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【倒産後記〜今だから言えること、言いたいこと】

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創業105年の老舗スーパーの社長が「倒産」してからの出来事や心情を綴ります。
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記事一覧

【八方塞がり…崖っぷちの経営者】

(やや重めの話で🙏🏻) 夏休みで世間が浮かれている間も、いやそんな時期だからこそ、私の元には様々な方からSOSが届く。ホームページ経由だったり、SNSのDMを通じて「助けてください」「もうダメです」と切羽詰まった内容のものが多い(^^; 知り合いを通じての紹介など、面識のある方もたまには居るが、大体はほぼそれまで面識のない方からの連絡だ。知り合いには相談しづらいのも分かる。 週末や夜間に自分の窮状を訴えたくても、顧問税理士や銀行は休みで対応してくれるはずもない。コンサルや

【胃カメラの時、背中をさする看護師さん】

今の私の仕事は、自分の倒産経験を基に、悩める中小企業の経営者や後継者に話をしたり、直接当事者の相談に乗ること。そしてその事例を顧問先の指導に活かすことである。 私に届く相談やSOSは、あまり表には出て来ない切実な内容が多いのは仕方のないことだ。 そんなやり取りをしている中で、経営が悪化する社長には「ある傾向」があることに今さらながら気づく。そして私の講演会の内容にもそれが加わることになる。 世間の専門家が言う「会社をダメにする社長の特徴」とは少し違うかも知れないが、あく

【スーパーアキダイがロピアに身売りした訳】

野菜の値段が急騰したり、スーパーのネタに困った時、メディアはこぞってこの「スーパーアキダイ」の秋葉社長にマイクを向ける。庶民的な語り口やその人柄は、視聴者の知名度も高く業界でも唯一無二の存在である。 このスーパーアキダイはまだ創業して30年余りの、比較的新しい個人スーパーチェーンである。大手との競争に負けず、その社長のキャラを前面に出し、熱狂的なファンをベースに強者との戦い生き残る「ランチェスター戦略」の見本でもある。 私もスーパーの社長時代は「この秋葉社長の様に、自分の

【➁自己破産時の実務マニュアル】

前回の『①会社倒産時の実務』に続いて、連帯保証人である経営者が「自己破産」する際の実務です。重ねて皆さんはご参考にされません様に(^_−)−☆ 会社への融資の「連帯保証人」となっている社長も、現実的に返せなくなれば「自己破産」を選択せざるを得ない。「死んでお詫びをしろ!」とか「お天道様の下を歩くな!」という問題では無く、ここでは破産処理の段取りを説明していく。 ①代理人弁護士に対して、債権者と債権額、自分の資産の中から換金して債権者に払える(配当できる)ものをリストアップ

【①会社倒産時の実務マニュアル】

私の経験から得た「もしもの時」のマニュアルを書いてみます。 できれば皆さんはご参考・ご活用されることのないようにお祈りします(^^ゞ (ここでは債権者と債務者の意思は考慮せず、一般的な流れを説明します) ①『諸般の事情』で会社の営業停止を社長が決断🙇🏻♂️💦 株式会社の場合「臨時役員会」でそのことを決議→この時点で事実上『倒産』 ②それから従業員に告知するか(事前告知)、従業員も後から知るか(経営者の雲隠れ)は、社長の判断次第。 ③代理人弁護士を通じ、裁判所に「破産」

【教えて小林さん!】

私はよくSNSを通じて質問を頂くことがある。 「いつも興味深く読んでいるが、核心まで全部は書いてないでしょ?そこんとこ教えて🙏🏻」などとストレートに(^^ゞ という訳で、裏ではこんな会話をしているということをご質問者の了解を得て共有します(そりゃSNSにすべては書けませんからね) ※ あくまでも私個人の勝手な見解なのでご容赦を🙏🏻 ✅Q. 小林さん、一連の投稿大変興味深く拝見しています。いきなり変な質問して申し訳ないのですが、倒産から復活されて再び活動されている小林さん

【社長!困った時は誰に相談するつもり?】

👤最近の私の投稿は、 「社会保険料を滞納すると、容赦なく差押えされるよ!」 「路頭に迷う前に(廃業の)決断をすれば、自己破産を避けて再チャレンジできる施策ができたよ!」 などの(どちらかと言えば憂うつな)テーマが続いた。しかしいつにも増して、皆様のスマホやPCの画面に表示されたようだ。やはりそれだけ興味がある話題なのかも知れない。 「心機一転」新年度を迎えたと言っても、借入金の返済はなかなか好転しない。「一転」より「一変」した現実に悩む経営者のご苦労は痛いほど分かる。社

【講演会での質問 〜 痛っ!(><)】

経済団体(商工会議所・法人会・中央会などの青年部)で講演を頼まれると、先に紹介した【私の会社が潰れた5つの理由】を紹介して「皆さんは気をつけてね!」とエラそうに説明する🎤 『倒産社長本人が目の前にいる+その割にはこのオヤジ元気じゃん!』との珍しさもあって、講演会も盛り上がって終了する。 話した後はだいたい「質疑応答」の時間が用意されているが、私がマシンガントークで話し切った後質問などしたら、返って怒られるんじゃないか?💦との印象か、質疑もないまま終わることも多い。よしよし

【倒産記念日(七回忌)m(__)m】

(以下は今日、私のFacebookに載せたメッセージです。「note」に比べて地元山梨の方との繋がりが多いので、毎年この日に思いを届けていますm(_ _)m) 【御礼と近況報告】 先日の私の誕生日には、たくさんのお祝いメッセージを頂き、誠にありがとうございました。本来なら、お一人ずつ返信をすべき所ですが、普段のご無礼ついでにお許しを頂ければ幸いです。おかげさまで家族全員、健康に過ごすことができています。 ちょうど6年前の今日、「スーパーやまと」は倒産し、105年の歴史に

【クリスマスケーキの思い出】

私がまだスーパーを経営していた頃、12月に入ると店頭にツリーを飾り、クリスマスシーズン(売り上げ爆上がり)に向けて、従業員全員でクリスマスケーキの予約を競ったことを思い出す。 厳しいノルマもない我がスーパーも、年に一度だけ従業員にノルマを課した。 👤「一人最低1個でいいからケーキの予約をしてね!そして多くの予約を獲得した個人は表彰するから」 まあ最後は全店に社長の私から僅かばかりの報奨金を出すのだが、「あの店には負けたくない!」とのライバル心から、結構白熱して楽しかった

【最終回 : あなたに差した光は本物か?④情報】

さて、経営が苦しい時に私に差してきた「光の正体」、前回の『③カネ』に続いて、最後は4大経営資源「ヒト・モノ、カネ・情報」の 『情報』で締めくくる☝️ 【その④情報(じょうほう)】 会社の業績や経営者の評価に比例して、様々な情報が入ってくる。中身は玉石混交、ガセネタや罠も多い。あなたの立場でそんな飛び切りの儲け話が舞い込むはずもなく…。 ✅「情報の価値」=「鮮度(新しさ)」✖️「精度(正確さ)」 ☝️情報とは入るものばかりではない。ともすると大切な「顧客データ」や「企業

【その時、あなたに差した光は本物か?③カネ】

さて、経営が苦しい時に私に差してきた「光の正体」、前回の『②モノ』に続いて3回目は、4大経営資源「ヒト・モノ、カネ・情報」の『カネ』について☝️ 【その③ 金(カネ)】 会社は手元に資金があれば、いくら赤字でも潰れない。しかし道楽で経営するのでない限り、これは許されないことだ。そのため経営者は必死にこの「血液」ともいえるカネを繋ぎ、枯らさない様に飛び回る。 厳しい時など自分の給料や貯金までも会社に注ぎ込むのだが、金融機関は社長や役員からの借入金など、鼻から無いものとして

【その時、あなたに差した光は本物か?②モノ】

さて、経営が苦しい時に私に差してきた「光の正体」、前回の『①ヒト』に続いて2回目は4大経営資源「ヒト・モノ、カネ・情報」の『モノ』について☝️ 【その② 物(モノ)】 ここで私の立場で言う「モノ」とは、スーパーマーケットの建設に必要な土地・建物、レジスターや冷蔵ケース・社用車などの什器備品、そして利益を稼ぎ出す「商品」といったものだろう。 👤元々資金に余裕が無かった私は、大手との競争に敗れて潰れた「ローカル個人スーパー」を次々と買収していった。 つい最近まで営業していた

【その時、あなたに差した光は本物か?①ヒト】

苦しい時、切羽詰まった時、「万事休す」で選択肢も無い時…。人は誰しも窮地に追い込まれ、なす術もない場面にもがくものだ。「ピンチはチャンス!」と念じても、実際にそれが自分に降りかかった時、それは慰めにしかならない。 プライベートの悩みは専門家にお任せするとして、ここでは(同じ立場だった)中小企業経営者として、私がその時々にすがった『希望の光の正体』を4大経営資源とも言われる「ヒト・モノ・カネ・情報」の点から自分なりに振り返ってみたい(全4回)。 【その① 人(ヒト)】 い