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Exitについて|山をおりる Newsletter Vol.02 [Introduction]

Photo by Tom Paolini on Unsplash

山をおりる Newsletter Vol.02 より転載(2020年6月2日配信)

収録|6月2日@Discord

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Haruguchi: 最初に宣伝すると、Placyのそうまくんが始めた「Post-Quarantine Urbanism」の日本語版をちがう山をおりるで連載することになりました。各国で都市を研究する同年代が考えているポストコロナ社会を垣間見ることができて、翻訳していて学びがめちゃあります。いま現在は中国・武漢からとスイス・チューリッヒからの2本がアップされています。
中塚は翻訳の中でどう思いましたか?

Nakatsuka: チューリッヒの記事で、バルコニーの新しい活用法が面白いなぁと思いました。ラカトン&ヴァッサルが設計したマンションのバルコニーを拡張する改修プロジェクトを連想します。

またバルコニーで新しい生活環境を作ることと、それによって身体性が変わることが同時に起きることに面白さがあるのではないでしょうか。

例えば日本のこのHAGAZINEの記事でも、自宅に「小さなジャングル」を作って、身体性が変わるようなことが書かれています。

H: おお、はじめて読みました。面白いですね。

僕もチューリッヒの記事で、バルコニーを介したパブリックについて改めて考えさせられましたね。ここでいう身体性の変化は、公共性?みたいなものの変化でもあるのかなぁ。

N: 海外のバルコニーで音楽を楽しんでいる動画を見ると、バルコニーが他人との接触の無い個人的な空間でありながら、コンテンツだけで繋がっている。ちょっとネットっぽい空間だな、とも思いました。

音楽に対して、ノれるか、ノれないかで判断する文化というのも大きいのでしょうね。

H: そうですね。そこはぜひ都市と音楽を結びつけようとしているPlacyのそうまくんに話を聞きに行きましょう!

N: ですね。

  Exitについて

H: HAGAZINEの記事のタイトルに「衣食住からの脱走」とありますが、僕はいま「Exit」が大きなテーマになったと思っています。

N: それは例えばどのようなものですか?

H: Exitは出口という意味です。「「いまここ」の現実からどのように抜け出すか」*1 というテーマは、トランプ以降、ブレグジット以降、コロナ禍以降、最近のBlack Lives Matter以降、ますます大きくなっていると思うんですよね。

Exitというからには、内と外の境界線が引かれているわけだけど、その境界が都市や空間を包括できなくなってきているような気がしているんです。ここに、例えばアナキズムと都市みたいな議論が生まれる気がする。

ちょっと整理すべきですねこの話…改めますw

N: ww

「「いまここ」の現実からどのように抜け出すか」という感覚は良く分かります。新しいモデルへ移行したいけど、既存の制度や慣習、都市インフラが絡み合って、結局元のままにならざるを得ない、という状況が続いてますね。

*1|「いまここ」は実存主義的な文脈で使っていて、たとえばアラブの春的なSNSを介した運動は個人の実存(私の生と世界を接続したい)から発露しているけど、それはある種ポピュリズムとして機能してしまっていまのトランプ、ブレグジット〜がある、そこから抜け出す方法を考える必要がある、という主旨ですね。複数の年代の黒人同士が諭し合う動画がTwitterでバズってたけど、あれもまさに「いまここ」からExitする方法を見つけろという話だと思ったんです。(H)

つづく

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Photo by Paul Earle on Unsplash

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