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【倒産後記〜今だから言えること、言いたいこと】

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創業105年の老舗スーパーの社長が「倒産」してからの出来事や心情を綴ります。
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記事一覧

【クリスマスケーキの思い出】

私がまだスーパーを経営していた頃、12月に入ると店頭にツリーを飾り、クリスマスシーズン(売り上げ爆上がり)に向けて、従業員全員でクリスマスケーキの予約を競ったことを思い出す。 厳しいノルマもない我がスーパーも、年に一度だけ従業員にノルマを課した。 👤「一人最低1個でいいからケーキの予約をしてね!そして多くの予約を獲得した個人は表彰するから」 まあ最後は全店に社長の私から僅かばかりの報奨金を出すのだが、「あの店には負けたくない!」とのライバル心から、結構白熱して楽しかった

【最終回 : あなたに差した光は本物か?④情報】

さて、経営が苦しい時に私に差してきた「光の正体」、前回の『③カネ』に続いて、最後は4大経営資源「ヒト・モノ、カネ・情報」の 『情報』で締めくくる☝️ 【その④情報(じょうほう)】 会社の業績や経営者の評価に比例して、様々な情報が入ってくる。中身は玉石混交、ガセネタや罠も多い。あなたの立場でそんな飛び切りの儲け話が舞い込むはずもなく…。 ✅「情報の価値」=「鮮度(新しさ)」✖️「精度(正確さ)」 ☝️情報とは入るものばかりではない。ともすると大切な「顧客データ」や「企業

【その時、あなたに差した光は本物か?③カネ】

さて、経営が苦しい時に私に差してきた「光の正体」、前回の『②モノ』に続いて3回目は、4大経営資源「ヒト・モノ、カネ・情報」の『カネ』について☝️ 【その③ 金(カネ)】 会社は手元に資金があれば、いくら赤字でも潰れない。しかし道楽で経営するのでない限り、これは許されないことだ。そのため経営者は必死にこの「血液」ともいえるカネを繋ぎ、枯らさない様に飛び回る。 厳しい時など自分の給料や貯金までも会社に注ぎ込むのだが、金融機関は社長や役員からの借入金など、鼻から無いものとして

【その時、あなたに差した光は本物か?②モノ】

さて、経営が苦しい時に私に差してきた「光の正体」、前回の『①ヒト』に続いて2回目は4大経営資源「ヒト・モノ、カネ・情報」の『モノ』について☝️ 【その② 物(モノ)】 ここで私の立場で言う「モノ」とは、スーパーマーケットの建設に必要な土地・建物、レジスターや冷蔵ケース・社用車などの什器備品、そして利益を稼ぎ出す「商品」といったものだろう。 👤元々資金に余裕が無かった私は、大手との競争に敗れて潰れた「ローカル個人スーパー」を次々と買収していった。 つい最近まで営業していた

【その時、あなたに差した光は本物か?①ヒト】

苦しい時、切羽詰まった時、「万事休す」で選択肢も無い時…。人は誰しも窮地に追い込まれ、なす術もない場面にもがくものだ。「ピンチはチャンス!」と念じても、実際にそれが自分に降りかかった時、それは慰めにしかならない。 プライベートの悩みは専門家にお任せするとして、ここでは(同じ立場だった)中小企業経営者として、私がその時々にすがった『希望の光の正体』を4大経営資源とも言われる「ヒト・モノ・カネ・情報」の点から自分なりに振り返ってみたい(全4回)。 【その① 人(ヒト)】 い

【学校で教えてくれなかったこと…】

私は大学の『商学部』で学び、卒業した時には「商学士」が何かのお免状をもらった様な気がするw。 アルバイトばかりしていてたいして学校にも行かず、3.4年生に所属する(はずの)ゼミの試験にも落ち、それゆえ卒論も書かずに田舎に帰ってきて、家業のスーパーに入社した。 ほとんど学んだことはなかったが、唯一『優』を10人しか出さない教授の試験で、当時まだで始めたばかりの「コンビニの未来について書け」との問題が出た。そして…、 👤「なにが🎵セブンイレブンいい気分だ!夜通し店を開けるな

【自分の本がドラマになったら嬉しいな…w】

・どうせそんなことしたってムリ! ・もっと現実を見た方がいいんじゃない? ・いくら「宝くじも買わなきゃ当たらない」とは言ってもだな… そんな現実派の皆さまを横目で見ながら、自分が人前で話す時は🎤 ・諦めたらそこでお終いですよ! ・ダメで元々じゃん! ・口は利いてみるもんです。 ・動けば変わる! と、説く私。 📖拙著『こうして店は潰れた』は6刷のベストセラーとなり、続編も発刊された人気本。 逆境やどん底から復活した成功本の中にあって、そこから復活できなかった様を記した失

【信用不安の怖さ〜スーパーマーケット編】

あのスーパー、なんかヤバいらしいよ!最近激安チラシで現金を集めてるし、業者への支払いも相当ケチるらしい。従業員も役職者がポロポロ辞めてくし、社長も会社にいないことが多い。悪い噂も飛び交ってる。火の無いところに煙は立たない、きっとそろそろ…。 👤よくある話。実際には⬇️⬇️⬇️であっても ・今月の売り上げは予定を上回ってるから、月末にお客さんに「利益還元」しよう! ・「利は元にあり」1円でも安く仕入れることが、お客さんや会社に利益をもたらす!必要以上の値引き交渉は商道徳に

【創作話 : 大型ショッピングモールの作り方〜後編】

開店して早3年、開発部隊はとっくに別のエリアに部隊ごと異動し、開店の経緯など全く知らない若手社員がショッピングモールの運営を任されていた。開店当時の首長も選挙で代わり、役場の職員も総て入れ替わった。 当時の経緯を知る者はもういない…。 👤「まさかプレオープンの日に大地震が来るとは思いもしなかったな💦 フードコートにいた客が食い◯げするわ、買物客はそのまま商品を待ち出すわで、来ていた社長が『ここは盗◯の街か💢』と言ったとか言わないとか…黒歴史だなw。 一年後に「防災グッズフ

【創作話 : 大型ショッピングモールの作り方〜中編】

👤「なにぃ!テナントが埋まらないだと?」 『すいません、当てにしていたユニ◯ロが商圏が被るとやらで難色を示しています💧 「G◯」なら出してもいいと、でも家賃は管理費等のほぼ実費のみだそうです」(>_<) 一昔前なら「アミューズメント」と言ってパチンコ店やゲーセンで埋めて家賃を稼いだんだが、今じゃ無理だし…。シネコン作るほど文化度の高い土地じゃない。困った時の「100円ショップ」と「ドラッグストアチェーン」か。 面白みがないな💢 最近伸び盛りの「家具チェーン」も言うこと聞

【創作話 : 大型ショッピングモールの作り方〜前編】

どんな企業も成長し続けなければ、明るい未来も関係者の幸せも手に入らない。 スーパーだって同じこと、賃料が高くても効率の良い好立地の物件は既に空きは無い。こうなりゃ地方の郊外の土地をまとめて、巨大なショッピングモールを作ってしまった方が早い! 攻め込まれる同業者は堪らない💦人口も使うお金も減っているのに、飽和状態の商圏に爆弾(店舗)を投下し、限られた売り上げを分捕っていく大手企業。 しかし法律で許されている以上、それを阻止することはできない。 新しいプレーヤーに「そこを

【レジで小銭を出して、お釣りをキリよくする流儀】

今は「キャッシュレス決済」の普及でそんな光景を見ることは無くなったが、少し前まで(そうつい最近まで)、スーパーのレジではお客さんとレジの担当者の『密かな』駆け引きが繰り広げられていた。 店員「お会計は1,050円になります」 お客👤「ハイ1万円(札)と50円(玉)で!」 店員「それでは9,000円のお返しになります🙇🏻♂️」 これならアリだ、お釣りのコインは相当減る。 店員「お会計は1,650円です」 お客👤「じゃ、2千円と150円ね!おつりはちょうど500円!」(

【困った時の資金繰り : 落ち目の小売店 編】

夏休みはどこも人で混雑して、普段ヒマな店でも多くの売り上げが見込める時期である。 売り上げ全部が利益ならこれ以上の喜びはないが、その後に仕入れ代金の支払いや各種経費の支払いが押し寄せる。 たいがい支払い日付近の売り上げとは低いモノ、これが経営者の頭を悩ませる…。 小売業の倒産が多いのは夏休み明けの9月、正月明けの1月、そしてGW明けの5月が多い。 なぜなら繁忙期の仕入れ代金の支払いがこの月末に集中するからである。 👤さあ、困った、月末に支払うだけの現金が無い(><)

【倒産社長の遺言(7/7 最終話) 50年前の自分へ】

👤全7回、お付き合いいただきましてありがとうございました🙇🏻♂️ 続編でカットされた部分(一番伝えたかったこと)をLinkedInに遺すことが出来ましました! では最後に、将来とても辛い思いをするとは知らない頃の「自分」へ。 【倒産社長の遺言(7/7 最終話) 50年前の自分へ】 今日も嫌なことがあったのか? 何も心配しなくていい、50年後も君はちゃんと生きているから! 幼稚園から大学、社会に出ても君はみんなの人気者だ。小さい頃から商売を継ぐことが決まっていたし、要領