ネコのホテルってどんなところ？動物病院やペットシッターとの違い
急な冠婚葬祭や長期の出張、旅行などで家をあける際などに飼い猫を預けることのできるペットホテル。最近は繊細なネコにとってストレスを減らしてあげることのできるネコ専用の完全個室タイプや、24時間対応のWEBカメラで愛猫の様子を確認できるサービスなど、ネコ目線の高いホスピタリティが話題のホテルも増えているそう。
今回は愛猫を預けるさまざまなサービスのメリット・デメリットから、ネコ専用ホテルの特徴、宿泊のために必要な準備などを知るべく、2015年よりネコ専用ホテルを運営するねこべや（羽田空港店）さんにお話を聞きました。
愛猫を預けなくてはいけないとき、どんな方法がある？
猫を飼っているとなかなか長期の外出は難しいもの。とはいえ、仕事の都合や長期休暇の旅行、あるいは急な病気で家を空けなくてはならないという場面もあるかと思います。近くに信頼のできる親族や友人がいて、留守の間に愛猫の様子を見にきてもらうことができれば安心ですが、必ずしもそうとは限らない場合も。
まず最初に知っておきたいのは、愛猫のためにどんなサービスがあるのかということ。ここでは主に利用されている以下の3つのサービスについてご紹介します。
・ペットホテル
→ 日中はスタッフが常駐しているため、猫ちゃんの様子の変化や緊急時に対応ができるというのが安心ポイント。ホテルによっては猫以外の動物を預かっているところもあり、他の動物の匂いや鳴き声が聞こえるなどの環境の変化をストレスに感じてしまい、慣れるまで引きこもってご飯を食べないということも……。
・動物病院
→ 体調の急変があった際にすぐに対応してもらえるところがポイント。しかし、こちらもワンちゃんと隣合わせだったり、個室ではなく狭いケージに入れられることが多いです。狭いところでお泊りというのは猫にとってもっともストレスを感じる要因になってしまうこともあります。
・ペットシッター
→ 慣れている自宅での留守番というのは猫ちゃんにとってのストレスは少ないもの。ただし、知らない人に鍵を預けたり、家にあげるということに猫ちゃんも飼い主さんも抵抗があるという場合も。また、基本的には決められた時間に来る形なので、日中の怪我やトラブルに対応できないのはデメリットかもしれません。
ネコ目線で作られた、専用ホテルのこだわり
ネコ専用ホテルとして運営している当店では、ネコ目線のお部屋作りを重要視しています。一家族ごとに個室を用意しており、広さは2畳タイプと6畳タイプの2種類。外を見るのが好きな猫ちゃんが多いので、大きな窓にはこだわりがあります。
キャットタワーやトイレ、爪研ぎなど猫ちゃんにとって必要な環境は各部屋に揃えていますが、普段から使い慣れているベッドやトイレなど、飼い主さんの匂いを感じることのできるものが身の回りにあることで安心できるという猫ちゃんも多いです。お部屋に入るものであればご自宅で使っているアイテムを持ち込んでいただくことも可能です。
24時間対応のWEBカメラも各部屋に設置しており、好きな時にアプリを通して愛猫の様子を見ることができるというのもポイントです。また、ご希望のお客さまには毎日猫ちゃんの様子を写真や動画と合わせて、排便の状態やご飯をどのくらい食べているか、どんなふうに過ごしているかをLINEで報告するようにしています。
また、温度や湿度などは各部屋ごとにエアコンを設置し、しっかりと管理しています。また部屋の匂いがこもらないようにエアダクトも完備。環境の変化に敏感な猫ちゃんにとってできる限りストレスの少ない空間作りを心がけています。
利用までの流れや準備しておくことは？
どこかに預けるにしても、猫ちゃんが過ごすのはどういう環境なのかというのは、一度飼い主さんに事前に見ていただきたいです。お部屋の環境はもちろんスタッフの対応などもそれぞれなので、猫ちゃんに合わせたお世話やスキンシップがどこまでできるのか、はじめにしっかりとご相談いただくことで安心してご利用いただけると思います。
事前のカウンセリングでは、猫ちゃんの年齢や性格、持病について事前に確認し、預かり時の健康状態のチェックも行います。その子にあったお世話の仕方は実際に預かってみないとわからないこともあるので、できる限り臨機応変に対応できるようにしています。
飼い主さんからはスキンシップをとって欲しいと要望をいただいても、慣れない環境に警戒心強い子は構えすぎてしまい、最後まで馴れないということもありますので、様子を見ながらお世話をさせてもらうようにしています。
持ち物としては、普段からあげているごはんや猫ちゃんグッズ（おもちゃやブランケット、ベッドなど）、トイレや猫砂などをお伝えしています。当店でも用意はあるのですが、ごはんやトイレなどは特にいつもと違うものをあげると食べなかったり、上手に排泄ができなくなってしまったりといったトラブルの原因にもなってしまうので、できる限りご持参いただくようにしています。
最後に、三種混合ワクチンを打っていることがお預かりの条件になります。個室になっているので他の猫ちゃんとの交流はないのですが、いろんな猫ちゃんが出入りしているので、感染リスクがゼロではありません。そのため、直近のワクチン証明書はみなさんにお持ちいただいています。このほか、当日はお客様の身分証明書も必要となりますので、お忘れなくご持参ください。
利用前に気になるアレコレ
Q. 利用が難しい猫ちゃんはいますか？
A. ご高齢の猫ちゃんやワクチン接種が完了していない生後3ヶ月未満の猫ちゃんは、感染リスクが高かったり、環境の変化に体調が左右されやすかったりするので、そのリスクをお伝えしたうえでお客様と相談するようにしています。また、持病を持っている猫ちゃんは病気の種類によってお断りすることがあります。投薬の種類によってはここではできない医療行為に当たる場合があるので、事前のカウンセリングでしっかりとお話を聞き、判断しています。
Q. 宿泊中の怪我や病気にはどのような対応がされるのでしょうか？
A. 提携の動物病院は車で10分ほどのところにございます。猫ちゃんの様子を見ていて異変を感じた場合など、病院に連れて行った方が良さそうと判断した際は、お客様にご相談し、すぐに連れて行くことができます。
Q. 一家族何頭までなど、一度に利用できる頭数に制限はありますか？
A. お部屋に入れば何頭でも問題はないのですが、多頭飼いされているご家庭でも相性があったりもするので、いくつかの部屋に分けてご利用いただくことも可能です。
Q. 24時間スタッフの方は常駐されているのですか？
A. 送迎等が重なると少しの時間、留守になることもあります。夜間も定期的な巡回とお部屋のカメラで監視しておりますので、何かあればすぐに対応できるようにしております。また、猫ちゃんごとにチェックシートを作成し、スタッフの間で猫ちゃんの様子をスムーズに共有できるようにしています。
Q. 遠方からでも利用はできますか？
A. 羽田空港店は、旅行や帰省などで空港を利用されるお客さまが多く、都内だけではなく埼玉や栃木といった他県からいらっしゃる場合もございます。系列店が関東と関西に13店舗あるので、お近くの店舗をご利用いただくことも可能です。
Q. 長期での利用も可能ですか？
A. 可能です。お客さまのお仕事の都合などで数ヶ月滞在している猫ちゃんも実際にいます。長期間のご利用の場合は割引などもございますので、お気軽にご相談ください。
Q. 宿泊のほかにも利用できるサービスはありますか？
A. 羽田空港店では、空港までの無料送迎を実施しております。そのほか、敷地内にネコ専門のシャンプーサロンも併設しているので、お泊まりの間にグルーミングを行うことも可能です（料金は別途となります）。
Q. 予約はいつ頃から取れますか？
A. 一年先のご予約もとっていただくことが可能です。年末年始やお盆など大型連休は早くから埋まってしまうので、検討されている場合はお早めのご相談をおすすめします。
猫によってストレスもさまざま。この機会に愛猫や飼い主さんたちにとって負担が少なく、安心して利用できるお留守番サービスについて、一度考えてみるのはいかがでしょうか。
ねこべや羽田空港店
住所：東京都大田区羽田１丁目８−４
電話番号：050-3188-6250（9:00~19:00）
HP：https://nekobeya.pechika.jp/houses/haneda.html
スタッフクレジット：
photo:Koichi Tanoue edit&text:Mikiko Ichitani
Produced by MCS（Magazine house creative studio）