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武力攻撃は想定外、原子力発電所の過酷事故は避けられない 20220325

weekly newsletter 051/20220325

 3月9日、経済産業委員会において原子力発電施設の安全について質問いたしました。

 ロシア軍によるウクライナの原子力発電施設への攻撃、占拠が大きな問題になっています。

 ロシア軍は2月24日の早朝、約100発の中・短距離、巡航ミサイルを連続して発射、約75機の重爆撃機や中型爆撃機を使い、主に軍事施設や防空関連施設を破壊、その後、地上軍による侵攻を開始しました。同日すでに1986年に爆発事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所を掌握しています。3月4日には、ウクライナ南東部にある欧州最大規模の原発であるザポリージャ原発がロシア軍により占領されています。

 原発が武力攻撃の標的となるという原発大国の日本にとっても看過しがたい極めて重大な事態が発生しています。

武力攻撃は想定外

 質疑では日本の原発が、ロシア軍のような武力攻撃を受けた場合のリスクについて、原子力規制委員会更田委員長に質しました。委員長からは、二国間の紛争による武力攻撃を安全審査では想定していない、今回のウクライナの原発のように軍により占拠されてしまいコントロール全体を握られれば、その後どんな事態も避けられない、という答弁がありました。

原子力発電所に迫る武力攻撃

 原子炉は堅牢な格納容器に守られていますが、ミサイル攻撃に耐えられるように造られているわけではありません。また炉心が守られたとしても周囲の冷却のための配管や制御装置、使用済核燃料プールなどは簡単に壊されてしまい過酷事故を引き起こします。

 政府は、ミサイル防衛システムがあるので、ミサイルの被弾はないと繰り返し説明して来ましたが、今回のロシア軍のような大規模なミサイル攻撃に対し完全に対応できる保証はない、極めて厳しい状況にあります。

2つの方向性

 気候危機やロシアによるウクライナ侵略等を受けて、原油・LNGなど化石資源の高騰が続いています。こうした事態を受けて、原子力発電所の再稼働を求める声が上がっています。

 一方で、ロシア軍による具体的な軍事行動の前に、原発の安全の前提は大きく変化しました。原子力発電所に対する武力攻撃という新たな過酷事故のリスクが顕在化しています。

 エネルギー安全保障また国家安全保障の観点からも、エネルギーの自給が可能な再生可能エネルギーによる分散ネットワーク型のシステムへの移行を一刻も早く実現すべきです。省エネも組み合わせて化石燃料依存、原発依存からの脱却を目指すエネルギー政策を提案、実行して参ります。


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