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館長が出てくるボタンの話(全文無料)

2020年7月、絶賛コロナ爆発中に設置した一つのボタン「館長が出てくるボ
タン」このボタンができるまでとできてから起きたことの話です。

館長が出てくるボタンってなんだ

まず館長が出てくるボタンについてご存知無い方のために説明をしておくと、私の勤める北海道北見市にある「北の大地の水族館(山の水族館)」内に設置されているボタンを押すと館長が出てくるボタンです。(なんの説明にもなってないですね)

設置してすぐにTwitterで呟いたところ予想以上の反応をもらい、七千件以上RTされて、二万件以上のいいねがつき、結果的にFNNプライム、ORICON NEWS、北海道新聞、HBCなど新聞テレビラジオネットなど媒体を問わず様々なメディアで取り上げてもらいました。

設置に至った経緯

ボタンを設置した2020年上半期は新型コロナで行動制限が始まり合計数ヶ月の営業停止を食らうなどして、水族館は来館者に生き物の情報を伝える場所だと思っている人間からするとお客様のいない水族館で日々生き物の飼育だけをするのが耐えられず、即座にライブ配信や水族館としては全国初のふるさと納税によるオンラインガイドツアーをするなどして気を紛らわしていました。
しかし生きた命を飼育展示している施設として本物を見てもらうということに勝る体験はないし、オンラインという手法なら生きていなくてもいいよな、とぼんやりと思っていました。営業再開をしても過疎地域にある水族館にはほとんどお客様はもどらず、本当に寂しい思いをしていました。そこで来てくれたお客様との交流の機会を少しでも増やせないかと考えたのが出てくるボタンでした。

結果は予想以上の大当たりとなり、インターネットに残っているだけでもかなりの数のメディア取材を受け、コロナ禍でのギリギリの集客と新たな楽しみを提供することができ、私は直接的なコミュニケーションができて最高の結果でした。

出てくるボタンでしたかったこと

館長が出てくるボタンを設置することで私がしたかったのは、お客様とのコミュニケーションを増やすという一点です。水族館に限らず、どこかへでかけたときに気になることがあるけど職員さんは忙しそうだしなぁと声をかけるのを躊躇してしまうシーンは少なくないのではないでしょうか。
そんなとき職員が出てきてくれるボタンがあれば、と思ったのです。
「呼び出しボタン」ではなく「出てくるボタン」という名称にしたのも、押す人のハードルが少しでも下がればいいなという思いからです。

しかしボタンを設置しても忙しいかもしれないということで押すのをためらわれる方や、いるのかいないのかわからないというお声もあったため2022年1月にバージョンアップを実施し、ボタン横に出てくる可能性がわかるメーターを実装しました。

これがまた最初の設置時よりバズってしまい、なんとNHKの生中継やゴールデンタイムのバラエティ番組などでも取り上げられるなどして、もはや名物の一つになってしまい取り下げられない状況です笑

出てくるボタンの仕組み

ボタンを作るにあたってほしかった機能は

  1. ボタンを押したらスマホに通知がくる

  2. いるいないがわかる

この2つです。
1つ目のスマホに通知がくるという部分は、敷地内であれば事務所であろうとバックヤードであろうと外だろうと、どこにいてもボタンが押されたことが分かる必要があると思ったからです。ということは必然的にボタンはただのインターホンではなくインターネットに接続されている必要がありました。
そして2つ目のいるいないがわかるという部分、これは構想段階ではスマホのGPS機能やブルートゥース機能を使ってボタンそのものかもしくはボタン周辺においた信号端末と接続されると青色に光る、ようなものを想像していました。結果的には上に書いたようにごくごくアナログな手法に落ち着いたわけですが。

まずはボタンです。これはソニーからでているMESH(https://meshprj.com/jp/)という製品群のボタンを使うことにしました。スマホやタブレット端末とブルートゥース接続でき、アプリをインストールすると他の様々なアプリやIoT製品と連動できるというもので、事務所に設置したスマホとMESHボタンを接続、アプリでIFFTを経由してSlackにメッセージを送ると自分の持っているスマホに通知が来る仕組みになっています。
そしてバージョン1.1で追加した出てくるメーター、これは完全にアナログでスチロールパネルに磁石を仕込んで手動で動かしているだけです。なのでたまに動かし忘れて外勤してるのにヒマになってたりします。すんません。

まとめ

コミュニケーションを増やすという当初の目的はしっかり達成できて、このボタンを目当てに遠く北見まで来てくれる方もいらっしゃったりして嬉しい限りです。
ボタンが押される頻度は平日は0回の日も普通にありますが土日は1〜5回ぐらいで月平均すると10回程度は押してもらえてる感じです。
これからも面白い仕組みをどんどん作っていきたいなーと思いつつ、正直こんな面白いものポンポン出てこないのでゆるくやっていきます。


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