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米国株トレードにおける決算のまたぎ方

株式トレーダーであっても株式投資家であっても、資本家である限りは決算が重要なイベントであることは間違いありません。重要なイベントということは、大きな株価下落、大きな株価上昇、どちらも可能性があります。そしてほとんどの場合、どちらに転ぶかは予想できません。さらに決算前は、株価上昇を期待する、最もFear Of Missing Outの気持ちが強くなる時期と言っても過言ではないでしょう。株価が上昇するためには、企業の利益が上がり、今後の将来の利益の見通しもよくならなければならず、それは決算で公表されることなので、ひとえに決算がリスクとは言い難いですが、損切りを小さく抑えているトレーダーにとっては、最大のリスクとなりうるイベントです。ここでは、決算をまたぐ際の、損切りを小さく抑えているスイングトレーダーとして気をつけていることをご紹介いたします。

大前提

私はPERに関わらず、決算での下落(gap-down)を10%程度と見積もっています。バリュー株からするとオーバーな見積もり、小型グロース株からするとアンダーな見積もりかもしれませんが、分かりやすいように一律で10%と見積もっています。

決算前に気をつけている3箇条

私が決算またぎの際に気を付けていることは、以下の3つです。
① ポジションサイズが大きい状態で決算またぎしない
② 決算時の株価下落で損切りラインに到達しないか把握する
③ 決算1ヶ月前と比較した現在のアナリストのup revisionがあるか確認する

① ポジションサイズが大きい状態で決算またぎしない

何よりも大切なことは、決算をまたぐ際のポジションサイズです。私はOptimal fと破産確率からポジションサイズを決めますが、その大きさは成績に応じて口座資金の5%〜40%と多岐にわたります。40%のポジションを立てる際は信用取引で信用買いをするわけですが、少なくとも信用取引を使って大きくポジションを立てている状態では絶対に決算跨ぎしません。もし大きくポジションをとっている場合は、半分決済するなど、決算前にポジションを落とします。20%のポジションで10%の下落を被ると口座資金は2%減るので、できれば決算跨ぎは10%以下のポジションに抑えたいところです。10%でまたぐか、20%でまたぐかは、②と③の兼ね合いで決めます。また決算近くになるとポジション管理を行うため、決算が近い時は、たとえ魅力的なbaseであっても、大きくポジションをとることはありません。

② 決算時の株価下落で損切りラインに到達しないか把握する

最終防衛の損切りは-7%から-8%に設定しているため、保有株式が+2%の時点で決算をまたぐ場合、フルポジションで-10%の下落となると、-8%の損切りになり、最終防衛ラインを突破する可能性があります。そのため、決算をまたぐ際にそのポジションの株価が+1桁%未満であれば、ポジションを落とすか、完全に手仕舞うかします。+10%強の利益であれば、①に反しない限りで、保有し続けて決算を迎えるでしょう。また決算またぎ時のトレード成績が悪い場合は、+10%程度の利益も確定させるなど、リスクにさらす程度をより厳しく管理するよう心がけます。

③ 決算1ヶ月前からのアナリストのup revisionがあるか

Minervini先生の本である「ミネルヴィニの成長株投資法(P.157 アナリスト予想の修正)」に記載されていますが、30日前の利益予想が決算日の数日前で上方修正されていると、良い決算が出る可能性が高いので、より甘く管理します。特に現四半期の業績、通年の業績が共に上方修正されており、5%以上の上方修正となると、決算後の株価上昇は平均を上回るパフォーマンスを示します。確かに、良い決算は繰り返す傾向があるし、悪い決算も繰り返す傾向があるため、相場の天井ではない限り(全て株価に織り込まれてる)、アナリストの上方修正があった方が、良い決算を出してくれる可能性は高いです。

$NVDAは2024年では毎決算で予想を超える業績を発表し上昇している。良い決算が繰り返される典型例であるが、決算前の休日にアナリストの予想は必ず確認するべきだと思う。

例として$NVDAをあげます。$NVDAは2025年第1四半期決算を2024年5月22日に迎えました。その週の月曜日のアナリストの予想は、EPS $5.58、通年では$25.01でした(赤四角)。その1ヶ月前の予想はEPS $5.2、通年では$23.05であり(青四角)、それぞれEPS $5.58は+7.3%の、通年EPS $25.01は+8.5%の上方修正でした(黒矢印)。結果は予想を上回り、株価は上昇しました。

参考

米国株トレードに関する詳しいテクニックの記事:米国株投資を極める
Mark Minervini 「ミネルヴィニの成長株投資法」


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