山﨑白露

文筆家。Instagramでは日本の文化や美術を発信中です。

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  • 著書紹介

    私の著書を紹介します。 読んでください。

  • まいにち日本文化

    日本文化を構成するエレメントを、毎日紹介していきます!

  • 教えて!チャットGPT 先生。 『明るいお悩み相談室』

    珍回答、名回答、迷回答続出! さまざまな人々のいろいろなお悩みに対し、果たしてチャットGPTは気の利いた回答ができるのか?名アドバイザーになれるのか?

  • 日々誰かと格闘する!

    猛獣、宇宙人や実在の有名人など、誰かを仮想敵に仕立て、戦って勝つ方法を考えていきます。考えるのは主にAIです。考えても勝つ方法がない場合もありますし、物理的にやっつけることだけが勝つ方法ではありません。例えば、逃げたとしても、生き残ることができれば、それは勝ち、あるいは勝ちに近いと言えます。 一応断っておきますが、仮想敵の相手に恨みがあるわけではありません。それとあくまでAIが生成した答えですので、鵜呑みにはしないでくださいね。

  • 日々是美術

    外国人に自慢したい日本の美術品の数々を、日々アップしていきます。乞うご期待!

最近の記事

車争図屏風

 豊臣秀吉の側室淀殿が、嫁ぐ養女の完子(さだこ)と新郎のために新築した九条御殿の襖絵で引手跡がみえます。『源氏物語』の葵の上と六条御息所の行列見物の場所争いで、乱闘場面を表わす円環状の構図が見事です。この仕事で山楽は九条家から信頼され、庇護を受けることになります。 4枚のパネルがつながった屏風です。右半分は人物や馬の行列が整然と進んでいますが、左半分は人や牛車(ぎっしゃ)が入り乱れ、混乱した様子です。何が起こっているのでしょうか。 これは「源氏物語」の一場面です。一番右のパ

    • 金太郎

      現在の神奈川県と静岡県の境にあったとされる足柄山(あしがらやま)の山奥で山姥(やまうば)に育てられたという伝説の怪童。大江山の酒呑童子(しゅてんどうじ)退治で武功を立てた源頼光(よりみつ、「らいこう」ともいう)四天王の一人、坂田金時(古くは公時[きんとき]とも書く)の子供時代の名前とされています。平安時代末期の『今昔物語集』には頼光の郎等として、鎌倉時代の『古今著聞集(ここんちょもんじゅう)』では四天王の一人として公時の名が見えます。 金太郎の説話は英雄の生い立ち物語で、近世

      • 観楓図屏風

        紅葉の名所として名高い京都洛北の高雄、清滝川のほとりで紅葉狩りを楽しむ人々を描いた屏風です。画面の向かって右側、川の手前では子供連れの女性が茶売りの茶や酒を飲んで紅葉をめでながら楽しいときを過ごしています。橋の上では一組の男性が笛を吹き、童子を伴った僧が、語らいながら橋を渡ろうとしています。左の輪になった男性の一群は、拍子をとりながら舞を舞い、酒宴に興じています。そして、画面中ほどにかかった雲の奥には、画面右に宝塔のある神護寺、左に冬の到来を告げる雪景色の愛宕社の鳥居と参道が

        • 神楽

          かぐら 神楽は、祭礼などの際に神前で演じられる舞のことです。 「神の宿るところ」を意味する「神座(かむくら)」を語源とし、本来は「神座」に神を招き、榊の枝などの採物(とりもの)を持って舞う舞踊を伴った神事でした。その起源は、日本神話に伝えられる天照大神(あまてらすおおみかみ)の岩戸隠れの際、岩戸の前で桶を踏み鳴らし、胸乳をあらわにして舞い、神々を大笑いさせた天鈿女命(あめのうずめのみこと)の踊りにあるとされています。これが祭りにおいて神をもてなす舞となり、芸能へと発展。神楽

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        記事

          齧歯(げっし)目ネズミ亜目の動物。農産物や食糧、家屋に被害を及ぼす害獣ですが、それだけに人間社会との関わりも深いのです。 一般に齧歯目ネズミ亜目に属する哺乳類の総称。繁殖力が強く、ほぼ世界中に分布します。哺乳類最大のグループである齧歯目で最も繁栄しています。多くが小型で、体長9~20cmのものが大半。主として夜行性で、植物を主食とするものが多いです。普通はノネズミとイエネズミに分けられ、ノネズミ類は約20種で山林、原野、農耕地などに棲みます。イエネズミ類はドブネズミ、クマネ

          禅宗祖師図

          祖師図とは、仏教の修行上の教師であり、模範とすべき先輩の姿を描いたもののことです。これは、京都市北部にある大仙院の衣鉢(えはつ)の間という部屋の襖に描かれていたものを、保存のために掛軸に仕立て直したものです。絵を描いたのは室町時代の絵師、狩野元信(かのうもとのぶ)。室町時代中期から江戸時代にかけて活躍した日本絵画史上最大の絵師の集団、狩野派の基礎を作った人物です。   ここに描かれた祖師図は、中国・唐時代に活躍した禅僧のエピソードを基にしたものです。向かって左から、禅僧・霊雲

          禅宗祖師図

          長寿と健康のシンボル。松に鶴のモチーフは多くの絵画に描かれます。 ツル科4属15種の大型の鳥の総称。日本では北海道の釧路湿原周辺の留鳥であるタンチョウ、本州・九州に冬鳥として飛来するナベヅル、マナヅルが知られる。アジアに多い鳥です。 西洋でも東洋でもツルは縁起のよい鳥、瑞鳥(ずいちょう)とされてきました。中国ではツルは1600歳にして初めて子を産む長寿の鳥とされました。これはツルの鳴き声が大きく響くため、その長く特徴的な気官(ラッパ管)を漢方の任脈(前正中線を流れる経路で生

          将棋

          しょうぎ 20枚の駒を駆使して競う盤上遊戯 2人で勝負を争う盤上遊戯。81マスの盤にそれぞれが定位置に20枚の駒を配置し、交互に駒を動かしながら相手の王将を取ることを目的とします。駒は王将、飛車、角行、金将、銀将、桂馬、香車、歩兵の8種類があり、それぞれ動きが異ります。相手からとった駒を自らの駒として使用できる持ち駒のルールがあり、これが西洋のチェスや中国のシャンチーといった2人用の盤上遊戯と将棋が大きく異なる点です。将棋の原型は、チェスなどと同じく、古代インドのチャトゥ

          巫女

          みこ 神事などで神役を果たす女性を指します。古くは邪馬台国の卑弥呼や、ご神託を伝えたという神功皇后の伝承があります。 神社に奉仕する女性のうち、神楽や湯立(ゆだて)の神事などで神役を果たす者のことをいいます。 かつては、神懸かりして神の言葉を述べるシャーマンとして祭祀の中心にいました。古くは、邪馬台国の卑弥呼(ひみこ)が鬼道(きどう)に仕えたという伝承や、神懸かりして住吉の神の託宣を伝えた神功皇后の伝承があります。 古代律令国家においても、皇族の女性が斎王として伊勢神宮の天

          紅葉狩

          もみじがり 紅葉(こうよう)を鑑賞する意で、能の曲目などとしても有名です。 秋の野山に出かけて紅葉を鑑賞する行事・風習。古くから宮中などで行われていましたが、江戸時代になると庶民の間にも広まって、下谷の正燈(しょうとう)寺、品川の海晏(かいあん)寺や東海(とうかい)寺など、江戸の紅葉の名所として著名になりました。 能の曲目としても取り上げられ、室町時代後期の観世信光(かんぜのぶみつ)の作で五番目物(江戸時代の1日の番組編成基準に基づく五番立分類で、第5番目に置かれる)。

          かき カキノキ科の落葉高木。古くから栽培され、食用の果実をはじめ用途が多く、暮しを支えました。 カキノキ科の落葉高木。日本では本州〜九州、中国の山地に自生し、また古くから栽培されています。幹は直立し、高さ5~10メートル、よく分枝し、葉は短楕円形で光沢があり、秋に紅葉します。5月下旬から6月上旬に白い花が咲き、秋に黄赤色の実を結びます。果実は大小さまざま、形も円、楕円、円錐などがあります。甘柿と渋柿に大別されます。 10世紀の『本草和名(ほんぞうわみょう)』に柿は「錦葉

          婚礼調度品

          こんれいちょうどひん 婚礼の際に調えられた道具一式。江戸時代になると、徳川家や大名の姫君たちのために贅を尽くして用意されました。 江戸時代の武家にとって、御家の繁栄・衰亡に関わる婚礼は重要な政治活動でありました。 婚礼に際して女性が相手方に持参するのが嫁入り道具、つまり「婚礼調度品」です。身の回りで用いられる化粧道具や文房具、遊戯具など、意匠が統一されて制作された道具一式は、その家の格式、財力、政治力、文化水準を示す大切な道具であり、多額の費用がつぎ込まれました。 婚礼調

          婚礼調度品

          染織

          せんしょく 古代から続く日本の染物と織物。江戸時代にその文化が開花しました。 布を染める「染物」と布を織る「織物」の双方を指します。一般に繊維に色をつけて織った、織物として完成されたものを指し、裁断・縫製を経て衣類として完成する段階までを含めません。 諸外国の織物の繊維素材としては、羊毛などが広く利用されますが、日本での繊維素材は主として絹、麻、木綿などが使用されます。日本の染織工芸では染物の染料として、主に紅花や藍、梔子などの天然の素材を中心的に利用しています。 日本列

          十五夜

          じゅうごや 陰暦8月15日、中秋の名月のもとに宴を催し、豊作を祈願する月見行事。  陰暦の15日、満月の夜のこと。三五(さんご)の夕べとも。特に陰暦8月15日の夜を指し、「中秋の名月」のもとに看月の宴を催しました。月見団子・芋・栗などを供え、ススキや秋の草花を飾ります。かつては供物を子供たちが持ち去るのを喜ぶ風習もありました。享保20年(1735)刊の『続江戸砂子』は、「名月」として今宵は歌人騒客(かじんそうかく)の晴を期する夕とし、今宵の月を鑑賞することは、およそ中国唐

          竜と金翅鳥

           竜族は大海の底や無熱池に棲んでいる。ヒマラヤ山脈の頂上にあるとされる無熱池に棲める竜はわずかで、大抵は大海に住んでいた。それらの竜は、無熱池の竜を羨ましがっていた。何故なら大海の竜は、ある耐えられない苦に苛まれていたからである。 人間からみれば竜は大きく強いが、それよりさらに大きい金翅鳥の餌食になっていたのである。この苦患は竜が受ける三患のうちの一つとされている。 さて金翅鳥であるが、迦楼羅、ガルーダとも呼ばれ、古代インドの伝説上の巨鳥である。もともと邪神であったが、仏教

          竜と金翅鳥

          曾我兄弟

          そがきょうだい 仇討で名高い鎌倉時代初期の武士。 鎌倉時代初期の武士。伊豆国の豪族、河津三郎祐泰(かわづさぶろうすけやす)の子息の兄弟で、兄は十郎祐成(すけなり、1172-93)、弟は五郎時致(ときむね、1174-93)と称しました。安元2年(1176)父の祐泰が所領争いから工藤祐経(すけつね)によって殺害され、幼い兄弟を連れた母が曾我祐信(すけのぶ)に再嫁(さいか)したため、兄弟は曾我氏を称しました。源頼朝(よりとも)の寵臣で、鎌倉幕府の重臣となっていた工藤祐経は、曾我