Kana Yamaguchi

古着とアートと音楽。 チェロを弾いています。 Hector Quartetとしてプラハ…

Kana Yamaguchi

古着とアートと音楽。 チェロを弾いています。 Hector Quartetとしてプラハ芸術アカデミー・室内楽専攻。雑誌サラサーテで、留学体験記『ないしょの手紙』連載中。

マガジン

  • 音楽と言葉

    • 43本

    クラシックの音楽家たちによるエッセイ集。#音楽と言葉 ライター: 齋藤友亨(トランペット奏者) 副田真之介(オーボエ奏者) 馬場武蔵(指揮者) 出口大地(指揮者) 山口奏(チェロ奏者) 大田原瑶(声楽)

  • 愛を込めて室内楽を

    プラハ芸術アカデミーに留学し、コロナの渦に揉まれながら4人で荒波を漕いでゆく。そんな冒険体験記です。

最近の記事

漕ぎ続けよう、 そう思う。

あっというまに2020年が終わる。 激動の、暗く、それでいて明るさを見出した、特別な年が終わる。 『愛を込めて室内楽を』 Hector Quartet(エクトル・カルテット)としてプラハ芸術アカデミーに留学し、コロナの渦に揉まれながら4人で荒波を漕いでゆく。そんな冒険体験記です。 留学という旅この一年は色濃かった。 大切な仲間と留学し、壁にぶつかり、帰国した。一見歩みが止まった様に感じるが、そうでは無いと確信している。 帰国してから、この日本で自分を貫くというのは予

    • 難航、 渦、 禍。

      留学が思わぬ難航を示し、一時帰国してから2ヶ月が経つ。この留学を振り替える前に、書いて投稿していなかった記事を投稿したい。 10/31に書いたものだ。 『愛を込めて室内楽を』 Hector Quartet(エクトル・カルテット)としてプラハ芸術アカデミーに留学し、コロナの渦に揉まれながら4人で荒波を漕いでゆく。そんな冒険体験記です。 ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー チェコのコロナウィルスの蔓延は、最悪のケースと言えるほどまで成長した。ロックダウンは最高レベルの厳しさ。感

      • 愛を込めて室内楽を〜カルテット留学のその先〜

        10月1日。成田からアムステルダム経由でプラハへ。 空港にも機内にも人はまばら。皆マスクで顔を包み、心なしか表情は暗い。 異様なタイミングでの留学が始まった。 Hector Quartet私達エクトルカルテットは、この10月よりプラハ芸術アカデミーに入学。師事するのはパノハ弦楽四重奏団。私の中の彼らの思い出はここにある。雑誌サラサーテで留学体験記『ないしょの手紙』を連載するが漏れてしまう細かい雑記をここに残そうと思う。 プラハ、現在コロナ禍の中での留学には常に困難が付いて

        • 命日、スメタナを想う 2

          前回に引き続き、スメタナの人生に思いを馳せたい。 今回の鍵となるのは弦楽四重奏曲第2番ニ短調、最晩年の作品である。 私はこの題材を心に留めた時、とてもしっくりと来た事がある。昨今のコロナ騒動で疲弊している今、スメタナの音楽が私をはっとさせたのだ。 今回はその事について、大切に書いていきたい。 ・・・ 命が尽きるまで、彼を突き動かしたもの 弦楽四重奏曲第二番を書き上げたのは、1882年から1883年の間。すでに聴力は完全に失われ、医師からは作曲を辞めるように言われて

        漕ぎ続けよう、 そう思う。

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        • 愛を込めて室内楽を
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        記事

          命日、スメタナを想う

          5月12日。1884年のこの日にスメタナは60年の音楽家人生を終えた。 136年前の出来事だ。ふとそれを思い出したので、スメタナの室内楽について書きたいと思う。 ベドルジハ・スメタナはチェコを代表する作曲家で、指揮者でありピアニストだった。今でこそ作曲家として名高いが、彼のキャリアのスタートは天才ピアニストからだった事はあまり広く知られていない。 スメタナが生きた時代、チェコは独立への切望の中にいた。長くオーストラリアの支配下にあった反動から、国民は祖国への愛を強く持つよう

          命日、スメタナを想う

          自分にとっての室内楽

          初めに書く文章として、自分が何で出来ているのかを書くのが良いような気がした。日本にいる残り数ヶ月、自分を見つめ直す良い機会として。 そして同じように日本でクラシック音楽を学び留学を考えている人や、心の底から室内楽を愛している人の目に留まればと思う。 私は9歳でチェロを始めた。 学校にある弦楽合奏の部活に入って何とは無しにチェロを選んだ。ソロを学ぶのではなく、みんなで音楽するための道具がチェロだった。始めて数ヶ月で音楽の道に進む事を決めたが、これだけでも、私を構成するものが相

          自分にとっての室内楽

          記憶を記録。

          小さい頃は、小説の世界に憧れた。 ありえないような出来事が起こる毎日、現実離れした世界で私も生きてみたいと強く思った時が確かにあった。 でも、よく考えてみると、今自分の生きている世界があの頃憧れていたような奇妙奇天烈(?)なものなのではないかと気がついた。 ありがたいことに良い意味で珍妙な友人たちにも恵まれ、この先ずっと向き合っていきたいと思うものにも出会えた。 隣の芝生は青いものだが、ふと足元の芝生を見たらびっくり!めっちゃ青いやんツヤツヤやん!こんな素敵な芝生見た

          記憶を記録。