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横浜を襲う大災害に備えて、避難所・避難生活の質を高める 20230318

weekly newsletter 060/20230318

災害対策特別委員会にて、避難所の問題を取り上げる

 災害時の避難所の環境改善に取り組んでいます。首都直下、東南海を襲う大震災では大量の避難者が発生、避難生活の長期化も予想されるところ、避難所、避難生活の質を高め災害関連死の発生のリスクを低減することが重要です。避難所の運営について人権意識をもって臨む必要があります。
 特に避難所の設備として注目しているのが、簡易ベッド、段ボールベッドの導入です。日本の避難所は未だにいわゆる雑魚寝が一般的でベッドの普及が遅れています。雑魚寝はエコノミークラス症候群をひきおこし命に関わる重篤な健康被害を誘発することが研究でも明らかになっています。こうした健康被害を防ぐために、基本的にすべての避難者にベッドが提供される環境を作る必要があります。

2018年7月の豪雨災害にて

 2018年7月、西日本を中心に大きな被害をもたらした豪雨災害で段ボールベッドの導入を支援しました。その当時は、段ボールベッドの重要性について認識が十分ではなく、内閣府防災の担当者の取組も極めて不徹底でした。内閣府の許可を得て、私の事務所で被災自治体にFAXを入れ、段ボールベッドの重要性を伝え必要数を教えて頂く作業を行いました。その数字を段ボール工業組合にお伝えし、導入を進めました。岡山県真備町の岡田小学校では地元の議員とも連係して受け入れ体制を構築、全ての避難者に段ボールベッドを使っていただくことができました。

段ボールベッドの導入

 段ボールベッドの導入については、まずはその重要性についての理解促進といざという時の発注から導入までの手順の整備が必要です。段ボールベッドはかさばるため備蓄は難しいのですが、避難所からの要求があれば、1週間程度で必要台数を製造して届ける体制が構築されています。

政府の対応は不十分

 段ボールベッドの重要性について、内閣府防災は「避難所運営ガイド」に記載しているとしていますが、現場には伝わっていません。戸塚区、泉区の防災訓練を回っても段ボールベッドの存在を知っている方は極めて少数です。政府には段ボールベッドの重要性について周知徹底するように求めました。

 また、手配の仕方やロジスティックスについても問題がありました。先月、段ボールベッドの調達を担当する経産省に確認したところ具体的な調達手順をまとめたマニュアルは作っていないとのことでした。それでは緊急時に対応できないということで、急遽、経産省の調達手続きに関わるマニュアルを作っていただきました。

 内閣府防災に対して、段ボールベッドのように他の省庁が関与する避難所に必要な物資、機材にはどのような物があるか、それぞれの調達に関して業務マニュアルが整備されているかを至急調査するよう求めました。

 緊急時、物資や機材の調達を的確に行うために、行政の縦割り、国と自治体の分断を排除し、メーカーから現場まで一貫した情報管理と調達・配送の指令機能の確立が必要です。

 いのちを守る防災を目指して今後も問題点を指摘し改善に繋げていきます。


神奈川新聞(2023/03/17)より

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