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【映画レビュー5】Mr.ノーバディ【ネタバレ注意】

 手錠をかけられた傷だらけの男。懐から取り出したのはタバコ。ライターで火をつけると、続いて出てきたのはツナ缶。そしてがっちりした缶切り。そして最後に、猫。

「あんた何者?」

 取り調べをする二人のうち、女が言う。傷だらけの男は、ツナ缶を食べだす猫にかからないように煙を吐き出すと、

「俺? 俺は……」

NOBODY

 ドゥーン



ふつうの家庭の父親として

平凡なルーチンワークの日々。
月曜はランニングしてから仕事へ行き。
火曜はゴミ出しを……できずに妻に小言を言われて仕事へ行き。
水曜は懸垂をやって仕事へ行き。
木曜もランニングしてから~。
金曜も懸垂を~……

妻との関係はベッドを枕で仕切るくらいには冷え込み、
息子は挨拶もせず、
癒しは小さな娘だけかもしれない。
そんな平凡な、どこにでもいる会計を仕事にしているお父さん、ハッチ。

 そんな中ある日、夜中に物音に気付く。家を見回すと、妻は寝ている。娘も。息子だけは何かを察して起きてはいるようだ。一回に降りると、そこにいたのは二人の物取りだった。

 音をたてないようにゴルフクラブを手に取り、電話のボタンを押したところで犯人に気づかれる。銃を向ける女の犯人。「電話を置いて!」

 素直に従うハッチ。手を挙げて「大ごとにはしたくない」

「金を出して、現金!」
 だが現金はほとんどなかった。普段はカードを使っているからだ。

 不満を持った犯人は乱雑に、テーブルの上に置かれたボウルからくしゃくしゃの現金と、ハッチの時計を奪う。「指輪もよこしな!」と叫んだその時、二階から息子が男の犯人にタックル!そしてガッチリホールド!

 息子の方に銃を向ける女。チャンス到来!

 ゴルフクラブを構えるハッチ、だが寸前で力を抜き、息子に放してやれと伝える。

 しぶしぶ放す息子。そして犯人に殴られる息子。

 その後犯人は逃走。警察の事情聴取。情けない父親として家族にレッテルを貼られてしまう。

 妻と一緒のベッドに戻るも、いたたまれずに部屋を出てソファに寝転ぶ。娘が眠れないからと寄ってきた。

「怖いか?」「大丈夫、パパがいるもん」

 猫が飼いたいとせがむ娘に同意して、電気を消した。

 翌朝、顔に痣を作った息子が退役軍人のことを調べて書かなきゃないと話し出す。そこでハッチが監査役という裏方の仕事ながら、退役軍人だったことが明かされる。
 だが不満そうな息子。「チャーリーおじさんに聴いたら?本物の兵士だった」妻の心無い言葉。
「おじいちゃんはどうだ?戦闘も経験してるし」
 ハッチの提案に、息子はそっけない。ハッチの父親は老人ホーム暮らしだった。

 会社につくと、同僚の妻の兄弟から話しかけられ、銃を渡される。家族を守れと。
 だが彼はその銃を、会社の冷蔵庫の冷凍室にしまってしまう。

 彼は自分の働いている工場を買い取りたいと思っていた。工場は妻の父親と兄弟がオーナー。そこそこいい条件を提示したはずだが、自分で会社を立ち上げたオーナーは「いい条件だが最高のではない」と難色を示す。

「でも何でここが欲しいんだ?」
「自分のものと言えるものが欲しくて……」
「……わかるよ」


 そんな彼には秘密があった。

 仕事部屋の個室、棚の蓋を開けると出てきたのは無線機。
 彼は誰にも知られずに『誰か』と交流をしていた。
 『誰か』は事情通で、ハッチの家に強盗が入ったことすら知っていた。

〜〜

 猫ちゃんのブレスレットがない。
 『ボウル』に入れてたはずなのに。

 娘の言葉に火がついたハッチ。溜まった不満をぶつけるときが来た。

 父親のもとへ向かい、なぜか持ってるFBIの手帳と銃を借りて捜査開始。手がかりは犯人の腕に彫られた入れ墨だ。

 入れ墨の彫師たちを巡る中、手帳が古くて偽物のFBIだとバレるハッチ。だが、同時に退役軍人がハッチの入れ墨に気づく。慄く退役軍人はそそくさとその場をあとにして、周りもハッチに「なにかある」ことに気づく。

 そして犯人を突き止め、犯人の家に突入。
「猫ちゃんのブレスレットを返せ!」

 だが犯人の家で見たのは呼吸器をつけた乳児の姿だった。
 子供のことだけはと懇願する犯人夫妻。ハッチは時計だけを奪い返し、その場をあとにするのだった。

 やり場のない怒りを壁にぶつけ、ハッチはバスに乗った……

 そしてそこで「この怒りをぶつけてもいい相手」に出会う。


ヤミノくんの評価

  • ストーリー・設定:★★★☆☆

  • 絵作り・演出:★★★☆☆

  • 演技:★★★★☆

  • おすすめ度:★★★★☆

 こういうタイプの映画にありがちな「実は最強」の主人公にしては、かなりアクションシーンも現実的で説得力のあるものになっていた気がする。
 バスのシーン、相手に先制されたりとか、お父ちゃん無理すんな!からのブチギレモードの爽快感というか。

 ラストの大暴れでは、まぁ、映画ですから。うん。

 ストーリーラインや見せ方も良かったし、嫌な気持ちにならないアクションをみたいな〜。別にエロとかそういうのいらないやつ〜。
 ってのを求めてるあなた!
 ぜひご覧あれ!

 ※アマプラだと字幕版の字幕ズレてるらしいのでそこだけ注意ね。


本編を見終わった後に見るとなんとも言えない予告編

コメディアンだったの?!

たまったものを吐き出してしまった上、バスを投げ出されてからは本気で自分の枷を外してしまったシーン。マジギレとも言う。

良い映画でした。

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