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仕事と日本人

ある喫茶店で昼食を摂っていて、何気なく隣席の会話に耳を傾けていた。女性ふたりで、話題は不妊治療から保育園まで多岐にわたったが、その中で、婦人科の検診をめぐって「(休むと)会社(の人)に申し訳ない」という言葉が頻出したのが気になった。

外国人と日本人で仕事観は大きく異なる?

私は外国人の友人がいないので、イメージで語るのだが、欧米の人々は仕事にドライな印象がある。彼らは仕事を「日々の糧を得るため、仕方なくやっているもの」と考えているようだ。そのため、仕事よりプライベートを優先し、長期のバカンスにも平気で出かける。誰かが自分の仕事を肩代わりしてくれている、申し訳ないという思いはない。この価値観は、キリスト教で労働が原罪に対する懲罰として扱われていることに由来するのではなかろうか。一方で、日本人はその昔「企業戦士」と呼ばれたように、プライベートより仕事を優先する傾向が強い。そのため、昭和の時代は男は仕事に出て夜遅く帰ってき、家のことは専業主婦の妻に任せっきりというのが常態だった。この滅私奉公的な価値観は何に由来するのだろうか。古く、鎌倉時代の「御恩と奉公」に求めたくなるのは私だけだろうか。
こうした仕事に対する考え方の違いが、働き方にも如実に現れている。日本人は働き過ぎとよく言われるが、私から見て日本人は休むのが下手だ。仕事が早く終わると、早く帰って家族サービスするのではなく、明日の仕事を前倒しでやったり、同僚の仕事を手伝ったりするのが伝統的な日本人だ(後者は賞賛に値する行為ではある)。それに加え、仕事を休む=同僚に迷惑をかける=悪というような風潮があり、病気でも休まない、繁忙期でなくても有給休暇を取らない、産休・育休を取りづらいといった弊害が出ている。これらは日本人の気質が影響しており、いわゆる「働き方改革」の大きな妨げになっているように見える。また、こうした日本人の気質を悪用しているのが、体を壊すまで働かせるブラック企業であると言えるかもしれない。
気遣いは日本人の美徳だが、度を越した気遣いが日々求められているようにも思う。例えば、贈答。病気が治った、休暇で旅行した、産休・育休が明けて仕事復帰、などといったタイミングで、同じ部署の上司や同僚に菓子折りを持っていくのが一つの文化になっている。休んだ側が「申し訳ない」という気持ちを形で表したのが贈答品だが、これは極めて日本的な風景だと思う。先に触れた、プライベート<仕事という意識が如実に現れている。しかし、こうした行為をしないと悪口・陰口を叩かれる風潮もあり、ある意味で日本人の仕事優先主義に拍車をかけている気がしないでもない。

日本人はイヤイヤ仕事をしているにも関わらず、
プライベートより仕事優先?

不完全だが、仕事に対する日本人の考え方を推察してみた。日本人はもう少し、仕事に対してドライになる必要があるかもしれない。

〔参考〕

https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/sp/contents/column/20221104.html


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