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【倒産後記⑨ 倒産社長の家族】

倒産・破産した社長の家族は、計画倒産資産隠しでもしない限り何も残らない。倒産の全ての責任は社長にあり、債権者に少しでもお返しするために資産は売却され、担保に入れた土地や家も明け渡す。

保険の解約返戻金、車や家財道具も売却され、現金99万円だけが手元に残る。そして世間から白い目で見られる。問答無用!当然だ。

連帯保証人ではない家族に返済の義務はないが、 我が家では「会社を守るため」に全員が資金繰りに協力してくれた。

妻の貴金属や定期預金、ピアノやギター、思い出のCDやDVDもすべて換金、2人の娘は結婚資金も自ら出してくれた。
しかしその結果、家族全員が無一文となる。商家とはいえ父親としては大失格であるm(__)m


これが「負けず嫌い」の私の性格に漬け込んだ、支払いをせかす取引業者の思惑だったとはつゆ知らず、赤字を解消した途端、納品を止めた卸売問屋(上場企業)。

「そうは問屋が卸さない」ってドリフの コントじゃあるまいし。
しっかりその顛末を著書に書き記し、社長を退任に追い込んだ私は、やはり「負けず嫌い」である。

別に同情は要らないし、債権者にしてみれば当然のこと。
犯罪者ではないにしても、裁判所で免責を受けたところで相手の気持ちは変わらない。再出発してその姿を見て評価してもらうしかないのだ。

お陰様で急な倒産で支払いもほぼ済ませており連鎖倒産がなかったことが救いだった。

取引先の債権放棄も8割に及び、従業員の再就職も県が専用の求人を公募してくれて全員の再就職が決まった。

ネックだった破産処理裁判費用(1,000万)も地域からのカンパで賄うことが出来た。そのおかげで私は今も同じ町の妻の実家で暮らすことができている。というか地元を離れるわけにはいかないのだ、田舎の有名人として(^^ゞ

創業105年、最盛期16店舗64億円、山梨の老舗スーパーは2017年12月、あっけなくその歴史に幕を下ろした。今でも地元に長年のファンが多く、周りの皆さんも温かく接してくれるのが嬉しい。


「クリスマスまでは今いる家で過ごしたい🙏」
気持ちの整理のために早く引っ越そうと思っていたが、二人の娘からのリクエストで残された時間を住み慣れた「我が家」で過ごすことにした。
ケーキは初めてコンビニで買い、少しだけ飾り付けもしたが、記念写真を撮ることもなく、思い出を語ることもなかった。

みんな家族がもうここに戻れないことを知っていた。知らないのは犬だけ🐶

「ここからドラマが始まるんだよ!映画もドラマもそうじゃん(^^)」

妻の言葉に「そうだよね〜」と笑う娘たち。何の根拠もないが、全員がやるだけやった納得感から踏ん切りがついていたのだろう。

「閉鎖した店舗から賞味期限の切れそうな商品を廃棄してもいい」と裁判所から許しを得て、店に残った在庫を妻の実家に貯め込んだ。
消費期限なんか過ぎてもまだまだ食べられる。それに支援者からもらった野菜や米で食い繋いだ。

100年以上地域に食材を届けてきた我が家が、物乞いをして生きている。

ニ人の娘には倒産社長の娘としてこれ以上ない辛い思いをさせてしまったが、長女は彼氏が事情をすべて承知した上で、昨年お嫁に行くことができてホッとしている❤️

夢破れてしまったが、家族全員が会社を守ろうと必死に戦ったことで、我が家の結束はより強固なものになった。元々明るい家族だし、何よりみんな仲がいいo(^▽^)o (4人家族⇒血液型が全員違う 笑)

娘二人が生まれ育った「我が家」 には、今それを競売で買った別の家族が幸せそうに暮らしている。

娘は今までその家を見ることができなかったが、お嫁に行く前に妻とお別れの挨拶に行ったと聞いた。

「お父さん、 私はもう大丈夫だから!」と笑うが真意は分からない...。

私には夢がある。
その人手に渡った「我が家」をもう一度この手で取り戻してやる!
(何の根拠もないが…)


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