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おちまさと『がんばるが1割』小学館

「がんばりすぎて、つかれてしまた人」に向けて書かれた本である。イラスタレーターのともわかさんが描いた物憂げな女性が表紙を飾っている。この本では、「がんばれ!」とは言わないという。

がんばることは必要だが、がんばりすぎは意味がないという。寸暇を惜しんで努力したあげく、体を壊してしまうと元も子もないという。がんばりが報われるように、意味のあるがんばりが必要という。

想像力を働かせて工夫をすれば、もっと短時間で終わるかもしれない。仕事で最も重要なことは、いかに効率化を上げるかにある。属人化している作業なら、マニュアル化する。浮いた時間と余った人手で、新たな仕事を生み出す。

ビートたけしさんは『たけし!オレの毒ガス半世紀』という本で、「人生に期待するな」の一言で締めている。「そもそも報われなくて当然」と自分への期待を捨ててしまえば、がっかりすることはない。

がんばるという過程よりも、結果を大切にする。イレギュラーな事態にも臨機応変に対応できるように、バッファ=余白を保っておくことが必要不可欠である。

等身大の自分より、大きく見せない。ちょっぴりズレている感じが、かわいげになる。なんでも知っていると強がる人よりも、素直に知らないと言える人のほうがかわいい。

会話に苦手意識をもっているとしても、相手が話し出すようにプロデュースすることができる。そもそも人は話したい生き物である。相手の話したいことを引き出してあげることに徹してみる。がんばって話す必要はない。

相手に気持ちよく話してもらうためにに、意識すべきことが3つある。
1 リスペクト
2 環境設定
3 餅こねワード(相づち)

初対面からビジネスが始まる。緊張しすぎてしまう人は、シミュレーションをする。相手のプロフィールを調べることが難しくても、会社のことは調べることはできる。想定外の展開となっても、素直に自分の思いを伝えることが、武器になることがある。

自己紹介のとき、「趣味は映画鑑賞です。」と最初に結論を言うのではなく、「ゾンビ映画は絶対チェックします」など、相手に質問するように仕向けることで、こちらに興味をもたせる。

話をし続けるためには、話を聞いてくれる人が必要だ。ちょうどいいタイミングで相づちを打てば、話し手はますます勢いづき、聞いていないことまで話し出す。

「たしかに」
「神だわ」
「かわいい」
「好きだわぁ」
なるべく簡潔で短い言葉、そして肯定的な言葉を返す。

褒めることは両刃の剣である。褒めるときのポイントは、相手をむりに持ち上げるのではなく、自分を下げて見せる。また、相手の過去ではなく、現在を褒める。さらに、「間接的に褒める」、「小声でつぶやいて褒める」というテクニックもある。

続けることを意識すれば、むりすることなく、習慣になるはずである。なにごとも始めるときには「どういうやり方をすれば、続くかな」という視点で考えてみる。むりなく、自分が心地いいと思える計画を立てる。

がんばった姿を見せると、他人の期待値が上がって、結果を出して当然と思われてしまう。
「これダメな例かもしれないんだけど」
「これわかんないですけど」
「今思いついたんですけど」
自分の意見を言う前に、期待値を下げる枕詞を積極的に使う。

会議では司会をするより裏MCを行う。場を俯瞰し、司会の進行が少し雑で、周りがついていけないな、といち早く気づいて補足したり、質問する。いいアイデアを提案しているけど伝え方がうまくなければ、言い換えする。

攻撃的な言葉には、敬意の言葉を返す。相手の経験などを褒めて、攻撃の矛先を、自分から自分以外のものへそらす。うまく返せると、自分の体験がありがたられていると勘違いし、思い出を得意げに話すことになる。

休日はきちんと休んだり、趣味などを楽しむことにしても、心のスイッチだけは、ニュートラルにしておく必要がある。アイディアは日常から生れる。ニュートラルにしておくことで、日常で浮かんだアイディアを仕事につなげていくことができる。

興味のあることを「1回やってみる」という小さな経験の積み重ねが、人間を分厚くする。また、育児は子どもが成長するだけでなく、自分の成長につながる。

会社や社会にとって、自分はかけがえのある・・存在で、自分の代わりはいくらでもいる。しかし、自分の人生にとって自分はかけがえのない・・存在である。世界は自分がいなくても回るのだから、なにもとらわれず、もっと自由に、自分の選ぶ好きなほうに向かうことができる。

テレビ番組のプロデューサーである著者の「がんばらずに、がんばる」(Work Hard Not Crazy)の方法を説いた本である。少し隙を見せて相手に突っ込ませるなどのテクニックを紹介している。

「ダメ元」の気持ちで少し気楽にがんばろうという著者の提案を受け入れても良いと思う人には是非購読を勧めたい。

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