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永守重信『成しとげる力』サンマーク出版

永守重信氏は、日本電産の創業者であり、社長を後任に譲ったとはいえ、未だに会長として実権を握っているカリスマ経営者である。本書の題名のとおり、成しとげる力については、この方の右にでる人はいないのではないかと思っている。

「一番以外は、全部ビリだ」は強烈な言葉である。本書でも、平昌オリンピックで金メダル2個を獲得した高木菜那選手に、気合いを入れ続けたエピソードを載せていいるが、オリンピックも金メダルの一人勝ちである。

確かに一番が一人勝ちする時代である。つねに一番を目指す著者の主張には説得力がある。そのためには、真似をするだけでは人を超えることができない。創業以来、稲盛和夫さんを目標に経営をやってきたという。しかし、アメーバ経営が自社に馴染まないと判断し、「事業所経営」という独自の経営手法を編み出したという。

「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」の日本電産の三大精神も有名である。「あとから来る急行より、先に出る普通列車に飛び乗れ」が重要という。リスク回避のためには、目的地に少しでも近づいておくことが必要であるからだ。

「現場・現物・現実」の三現主義や、整理・整頓・清潔・清掃・作法・躾の6Sは、小さな問題も見逃さない著者の経営姿勢をよく表わす言葉であり、これらの考え方は、非常に有益である。

しかし、絶対に辞めろと言ったことはないというが、実際には自ら辞めていく人がいるのではないかという反論も聞こえる。また、休日に会議をやることに、ついていけない人もいる。しかし、著者は、自ら信じるところを本気で進んでいることがわかる。成しとげることについては最高である。

経営にタッチする方にとって、著者のユニークな考え方は、実に参考となると思われる。なぜなら、著者が自らの頭で考えたことであるからである。小さな批判をするよりも、著者の考えたをまず受け入れて、その上で、自分の頭で考えることが重要かと思う。著者も言っているように、他人を真似ただけでは、成功できないからでもある。

本気で著者のあとに続いてくれる若者を求めている。自ら考えて行動することを求めている。若い方に読んでもらいたい本であると思う。



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