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【倒産後記〜今だから言えること、言いたいこと】

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創業105年の老舗スーパーの社長が「倒産」してからの出来事や心情を綴ります。
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記事一覧

【1月末は小売業の「Xデー」】

年末年始の「稼ぎ時」「書き入れ時」を終え、小売業に携わる方々も、ホッと一息の「お正月明け」だと思います。お疲れさまでしたm(_ _)m 『成人の日』を含む3連休に「もうひと稼ぎ!」と期待しても、期待外れの結果になることが多いのは、お客さんの「買い疲れ」ばかりではありません。動くお金の総量は決まっていますから。 ☝️1月(2月)末と9月末は小売業(いわゆる商店)の倒産が一気に増える時期です。 理由は簡単、「お盆休み」や「年末商戦」で仕入れた商品代金の支払いが、これらの月末

【年の瀬に思う…元中小企業の社長より】

12月も年末に差し掛かると、街はクリスマスや忘年会ムード一色となり、キラキラしたイルミネーションに心が躍るもの。すぐに来る新年もきっと素晴らしい年になるに違いない。 「今年こそは!」と決めたものの、いつものように来年に持ち越す人も多いだろう。それが人間というものである。 ものごとには「区切り」というものがあって、今月中にとか今期中にと期限を区切って、それまでに実行したり結論を出したりすることが多い。 友人の弁護士から、「離婚でも訴訟でも年末や年度末にギリギリで和解するこ

【とくダネ】今日の話題です!

私が大赤字だった家業のスーパーマーケットを引き継ぎ、何とか普通にやっていける状況に戻った頃、「これから何をすればいいのだろう?」と悩んでいた。 👤これからは環境問題に取り組まないと! 誰からの進言かも忘れたが、「金儲けだけじゃなくて、スーパーだってそういうこともしなきゃならない時代になるよな…」今からもう20年も前の話である。 スーパーの店先に「生ゴミ処理機」を置いて、家庭のゴミをそこに捨ててもらう。そしてゴミからできた肥料で野菜を作って、それをまたスーパーで売る。

【米沢市のローカルスーパー破産の記事を見て…】

ネットニュースを眺めていたら、「山形県のローカルスーパー「キムラ」が経営破綻したという記事を見つけた。大手スーパーとの競争激化やコスト増で経営が圧迫されたようだ。 負債総額・店舗数・売上高の推移等、全てが私が経営していたスーパーと酷似している。そうこの規模のローカルスーパーは一度売り上げが落ち始めると、その中途半端な規模ゆえ、復活が難しいことが多い。 単独店なら経営者一族を中心に、コストも限界まで削減して、何とか凌げることもある。しかし店舗数が増えて多くの従業員を抱えると

【100年以上続いた老舗企業の倒産が過去最多!】

👥「大体3代目の放蕩息子が会社を潰すんだよ!」 創業100年以上の『超老舗企業』がバタバタ倒産し、ここ10年で最多とのニュースを見た。 ☝️長く続いた企業はお客様や取引業者の信用も厚く、金融機関の支援も「どこの馬の骨か分からない」会社に比べたら雲泥の差、イザとなったら銀行が救ってくれる!…はずじゃなかったのか? 👤何やら呼ばれた様な気がした私… お待たせしました!何を隠そうこの私、100年以上続いた老舗を潰した3代目の放蕩息子でございますm(_ _)m まさかこの記

【TKC出版「経営者の四季」連載完結】

私のしくじり経験を4回に渡って連載していただいた「TKC出版」発行の月刊紙『経営者の四季』が早くも最終回の掲載となりました。 第1回 【どんぶり勘定がたたり経営判断を誤った】 第2回 【自社のピンチに気づけない裸の王様になっていた】 第3回 【切羽詰まって目先の解決策に飛びついた】 最終回(今回) 【過去の成功体験にとらわれ柔軟に対応できなかった】 こんな感じで、中小企業経営者の皆様が、私と同じような大きなミスを犯さないための心掛けを、実例と「こうするべきだった」の

【TKC出版『経営者の四季』しくじり社長の回顧録】

「TKC全国会」の顧問先企業様に配布される月刊誌『経営者の四季』の連載も早3回目(全4回)。今回のテーマは「切羽詰まって目先の解決策に飛びついた話」 自分のダメさ加減を振り返って自らを分析することは、学校で悪さをして先生に「反省文」を書かされる悪ガキの境地にも近い。 振り返ってから「あの時こうすればよかった」と悔やむことは誰でもできること。その時は判断力も鈍るものです。最悪の状態になる前に、自分で(仲間やスタッフでも)気がついて早く手を打てば、私のように本まで出すほどの大

【TKC月刊誌『経営者の四季』連載第2回目発行です】

全国の会計士・税理士が加盟する「TKC全国会」、その出版社が発行し、各会計事務所が顧問先に提供している月刊誌『経営者の四季』 私の「しくじり話」を参考事例(悪い見本)に、全国の中小企業経営者の皆さまが同じ轍を踏まないように、会社をダメにした事例を恥を忍んで綴っています(^^; 先月から始まった連載も2回目、10月号がめでたく発行となりました。 権利の関係で本文は載せられませんが、機会がありましたらお近くのTKC所属の税理士か、お付き合いのある会社様にお尋ねください。 第

【TKC出版「経営者の四季」連載スタートします!】

こうして毎日コツコツ感じたことを書き留めていると、自分の過去の振り返りや、人生の「棚卸し」みたいな整理がつくものである。 ありがたいことに、そんな私的な思い出や仕事にまつわる失敗談を読んで、執筆のご依頼をいただくことがある。今回はそんな中でも顧問税理士の関係でご存じの方も多い「TKC出版」様からのご依頼である。 私のしくじり体験を月刊紙「経営者の四季」において4回シリーズ(各2,000字)で掲載したいとのありがたいお話である。 ☝️編集担当者との打ち合わせの際、私は執筆

読後感想文をいただきましたm(__)m

SNSで交流のある田中康雄さんから、拙著『こうして店は潰れた』の感想をいただきました。嬉しかったのでシェアさせてください。 (書籍は無料でダウンロードできます) ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 数カ月前に買ったのに、積ん読になっていた本を思い出しました。 ようやく読みました。そんな私が言うのもナンですが…絶対、読んで欲しいと、今さらながら思いました。 ともかく泣ける… 泣いたし、結構、へえぇ~と勉強になる それで、読書感想文を書こ

【八方塞がり…崖っぷちの経営者】

(やや重めの話で🙏🏻) 夏休みで世間が浮かれている間も、いやそんな時期だからこそ、私の元には様々な方からSOSが届く。ホームページ経由だったり、SNSのDMを通じて「助けてください」「もうダメです」と切羽詰まった内容のものが多い(^^; 知り合いを通じての紹介など、面識のある方もたまには居るが、大体はほぼそれまで面識のない方からの連絡だ。知り合いには相談しづらいのも分かる。 週末や夜間に自分の窮状を訴えたくても、顧問税理士や銀行は休みで対応してくれるはずもない。コンサルや

【胃カメラの時、背中をさする看護師さん】

今の私の仕事は、自分の倒産経験を基に、悩める中小企業の経営者や後継者に話をしたり、直接当事者の相談に乗ること。そしてその事例を顧問先の指導に活かすことである。 私に届く相談やSOSは、あまり表には出て来ない切実な内容が多いのは仕方のないことだ。 そんなやり取りをしている中で、経営が悪化する社長には「ある傾向」があることに今さらながら気づく。そして私の講演会の内容にもそれが加わることになる。 世間の専門家が言う「会社をダメにする社長の特徴」とは少し違うかも知れないが、あく

【➁自己破産時の実務マニュアル】

前回の『①会社倒産時の実務』に続いて、連帯保証人である経営者が「自己破産」する際の実務です。重ねて皆さんはご参考にされません様に(^_−)−☆ 会社への融資の「連帯保証人」となっている社長も、現実的に返せなくなれば「自己破産」を選択せざるを得ない。「死んでお詫びをしろ!」とか「お天道様の下を歩くな!」という問題では無く、ここでは破産処理の段取りを説明していく。 ①代理人弁護士に対して、債権者と債権額、自分の資産の中から換金して債権者に払える(配当できる)ものをリストアップ

【①会社倒産時の実務マニュアル】

私の経験から得た「もしもの時」のマニュアルを書いてみます。 できれば皆さんはご参考・ご活用されることのないようにお祈りします(^^ゞ (ここでは債権者と債務者の意思は考慮せず、一般的な流れを説明します) ①『諸般の事情』で会社の営業停止を社長が決断🙇🏻♂️💦 株式会社の場合「臨時役員会」でそのことを決議→この時点で事実上『倒産』 ②それから従業員に告知するか(事前告知)、従業員も後から知るか(経営者の雲隠れ)は、社長の判断次第。 ③代理人弁護士を通じ、裁判所に「破産」