戦勝ちなし/1-2で敗戦
・第10節ジェフユナイテッド千葉:当時8戦勝ちなし/0-1で敗戦
・第11節モンテディオ山形:当時8連敗/1-2で敗戦

8連敗中だった山形のゴールを守ったのは、ヴェルディ出身の長谷川洸選手でした

いずれのチームもその後上昇気流に乗り、シーズン終盤にはヴェルディを含めすべてのチームがPOに進出。最終的にヴェルディを含めた4チームによるトーナメントを制したことも含め、ヴェルディが今年のJ2を裏で操る存在だったのかもしれません。
東京・爆弾処理班・ヴェルディ。
またの名を
東京・マッチポンプ・ヴェルディ。

さようなら味スタライス

味の素スタジアムバックスタンドの人気グルメのひとつに「味スタライス」というメニューがありました。ご飯と刻んだパスタの上にひき肉たっぷりのボロネーゼソースをかけた炭水化物過多グルメで、そのジャンク飯感が好きでちょこちょこ食べていました。

温玉トッピングすることでギルティ度が増した

しかしこの味スタライス、提供店舗の撤退によって今年から提供がなくなり、一部サポーター(主に僕)に大きなショックを与えたのです。
ヴェルディのスタジアムグルメと言えば、本場ブラジルのシュラスコを楽しめるキボンや、かつてヴェルディに所属した中野雅臣選手(現・レイラック滋賀)のお兄様ご夫婦が営み、優しくも絶妙にスパイシーなカレーを提供してくれるmahanaなどが代表格です。僕ももちろん両店舗とも大好きなのですが、一番最初に慣れ親しんだスタグルが味スタライスだったので、この撤退は非常に寂しいものでした(とはいえ、撤退に気づいたのは5月頃とかなり遅かったのですが…)。
いつかまた味の素スタジアムで味スタライスと再開できることを祈っています。できれば僕が炭水化物過多飯をちゃんと食べ切れる年齢のうちに。

ちなみに、2019年のラグビーワールドカップの際には(おそらくアンブッシュマーケティングを避けるために「味の素」に類する名称が使えず)「ボロネーゼライス」というなんだか味気ない名前で提供されていました。

味スタライスを提供していた店舗の後釜にはまぜそば屋が入っています。これもカロリーの味がして大変美味であります。

#宮原ハグ

2023シーズンに名古屋グランパスからヴェルディに加入することになった宮原和也選手。前年に名古屋を契約満了になっていたとはいえその実力は折り紙付きで、どのJ1クラブが獲得するのか去就に注目が集まっていました。しかしまさかヴェルディに加入してくれることになるとは誰が考えたでしょうか。加入が発表された直後の僕のTLも、喜びよりも困惑で溢れていたような気がします。

宮原選手はシーズンが始まってからも期待に違わぬ活躍を見せ続け、J2ベストイレブンや、ヴェルディの情報を発信するWebマガジン「スタンド・バイ・グリーン」が選出するシーズンMVPにも選定されました。疑いようのない昇格の原動力です。

そんな宮原選手、プレー以外の面でもサポーターを魅了したポイントがあります。味方がゴールを決めた際に真っ先に駆けつけてハグをする姿です。
いつの頃からかサポーターの間で「普段はクールなのに、ゴールが決まったら真っ先に駆け寄ってくる宮原に萌える」的な意見が増えていきました。ついにはヴェルディ公式アカウントも嗅ぎつけ、「#宮原ハグ」というハッシュタグと共にその様子をまとめた動画を公開。さらに話題を呼びました。

J2で実力を示しただけに他クラブからも引く手数多の状況のようですが、どうにかして来年もたくさんの #宮原ハグ を見たいものです。
(ヴェルディ公式は早く第17節レノファ山口戦以降の #宮原ハグ の動画をまとめるんだ。手遅れになっても知らんぞ)

給水姿もSo Sexy!な宮原選手でした
#給水クラスタ

アルハン砲炸裂

アルハン砲炸裂後の歓喜は胸に来るものがありました

2022年、突如としてインドネシアのPSISスマランからヴェルディに加入したプラタマ・アルハン選手。インドネシアの至宝とも謳われ、彼の加入後ヴェルディのSNSのフォロワー数が爆増するなど、ピッチ外で大きなインパクトを与えました。
しかし若きレフティーはピッチ内では大いに苦しみます。守備面や戦術理解度の影響からなかなか出場機会を掴むことができず、2022シーズンはリーグ戦1試合45分間のみの出場に終わりました。
状況は2023シーズンも変わりません。リーグ戦ではベンチにも入れない時期が続き、夏の移籍が噂されることも。
そんな中で迎えた6月7日の天皇杯2回戦 ザスパクサツ群馬戦で、アルハン選手は大きなインパクトを残します。同点で迎えた83分、アルハン選手の大きな武器のひとつであるロングスローが炸裂し、相手のオウンゴールを誘発したのです。

このゴールが決勝点となり、ヴェルディは3回戦へと駒を進めることになりました。
この日のアルハン選手はロングスロー以外にも攻守に奔走。特に精度の高いキックは今後のチームの武器になりうる可能性を感じさせました。
が、左サイドバックのポジションを争う深澤大輝選手、加藤蓮選手、奈良輪雄太選手らの壁は厚く、その後の公式戦の出場は天皇杯1試合(計2試合)、リーグ戦1試合にとどまりました。
現時点で2024年以降の契約に関する公式情報はありませんが、できることならば、もう少し日本でプレーする姿を見たいものです。

アルハン選手とは関係ありませんが、天皇杯2回戦ではハーフタイムに小倉勉コーチから熱血指導を受ける楠大樹選手の姿も印象に残っています。

https://twitter.com/yamo_verdy/status/1666390543528767490

こうした普段は見られない選手やシーンを見ることができるのも、天皇杯1〜2回戦の醍醐味なのであります。


ダラダラ書いていたら1万字を超えてしまったので、前編はこの辺で。
後日アップする後編では、(だいたい)7月以降の下半期に起こった出来事について触れていく予定です。

後編はこちらからどうぞ。

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