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102歳、心配ナイチンゲール

広島で話題になっとると噂の、「102歳、一人暮らし」を読んだ。

尾道の山あい、坂道を登った先の大きなお家で、一人暮らしをしている哲代おばあちゃん。102歳。私、こういうおばあちゃんになりたいかもと、人生の目標を見つけた。

20歳で教員となり、26歳で同じく教員の良英さんと結婚。
子どもはおらず、2003年に夫が亡くなってからは一人暮らし。
親戚や近所の人に支えられながらも、畑仕事に婦人会に、地区のおばあさんたちとの「仲よしクラブ」に、日々ごきげんに楽しそうに暮らしている。

102歳で一人暮らし。ふとした時に襲ってくる不安や孤独を、哲代さんは「弱気の虫」と呼ぶ。
弱気の虫が暴れないように、自分の心は自分で育てるしかない。
同じ一生なら機嫌よう生きていかんと損じゃと、自分に言い聞かせているそうだ。

特にこの10年ほどは穏やかに人の話を聞けるようになりましたと、彼女は語る。

いやはや、人生100年時代、穏やかに人の話を聞けるようになるまで、あと60年。

果てしなさを感じるとともに、ホッと安心した。
まだ30年しか生きていない私が、くよくよするなんて当たり前じゃん。

哲代おばあちゃんの言葉には、弱さを肯定する柔軟さがある。

「心はお月さんのようなもんです。
満月のように輝きたいが、私のは三日月のようにちいと欠けとる。
弱いところを見せて、いろんな人に助けてもろうて、満月にしていこうと思います。」

苦しんで、もがいてきたから言えること。
見ないふりをしたところで、何年経とうが悲しみは消えない事を、彼女は知っている。

「我慢しられ。あんたは弱い。」と、こてんぱんに言われた事がトラウマになっていた私にとって、涙が出るほどありがたかった。102歳のおばあちゃんがそう言うなら、そりゃあもう、そうじゃろ。そういう風に生きようや。

何歳になっても不安だし孤独だし辛いのだ。だからもう、自分で自分を幸せにしていくしかない。

私の3倍以上生きとる人が、こんなにふくふく幸せそうなら、私もふくふく幸せになれるじゃろ。なれんと嘘じゃろ。

偶然だけど、哲代おばあちゃんとは、身長・体重・足のサイズがほとんど一緒。
広島じゃし、顔つきも遠からずな気がする。本屋で見かけた時に他人事とは思えず、勝手に親戚のように思いながら、この本を買おうと決めた。

悲しくなったり辛くなったりしながらも、あと70年生きる余地があると学んだ。
もう笑って生きるしかないけえね。



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