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坂道の途中で

塩屋の良いところって言えば、海と山が近くて、人間と近い距離感で野生的な自然が至るところに残っていることだと思います。


そう同じように思ってる人は多いはず。


ポイントなのは、人間が手を入れた自然だけじゃなく、勝手にニョキニョキと生きていく植物たちがすぐそこにあるってことで、坂道だらけの道のりに沿って建つお家とともにその野生的で生き生きとした植物のコントラストが面白いのです。


私もそんな塩屋の町に完全にロックオンされてしまった人間です。


ご来店くださった方は分かると思うのですが、うちの店までの道のりは半分は坂道です。


その坂道は山道の入り口に続く道なわけで、生い茂った植物たちがトンネルのように自由に伸びて迎えてくれます。


私はこの坂道がとても好きで、この坂の奥に店を構えました。


どこか、わざわざお店に行くときってその店へ向かう道中が面白いと期待値上がってワクワクする。

それは百貨店やショッピングモールとは違い、個人店ならではの楽しみの一つでもあるのです。

お店までの道のりは、そのお店の人となりを感じるのです。

なので、私はこの季節を知らせてくれる草花や光の傾きに癒されながら毎日毎日、暑い日も、雨の日も、風の日も、自分の足でテクテク坂道を登っています。


そんなある日の帰り道、坂道の途中、工事の看板がドスンっと立ちました。

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看板が突然立ったのは8月の末日頃。

(この写真は8月30日に撮影していました。)

おう、急やな、、、

そして何の工事なんやろか、、、。


って、思っていた翌日、塩屋の有名人でもある、澤井まりさんがfacebookでこの坂道に擁壁ができるってことと経緯をとめてくださっていました。



以下、まりさんの投稿を一部抜粋(コピペ)しながら私の言葉や想いに書きなおしてます。

この工事の事業自体は4年前から始まっていたそうで、このエリアに関わる方全ての承認を得てこの度やっと施工が始まったとのこと。

そう、私がここに来たのは去年の春なので、知る由もなかったのです。

がーーーん!!!

あの坂道が無機質なコンクリになってしまうなんて、大げさじゃなくここでお店する良さが半減するやないか〜。

と、自己中な私は思いました。

しかし、現実的に野生の自然が身近にあるということはそれだけ危険も伴うわけで、実際には最近山側ではないほうで土砂崩れ起こったり、本当に人ごとではない災害の恐れがすぐそこにあるのです。

坂道の途中にはもちろん民家も何件かあり、やっぱり命を守るために擁壁工事は絶対にするべきなのだよね。

うん。

分かってはいるのだけどね、やっぱりあの抗えない野生の植物の香りに包まれる坂道はとても貴重だったのです。

というわけで、またまた澤井さんの計らいで県の土木事務所の方に改めてこの工事に関する説明会を行っていただけることに。

そんな大切な説明会に、私も参加させていただいてので、今後の教訓の為にも、そして色々なことを忘れてしまう私は自分のためにもここの書き留めておこうと思います。



まず、今回の工事はこの山の持ち主である方からの依頼、つまり個人の持ち物だということ。

がけ崩れなどの際、被害を受ける可能性のあるお家が5棟以上あることが、県や市は個人に代わって工事をすることができるとのこと。

そして当たり前ですが、もう工事は始まっているので今から事業内容変更はまず難しい。

もちろん税金で行われる事業であり、景観に配慮した工事を!なんてことは贅沢の極みなのも承知の上で、なんとか緑を残す方法はないですか、、、っていうのが私たちの気持ちでした。


結果


自然が残るような方法での工事への変更は不可だが、住民たちによる緑化を試してみることはできるかもしれない。

かもしれない。

かもしれない。。。

(5年に一度の点検ができる状態を保つこと、

近隣の方々の合意のもと。)


ちなみにこのような要請は前例がないとのことで、例えばこういう風に、、、っていうモデルケースもないそうです。

確かにネットで色々調べて見たけど出てこなかった、、、。


あとはその緑化計画を立てねばいかんということですよね。


誰かが。。。誰が?


今回のことにせよ、まだまだ町との関わり方を模索していたところにこの工事のことがあり、他人事にしていてはいけないなってとても勉強になりました。

実は私はこの町に住んでいるわけでないので、こんな坂の上の民家の中でお店をやらせてもらっているという感謝の気持ちがたくさんあります。

なるべくならば、自分からも動けるような関係性にもう少し持っていけるようにならなくちゃいけないなと頭バチコンものでした。

町の変化に無関心でいたいなら、きっとこんな場所でお店をやるべきではない気もする。

でも、あまりに入りすぎるのも違うかなって思うんです。

これは街に対してだけのことではなく、全てのことにおいて、ある適度の距離感を保つことをとても大切にしているので。


正直、こんな坂道に住んでる方が危険やし大変やし、さっさとみんなが引っ越したら擁壁を作る必要もなくなるんちゃうん〜

植物守られるんとちゃうん〜

と思ったりもしたんです。

けど、やっぱりそれは違う。

この場所に住もうと思ったきっかけに、それぞれのドラマがあって、そしてみんなここが好きだから住み続けてるんだもんね。

そんなことを言い出したら住まずに商売だけやってる私なんてもっとおかしいわけで。笑

この場所にいたいと思う人々の想い、人間臭くて最高やなと思う。

それも自然の一部なのかもしれません。



毎日坂道を登り降りする度に、そんなことを考えてしまう。



今現在、工事がどんどん進み日々変わりゆく坂道。

あれ、意外とスッキリ剪定されて光も入ってええんちゃうん。

見晴らし良くなってなんか塩屋の街並みがよりキレイに見下ろせるやん。

コンクリートの壁の上から飛び出す植物たちを妄想し、意外と現代アートみたいでカッコよくなったら面白いよね。

安全に工事をしてよね、おっちゃんたち!




虫も植物も鳥も動物も、私たちが勝手にお邪魔してるだけなので

全てはバランス。



今日もお邪魔します、あ〜りがとね〜

と、空に向かって想いながら、今日もひたすら息を切らしながら坂道を登っていく。


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