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命とその価値について

最近恋愛をテーマにした小説をリサーチするようになった。その中で新宿の紀伊國屋書店で見つけてきた本がある。この本を選んだのは単純で表紙の印象派のような絵に惹かれたからである。

あらすじの細かな部分は割愛するが、それぞれ大切な人を亡くした人々の物語で短編小説である。旅を通してそれぞれの命の意味や人々のつながりを再確認するといったテーマだと感じた。

自分の中では今まで死生観というものをまともに捉えたことがなかった。それはただ現在を生きるのに精一杯な部分もあるが、それ以上に死というものを極端に恐れているせいもあるのかもしれない。

死とはなにか。所謂死生観というのは人それぞれ違うものである。幼少期から親族や身近な人を亡くしている人や、自分が死の淵まで追いやられた経験を持つ人の死生観はまた違うものであろう。そうした人の中では死は恐れるものではないかもしれないし、死の先には安らぎの境地がある。そう信じている人もいる。輪廻転生を信じる人も多いだろう。

ただ私の場合、改めて考えてみると死というものは恐怖でしかない。どのようなプロセスで死に向かっていくのかはわからないが、少なくとも死の瞬間にはとてつもない苦痛があるのかもしれないし、問題はそのあとである。自分が今感じている意識や経験といったものは一瞬で無に帰すのである。無に帰したあと人は何を感じるのだろうか。それは誰にもわからないし物理的に説明できるものではない。その世界は自分にとっては恐怖である。

死を考える上でもう一つ重要なテーマは残された人々である。今回テーマにしたこの本も残された人々に焦点をあてて物語が進む。親族であったりとか友人、その死を周囲に共有していくうちにまた新たな人の繋がりが生まれる。残された人々はそうしてその人の生きた証を残していく。果たして自分の生きた証はどのように残していかなければならないのだろうか。

今日(2024/03/24) 14:45頃 東武スカイツリーライン北千住駅にて人身事故が発生した。偶然にもその場に私も居合わせていたが、実に緊迫した現場となった。詳しい状況はわからず、死傷者が出たかどうかもその場ではわからなかったが、亡くなられた方や怪我をされた方がいたらお悔やみを申し上げたい。

近年、鉄道での人身事故が増加している。特に明らかに自殺と思われる状況も増えていて、ニュース等で報道される機会も多いだろう。
電車に飛びこむという選択。そして接触する最後の瞬間の苦痛、それを考えたとき果たしてその選択はほんとに正しいものなのだろうか。

最近盛んに安楽死を合法化することが議論されている。今まさに命の価値やその命の意味をもう一度考え直す必要があるだろう。

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