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見坊行徳、三省堂編修所『三省堂国語辞典から消えたことば辞典』三省堂

国語辞典も、版を重ねるたびに掲載されている言葉が入れ替わっていることは、それとなくわかっているつもりでいた。

三省堂国語辞典、いわゆる「三国」の80年の歴史の中で、掲載されていたのに消えてしまった言葉を集めたのが本書である。「消えたことば辞典」という署名から興味を持って手に取ってみた。

テレビ番組や、新聞で、「辞書から消える言葉」が、繰り返し取り上げられたことが、本書ができるきっかけとなったとのことである。

1万円札の肖像は、昔、聖徳太子であった。そのため、1万円札の俗称として、「聖徳太子」が辞書に載っていたが、福澤諭吉に変わり、「諭吉」に交代した。渋沢栄一に変わると「諭吉」も消えることになるだろう。

「ながら族」は、確かに、最近聞かなくなった言葉である。実際には、リモト勤務で、音声を消したテレビでスポーツ観戦している人がいるらしい。これも「ながら族」と思うのだが、本当はまずいので表には出て来ない。

「ウルトラマン」が、作品紹介としては異例なことで見出し語となっていたが、今ではなくなっている。

「うでたまご」も乗っていた。普通には「ゆでたまご」と言うと思うが、私は子どものころ、まわりは「うでたまご」と言っていたし、「ゆでる」でなく「うでる」と言っていた。教師に訂正させられたことから感慨深い。

辞書を作成するために必要な「ワードハンティング」も消えた言葉となっている。見坊豪紀氏が、自らのメッセージを書きたいための見出し語であったようである。

いつの編纂でなくなったかも確認できるので、言葉に興味がある方は、是非手に取って確認していただきたい。


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