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【みんなは知らない、スーパーの内緒話】

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皆さんが知らないスーパーマーケットの「内緒話」を経営者だった私が公開します!
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#中小企業の経営

【ブラックボックス : 新聞チラシの折り込み料】

さあ、リターンマッチの開始である! ムダな経費は聖域なくカットする。売り上げはすぐには増えないが、経費ならその日のうちに削減できるものが多い。そしてその結果は従業員の目にもわかるため、モチベーションも上がる(^^)/ まず手始めに行ったのは、スーパーならおなじみの「チラシ広告」の経費の削減である。 いくら新聞の部数が減ったとはいえ、スーパーのメイン顧客である主婦層の来店は、やはり折り込みチラシに左右される。特に田舎ではそれが顕著だ。 チラシの印刷代は、ネットで一番安価な

【せっかく潰したのに、余計なことしやがって!】

先代の赤字1.5億円を39歳の若さで引き継ぎ、銀行から融資のハシゴを外されたことをきっかけに様々な改革(もどき)にまい進! ・メインの取引先(仲人)を替えて原価を下げ ・原価割れの特売を止めて売上高より利益率を上げ ・改革に後ろ向きな、先代絡みの親族をすべて解雇して労働環境を改善し ・赤字の店(発祥の本店含む)を閉鎖し ・電気代やチラシの折り込み料、家賃や顧問料も下げ この結果、沈没寸前だった家業の「スーパーやまと」は、社長交代2年目の期末に、わずかながら「黒字経

【潰れた店を引き継ぐということ】

今はなきスーパーやまとは「破綻スーパーの再生」を軸に業績を伸ばしていった。全16店舗中12店舗が、なんらかの理由で閉店の憂き目に遭った店である。多くは近隣に大手スーパーが出店したことによる経営不振での倒産。そこには行き場を失くした店舗・従業員・顧客・取引先がいる。 「正義の味方気取り」でその店に飛び込んでも、従業員からはほぼ歓迎されない。潰れたとはいえ歴史やプライドもあり、従業員もパートさんを含め思い入れのある場所、お客さんにも様々な思い出がある。そこに土足で踏み込む訳には

【家庭の生ゴミ仕入れます!】

私が現役時代に実施したことで、おそらく一番全国的に認知されたのは「家庭生ゴミ」を店舗で回収し、堆肥化の後、野菜を収穫して店舗で売る、という循環型システムを作ったことかもしれない。 ワイドショーで紹介されたり、全国のニュースでも取り上げられて「担当」の私は、取材の対応だけで3ヶ月くらい無休となった(笑) 総務省で表彰されたり報道の影響で、数えきれないほど自治体や企業、学校、議員さん達が見学に訪れ、実際に導入していった。 見学のたび人手不足の弊社の説明係は私が務め、社長に見

【ホームレス正社員】

テレビで地元のニュースを観ていたら、いわゆる「ホームレス」の人たちが農場で作業している風景が目に止まった。NPOの農場で働くことの対価で、弁当や飲み物が貰えるとのこと。顔にはモザイクがかけられていた。 一人のおじさんが言う 「生活保護に頼りたくない!職を見つけて社会復帰したい」 この人だけ顔にモザイクがかかってなかった。こんな時、なぜか自分のスイッチが入る、「ROCK!じゃないか、自分の顔を晒して仕事を探してる。本気なんだ」困っている人がいたら手を差し伸べなさい!と学校で

【生活根拠者への食料支援〜きずなBOX】

様々な理由で生活が困窮し、日々の食べ物にも事欠く、育ち盛りの子どもがいればなおさらのこと。各地でこの様な困窮家庭を支援する活動が拡がっている。 スーパーやまとでは全店で、支援団体「フードバンク山梨」と協力して、写真の「きずなBOX」を設置した。これは買い物をしたお客さんが会計を済ませた後、支援の品物を入れてもらう取り組みである。 ただ商品を入れてもらうだけでは私の気が済まないので、そのお客さんには別途倍額のポイントをつけてお礼の代わりした。 「支援する人→仲介店舗→困窮家

【大盛り『298円弁当』のからくり】

美味しそうじゃありませんか? 「スーパーやまと」ではご飯も大盛り350gで298円(写真は被災地への義援金付きで300円)のお弁当を売っていました。お昼時には売場に人だかりができ、巡回中のお巡りさんやタクシーの運転手さんもレジに並ぶほど (笑)。年間100万食も売れて単品売上げ3億円!まさに弱者のPB(プライベートブランド)でした。 当時、売上げが低迷していた弊社は、愛知県で弁当が評判のスーパーへ視察に行った。「ウチでも売れないか…」それまでのスーパーの弁当は、10個定価の

【乳ガン撲滅!ピンクリボン自販機】

「頼まれたら断らない!」それが「いの一番」ならなおのこと。私は人が良い(お人好し笑)なので、家庭の生ゴミを集めたり、レジ袋有料化を実質無料にしたり、ホームレス(失礼)の方を正社員にしたり、潰れた店を再生したりと、業界の諸先輩経営者にしてみれば、いちいち気に入らない「若造社長(小僧)」だった。 望むところだ! スーパーのお客さんはなんと言っても女性がメイン、そんなお客さんから「乳ガン撲滅のために協力して欲しい🙏🏻」とのご依頼があった。 シンボルのピンクリボンをデザインした自

【スターマン⭐️〜この星の恋】

今はなきスーパーやまとでは、沢山のドラマや映画、CMのロケが行われた。内容も聞かず私がなんでもOKを出すので、撮影する方も頼みやすかったと聞いた。 少し昔の話であるが、フジテレビの「スターマン・この星の恋」という帯ドラマの撮影が店舗で行われた。そのスーパーで働くのが広末涼子と有村架純という設定。ミーハーな私は、社長特権でいつも撮影を見学したり、エキストラで出演させてもらっていた (笑) 撮影の前に堤幸彦監督が話しかけてきた。 「社長、スーパーやまとって名前がいいからその

【私がライバル店に嫌われた理由】

スーパーやまとの店舗の多くは、県内最大手企業の店舗と競合していた。 私は人の嫌がることはしない。但し、商売上のライバルとなれば話は別だ。 「やられたらやり返す」こちらからは手を出さない。 この大手スーパーはどうもウチの店(私)のことが気に入らないらしい。 「一緒になって山梨を牛耳ろう!」という買収の誘いに対し、 「もう少し待ってください、ウチがオタクを買いに行きますから!」と 年商10倍、年は70才超えの会長に向かって、30代の私が啖呵を切って断ってからのことだ。 **

【やまとマンからのメッセージ】

田舎のスーパーのチラシはどこも大して変わりはない。 カラー写真が並ぶ大手のものとは全く違う。 私は毎回お客さんが気付かない様に、チラシの中に登場する私の似顔絵 「やまとマン」のはちまきと登りに、その時々のメッセージを内緒で書き添えていた (会社の私物化💦) 365日、母の日 撲滅!買物難民 がんばれ!商店街 乳がん撲滅、ピンクリボン 祝復活、桑田佳祐 高校入試、全員合格! 雨止んで、傘忘れる みんな大好き、焼肉定食 安物買いの、銭失い 臨機応変、朝令暮改 etc. 個人

【地域貢献、何のため?誰のため?】

✅ 郷原(きょうげん) : 道徳家を装って郷里の評判を得ようとする俗物を差す言葉。 難しい言葉である。 「あれもした、これもした!」と勝手に地域貢献したつもりで自画自賛する私。人によっては気に入らないタイプの経営者である (笑)そんなことは分かっていた(^^; 弊社「スーパーやまと」が100周年を迎えた時、記念式典も記念事業もしなかった。あえて言うなら寂れた甲府市中心街の空き店舗に出店した程度(それもその後お払い箱にされたが)。 友人 「100周年なんだから、なんかし

【地域貢献とビジネスの両立】

写真は社長室の壁いっぱいに飾られた、お客様からのお礼の手紙。窓以外のスペースは感謝状で埋め尽くされていた思い出の場所である💧 これだけ地域のためにやれば、きっと経営も盤石でしょう? きっと専門誌や業界紙でも褒められるかも知れない…。私もそう思っていたし、順調にいっていた。 しかし、「あれもした、これもした」と自画自賛を重ねても、同業他社にはやっかまれて批判される。自分がその立場でも、こんな目立つ若造は気に入らないし鼻につく。スキあらば潰してしまいたい! 正義の味方を気

【大手卸問屋と中小小売店の理不尽な関係】

写真はスーパーやまとの売場から商品を仕入れて販売していた個人商店、 その名も『スーパーやまとフレンドリーショップ◯◯屋』である。 本来、商取引における売り手と買い手の関係は「同等」であるはず。 しかし大手の食品卸問屋と弱小商店との取引には、暗黙の「上下関係」が存在している。 中小のチェーン店や個人商店など、大手問屋はそもそも相手にしていない。大きな店とまとめて商売した方が効率的であり、利益も(大きくなくても)安定するからだ。 しかし「ウチは大手の店しか商品を卸しません!