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フィンテック先進国の中国から学んだこと

2019年4月27日〜5月3日までの1週間、人生で初めて中国に行きました。

中国の経済成長を肌で感じることもそうですが、スマホ決済の浸透ぶりや日本でも注目を集めていたシェアサイクルなどのサービスを、この目で確かめることが目的の一つでした。

中国で起こっている現状を知ることによって、日本の未来を想像できるんじゃないかと思ったんです。この記事を読んで少しでも興味を持ったら、是非、実際の中国を見に行って欲しいです。実際の姿を把握した上で、日本の未来を考えるきっかけになればいいなと思っています。

今回の旅行では中国出身の友人の地元の湖南省に行った後に北京を訪れましたが、古さと新しさが混じりあっている北京の街の活気を感じることができ、現地の人と触れることができたのが良かったです。

北京は想像していた以上に活気の溢れた都市でした。百聞は一見にしかずと言いますが、日本のビジネスマンであれば、公私を問わず訪問することで仕事にも役立つと思います。また世界遺産も多く、観光地は比較的清潔に保たれていて、素晴らしい都市です。是非、一度は訪れることをお勧めします。

中国で進化するキャッシュレス決済

北京では駅の自動発券機、コンビニやスーパー、ホテル 、屋台など、至る所で当たり前のようにスマホ決済が普及していました。

中国の支払いの文化には特徴があり、端的に言えば、日本より紙幣への信用が低いことです。ここ数年は偽札の事件が相次いでいて、客が支払った紙幣が本物であるかを確かめなければいけないくらい、現金を使った支払いにはさまざまなリスクやコスト、手間がありました。

そこで銀行口座直結型のデビットカードの「銀聯カード」を中心にキャッシュレスが歓迎されるようになりました。そして、スマホの普及率が高まった現在では、財布いらずのスマホ決済が台頭しているという流れです。スマホ決済では、AlipayかWeChat Payのどちらか(または両方)のQRコードが掲示されていて、客はQRコードをスキャンして買い物をすることができます。

駅の待合室のシェアバッテリー。スマホの充電もスマホ決済でできて便利。

中国のマクドナルドでは、タッチパネルでメニューから商品を注文してスマホ決済を行う。これでレジの混雑を回避している。

テーブルにQRコードが設置してあり、スキャンした後にメニューから商品を注文決済するか、テイクアウトをすることが可能。

これまで人を介していた注文の受付、支払いが無人化されていた。これは利用者と店舗のどちらにとっても、スマートで効率的な体験だと感じた。ただ一方で、無人サービスは飲食店すべてではなく、ファストフードという来店する客が店員に対して高度なサービスを求めない業態にしか難しいとも感じた。特に、高度なコミュニケーションが求められる高級店には難しい。

日本でも注目を集めているシェアサイクルも見ることができた。手前から大手事業者のモバイクと後発のハローバイク。

シェアサイクルは乗り捨てによる利便性が普及を大きく促した一方で、路上に自転車が溢れるという大きなマイナスの側面も生み出している。

日本でもLINEがモバイクと提携し、自転車の検索や決済をLINEから行えるようにしている。シェアサイクルの使用にはスマホ決済は不可欠で、まさにこれから普及するかどうかが試されている。

中国最大のネット企業のアリババが運営している「芝麻信用(ジーマ信用)」。アリペイの利用履歴は信用スコアに反映されるようになっている。アリペイで決済すれば信用ランクが上がり、一定得点以上になると、ホテルなどのデポジットが不要になるなど、さまざまな特典が与えられる。

さらに、信用スコアにより就職の面接で有利になる、賃貸で物件を借りやすくなる、婚活でモテるなどのメリットも存在する。

中国ではこのようなインセンティブ設計があることで芝麻信用が爆発的に普及したが、個人情報保護の観点でも懸念の声が多い日本での信用スコア導入はやや限定的なものになりそう。ただ信用スコアが普及すれば、ドタキャンやノーショーなどの問題は起きにくくなることは間違いない。

中国の監視社会と信用システムの実現

中国国内には1億7000万台のAI搭載の監視カメラが設置されていると言われていて、あって当たり前の存在になりつつあります。

多くの都市は、渋滞がなく安全な生活を実現するスマートシティーやセーフシティーの建設に取り組んでいます。監視カメラの設置は防犯から、犯人の認識・逮捕、市民のマナーの向上までつながります。

道路の脇でこのような標識をたくさん見つけた。たくさん車が走っていたが、思いのほかドライバーのマナーは良かった。

いたるところに監視カメラがあり、犯罪が起こらないように徹底していた。中国では2020年までに、スマホ決済と監視カメラで信用スコアを特定することで、国家を挙げて信用システムを構築しようと取り組んでいる。

まとめ

書き出せば本当にキリがないのですが、現地でしか学べないことがたくさんありました。中国におけるQRコードは決済だけではなく、付随するあらゆるサービスをスマホで利用するための単なる窓口であることがよくわかりました。日本でもキャッシュレス決済が盛り上がっていますが、今後はビッグデータを活用して、いかに効率的なマーケティングを行うことが重要になると思います。

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