見出し画像

婚礼調度品

こんれいちょうどひん

婚礼の際に調えられた道具一式。江戸時代になると、徳川家や大名の姫君たちのために贅を尽くして用意されました。

江戸時代の武家にとって、御家の繁栄・衰亡に関わる婚礼は重要な政治活動でありました。
婚礼に際して女性が相手方に持参するのが嫁入り道具、つまり「婚礼調度品」です。身の回りで用いられる化粧道具や文房具、遊戯具など、意匠が統一されて制作された道具一式は、その家の格式、財力、政治力、文化水準を示す大切な道具であり、多額の費用がつぎ込まれました。
婚礼調度は女子が誕生した時点で発注されます。数年かけて、蒔絵などの華麗な意匠が施され、家紋が散らされた調度品が制作されました。
中でも徳川美術館に所蔵される徳川家光の娘・千代姫が嫁ぎ先の尾張徳川家に持参した調度品は、国宝に指定される逸品。75種の調度品のうち、『源氏物語』23帖「初音」の情景と歌から意匠の題材がとられている47種は「初音の調度」と呼ばれます。
婚姻に際しても家の力をアピールするため盛大な輿入れ行列が編成され、婚礼の象徴的道具である「貝桶」が先頭に配されました。

豊姫婚礼調度  東京国立博物館蔵


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?