夕暮れの街をあなたと歩いた
夕暮れの街をあなたと歩いた。
路地裏で猫が寝転んでるなんて冗談を言ってあなたは笑っていた。
そんな当たり前が続くと思っていた昨日の私に、さようならをした。
夕暮れの差し込む一人の部屋であなたの笑顔を真似してみた。
ぎこちなくてなんだか笑えた。
あなたの置いていった歯ブラシに水滴が少し残っていて、差し込む夕日を反射していた。
それは一体誰の涙?
すれ違いや諍いだって思えば小さいことだって正当化したって自分は騙せない。
私はそんなのもうわかる大人だ。
でも、今日は子どもでいたいなんて願ってもバチは当たらないだろう。
いくつもの後悔が今日の風に乗って消えていった。
あなたに出会えてよかったなんて本当に言えるだろうか。
ひとり泣いている私を笑いに来てくれないだろうか。
好きだよ、まだ。
夕暮れの街を一人で歩いた。
路地裏では猫が寝転んでいた。
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