2023/6/18 単発バイトの話

学生時代のアルバイトのことを思い出したので書いてみる。

大学4年生の夏に一度だけ、パーティーコンパニオンのバイトをした。
妹の友人のお母さんがやっている会社に、単発で入らせてもらうことになったのだ。

立食パーティーでお酒を持って立っているだけの人のつもりで現場へ行ったが、実際は着物に着替えて髪を結い、座敷に入ってお酌をする仕事だった。

今思えば、おじさん達の会合における「お花」という役回りのものだったと思うが、何の研修もない突然の接客仕事に戸惑い、ほとんど何もできなかった。

瓶ビールの栓抜きにすら四苦八苦している私を見て「何て箱入りな子なの!」と笑われたのを覚えている。
けれども先輩のお姉さま方は優しかったし、おじさん達から私を守ってくれた。

宴席は地元の企業団体か何かの集まりで、のんびりした60代位のおじさんばかり。
お酌のマナーをよく知らないコンパニオンの私にも比較的優しかったような気がするけれど。
(ベテランのコンパニオンさんがすれ違いざまにお尻を触られているのには衝撃を受けたが...。15年以上前だから、今はどうなのだろう。)

ひっつめのお団子ヘアで縦じま模様の青い着物を着ていたら、「河童の沼から出てきたみたいだね」と言われたことは覚えている。
どういう意味だったのか、今でも気になる。

苦笑いをしているうちに宴会は終わり、車で事務所へ帰ってきた。

友人のお母さんはお店も持っていて、他のお姉様方は、夕方からそちらでも接客すると言う。
どうするかと聞かれて、せっかくなので自分も店に出てみることにした。

地元・千葉の繁華街にある、ひなびた小さなラウンジ。着物からペラペラの貸しドレスに着替え、とりあえず席についた。
夕方の早い時間帯なので、最初は常連のおじさん2人のみだった。

一緒に入ってくれたお姉さんからは無理して飲まなくていいからねと言われていたのに、いけるクチなものだから水割りを何杯か飲み、いい感じに出来上がってしまった。

気遣いのきの字も分からないほろ酔いの小娘に若干引きつつも、楽しげに話してくれる2人。
もう少ししっかり化粧すればもっと美人になると思うよ、というようなアドバイスを受けた記憶がある。(化粧が薄かったのだろうか...?)
2人が帰るタイミングで、お見送りをして私も退勤した。
顔も思い出せないおじさんに、ご機嫌でバイバイしたのを覚えている。

再びそのお店で働くことはなかったけど、今でもふとした時に、あのアルバイトのことを思い出す。

お店の名前、なんだっただろうか。
あの時優しくしてくれたお姉様方は、今どうしているだろう。

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