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"広報=コストセンター"ではない:BtoBのPRは営業でありマーケティングであり採用である

僕は事業家であり、広報やPRの専門家ではありませんが、複数の事業を立ち上げ拡大できた要因の1つが広報の力でした。

それは、事業のブランディングや僕個人の魅せ方の考案から、それを的確に社会に伝える施策の実行まで幅広く、「顧客が僕らの事業を選んでくれる理由」を作ってくれる仕事でした。

自身の経験から、僕は事業の発展において"広報"や"PR"という仕事を適切に捉え、事業の中枢に参画してもらうことが極めて大切だと考えています。

社会的にもPRの重要性への注目が著しく高まる一方で、多くのBtoB企業では未だにPRの価値や定義がまだまだ過小評価されていたり、狭義に定義されていると感じます。

広報という言葉は、組織と社会あるいは公衆(パブリック)とのよい関係づくりという意味が失われ、組織の一方的な情報発信と受け取られがちである。パブリックリレーションズが本来持っていた〈よい関係づくり〉という点を忘れてはならない。
日本パブリックリレーションズ協会「パブリックリレーションズとは」より
http://prsj.or.jp/shiraberu/aboutpr

記載の通り、多くの企業が未だに
PR=広報=プレスリリース(一方的な情報発信)担当の部署
と位置づけられており、PRという業務やPRを担う人員も軽視されています。企業内での広報部署はコストセンターであり、事業とは切り離された全く別のものである、というのが多くの企業にとっての現実だと感じます。

しかし、本来PRが持つ意義は、プレスリリースで一方的に会社の情報を発信することではなく、
「事業を適切に認識/理解してもらい、収益拡大に繋げる活動」
だと僕は考えています。

「営業がまだ稼げてるから」
「マーケティングの効率がまだ悪くないから」

という理由でPRの優先順位が営業やマーケティングよりも劣等に認識されますが、PRの優先順位を下げ続けることで、いつか営業やマーケティングは焼け畑化し、事業の停滞を招くことに繋がります。

PRとは事業の最も上流となる"リード元となる源泉の生成"という極めて重要な役割を担い、PRから続くマーケティングや営業の活動最大化や効率化に直結する大切な役割だと僕は思っています。

数値化できないPRがなぜ重要なのか?

BtoBにおける顧客の購入意思決定要素を大きく分類すると、"直接的な価値""間接的な価値"の2つに大別されます。

■直接的な価値
・機能
・価格
・営業担当の能力
・タイミング
・競合他社の状況

 ■間接的な価値
・事前の認知の高さ
・近しい人間からの推奨
・事業が提供する定性的なビジョンやストーリー
・提供側の人となりや雰囲気

直接的な価値は、受注率や案件化率を高める為にとても大切な項目且つ営業効率に分かりやすく影響を及ぼします。
ただ、それだけで戦おうとすると、

・アウトバウンドに偏重して営業が疲弊する
・競合との機能比較や価格比較が永遠に続く
・商談時に「自分たちはどんな会社か」という紹介を都度行う必要があり、信頼感ゼロから始まる

などに陥り、俗に言う焼け畑状態になってしまいます。

一方で、間接的な価値は影響を定量的に測定できない為、どれくらいやればいいのかという判断が難しい領域ではありますが、注力して取り組むことで

・リード基盤が拡大する
・機能差分以外の情緒差分が競合比較材料となり競合優位性を確立できる
・顧客が自社のことをある程度理解している状態で商談ができ、営業コストの軽減に繋がる

となり、営業基盤の拡大や効率化まで全般の引き上げることに繋がります。

情報過多や技術的な参入障壁が低い今の時代、直接的な価値だけでは顧客にリーチし選択してもらうことは極めて難しくなっており、間接的な価値の重要性がより一層高まっている、というのがPRがより重要視される背景だと僕は考えています。

PRは何をすればいいのか?

間接的な価値が重要だとはいえ、事業が持つビジョンや、利用顧客のビジネスの成長ストーリーを営業の商談資料や、マーケターが作るLPにしか書いてなければ、それは「企業が一方的に言ってる魅力」に過ぎず見向きもされません。

PRがやるべき仕事とは、事業の適切な認識/理解に責任を持ち、収益拡大に繋げる活動の全般だと理解しています。

その時に大切なのが、

1. 事業の存在意義とは何か?
2. 現状の社会とのギャップは何か?
3. 意義とギャップを顧客に認識してもらう為に伝えるコトはなにか?
4. 何を媒介すると最も伝わるのか?

の4点を考え、PR戦略を立案することが大切になります。

PRを担う広報の役割の多くが「4. 何を媒介すると最も伝わるのか?」にFOCUSされがちですが、PRに本当に求められるのは、事業のトップのビジョンや方針をしっかりと理解し、咀嚼する1. および2. の業務だと思っています。

この点に関しては素晴らしいnote記事にまとめられていましたので、参照させて頂きました。
PR=経営っていうけど、社長自ら広報しろってわけじゃない

1. と2. を理解した上で、「どうすると社会に伝わるのか」を考案するのが3. となります。

・使われてる言葉は明瞭で初めて聞いた人にも伝わるか?
・事業のコピーはビジョンや課題提起をしっかりと表現できているか?
・どの部分を切り取ると最もインパクトが最大化できるか?

を考案するために、PRはあくまで客観性を保つ必要があります。
この客観性が損なわれると、自己満足的なネタが出来上がり、伝えたい内容が伝わらなくなってしまいます。

1. 〜3. を反芻した上で、最後に手段を講じるのが4. となります。

・自社のプレスリリース
・第三者メディアへの記事掲載および取材
・経営者のSNSによる発信
・大規模なイベントの開催
・オウンドメディアの運営

などの策を駆使し、振り向いて欲しい人に振り向いてもらう、ということがPRの全体像だと僕は考えています。

PRの成果とは?

PRの活動自体の直接的な評価は難しいと思います。
ただ、PRを通して事業の適切な認識/理解が促進されることで下記のような間接効果が生まれてきます。

・リード総数の増加
・指名検索数の増加
・LPのCVR向上
・広告のCTR向上
・PULLの増加
・コンペでの勝率向上
・初回訪問時のコスト軽減
・受注率の向上
・良い人材の採用

自分自身の経験を通してですが、PRがうまく機能している時は、以下の画像のイメージのように上記のKPIのほぼ全てが上昇傾向となります。

PRの見えない基盤があるからこそ、上流のKPIが確実に良化します。その認識の元、重要な営業やマーケティング指標をPRチームが自分ごと化して共に追いかける、という組織を作ることがとても大切になります。

BtoBのPR人材はレベニュードライバーになる

PRの重要性がより一層高まる中で、組織内でのPR人材の立ち位置も大きく変わっていくはずです。

・PRのポストを経営直下に配置し、常に最新の経営戦略に伴走する
・対外的なメッセージングやコピーの責任と権限を持つ
・"単独成果の数値化は難しいがPRは重要である"という経営からのメッセージを明確にし、組織内での立場を明確化する
・事業と共に重要なKPIの推移をトラックし、営業/マーケティング/採用の成果をPRの成果の一部とする

今後は上記のような動きがより顕著になるはずですし、僕らの組織もその方向に向かって進化していきたいと思っています。

BtoBにおけるPRは、コストセンターではなく、営業でありマーケティングであり採用人事であるレベニュードライバーとして機能する、事業拡大に必要不可欠なファンクションです。

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アライドアーキテクツのChief Product Officer(CPO)兼上級執行役員。マーケティング領域のプロダクト事業を統括、特にSaaSビジネスの強化に注力。ベンチャー経営・プロダクト開発・ベトナム子会社・広告。1歳になる息子を溺愛。
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