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拉致問題の闇を切る  寄稿 「嘘」    荒木和博


前川喜平・前文科事務次官の「出会い系バーで女性の貧困について実地の視察調査をしていた」という論理は凄い、と正直思いました。結構感動(?)しました。こう言えるようでないと役所で出世はできないのかも知れません。

 前に書いた「山本美保さんDNA偽装事件」で山梨県警の説明を受けたときも同様のことを感じたことがあります。例えば、ぽっちゃり型の美保さんのブラジャーはBの75~80、山形の身元不明遺体はスリムな体型でブラジャーはAの70と指摘し、矛盾するではないかと言ったら、県警のK警備部長は「いや、着けられるんです」と、平然と答えたのです。一瞬「こいつに着けさせてやろうか」と思ったのですが、本人はいたって真面目な顔でした。あのときのような感じです。

 拉致問題ではそんな嘘が山ほどまかり通ってきました。いわゆる「飯倉公館事件」もその一つです。

 平成14年(2002)9月17日の小泉訪朝のとき、横田めぐみさん、有本恵子さん、市川修一さん、増元るみ子さんの家族は外務省の飯倉公館で「死亡した」と、福田康夫官房長官、植竹繁雄外務副大臣から聞かされました。そのとき「いつ死んだのか」とどの家族も聞きましたが「分かりません」というのが答えでした。

 ところが19日、朝日新聞がスクープで「死亡日付」は17日に北朝鮮赤十字から渡された書類に記載されていたと報じました。

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