第77回: 世界的EV不興の中の「EV先進国」インド (Mar.2024)
2023年 (暦年) に150万台を記録したインドEV市場、結果、30万台を超えた「インドEV元年」の2021年からわずか2年で5倍増、ようやく一つの市場が確立したといえよう。背景に2011年以来、実に12年越しの中央政府による長期振興策があることは紛れもない事実だ。National Mission on Electric Mobility (2011)/ National Electric Mobility Mission Plan 2020 (2013) で明らかにされたFAME (Faster Adoption and Manufacturing of (Hybrid &) Electric Vehicles in India Scheme) については、JETROの解説が詳しい (2024年3月4日 地域・分析レポート「南部が熱い、インドのEモビリティエコシステムに迫る」 https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2024/0301/3ea3ce74f4b9f882.html)
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インドのEV政策は、中央政府の政策に加えて、各州政府が策定する政策がある。中央政府による主要政策には、2015年に重工業・公営企業省傘下の重工業局(Department of Heavy Industries)が発表した「EV生産早期普及策(FAME)」がある。2019年4月からは第2期(FAMEⅡ)を展開し、EV購入者に対する補助金給付、充電ステーション拡充や公共バスの電動化支援を行う。また、生産側への支援では、EVや燃料電池車(FCEV)の生産工場の新設・拡張に対して、生産連動型優遇策(PLI)の枠組みにより補助金を給付している。
対して、州政府では15州でEV関連政策が導入されている。ベンガルールを州都とするカルナタカ州では、2017年に15州の中でも最も早くEV政策を発表した。2030年までにオートリキシャ(自動三輪タクシー)、配車サービス用車両、社用車(Corporate fleets)、スクールバスの100%EV化などを目標に掲げる。支援策では、購入よりも生産への支援に力を入れており、EVを生産する企業向けの補助金や州物品・サービス税(SGST)の100%還付や充電インフラ設備導入に対する補助金などのインセンティブを提供している。他の州では、アンドラ・プラデシュ州(2018年)、タミル・ナドゥ州、ケララ州(2019年)などの南部の州も、比較的早い時期にEV政策を発表している。
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