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映画レビュー「ザリガニの鳴くところ」

このタイトルとこのポスターではとてもヒットするとは思えない。
原作は全世界で1500万部を売り上げたベストセラーだが、僕は全く知らなかった。
解説をさらりと読んでもイマイチ理解が進まない。
評価が高いので気にはなっていたが、スルーするつもりだった。

ところがミセス日本グランプリの姐さんが推してきた。
「今年のトップに躍り出たかも・・・」
という感想。

先輩の指示には素直に従う。
上映期間ギリギリだったが、時間を調整し劇場に足を運んだ。
やはり素直に受け入れることは大切。

その言葉に偽りはなかった。
素晴らしい映画で、年内に観ておいてよかった。
見逃していたら後悔しただろうね。

ジャンルでいえばミステリーになるが、僕は純粋な恋愛映画として受け止めた。
見方によっては裁判を通して偏見や差別と闘う社会派ドラマ。
沼地で起きる不可解な出来事を描くサスペンス。
本作をどのジャンルで捉えるかは観る人次第。

恋愛映画にほとんど関心を持たなくなった身だが、本作はグラグラと揺れ動かされた。
それは好きとか嫌いという子供じみたことでもなく、
ヒロインに惚れて胸キュンしたわけでもない。

その育ってきた環境や自然との関り、その中で育まれた才能が映像とストーリーに見事にマッチし、
想像しがたい世界にのめり込んでいったのだ。
湿地で孤独な状況で少女が一人で生き抜くのは容易くない。
暴力的な父親から離れる母親や家族は理解できるが、
その父親が消えてしまうのは理解しがたい。

そんな背景はミステリアスな面を生むが、
デイジー・エドガー=ジョーンズ演じるカイアのピュアさが全てを肯定的に変えてしまう。
(彼女はいいね。これから注目!)
何をピュアとするかは難しいが、自然の中で生き残る逞しさはきっとそういうこと。
ラストもね。

鑑賞後に調べてみると原作はもっと深く、映画は端折った感があるという。
それはそれ。
僕は原作は未読だが、十分楽しむことができた。

ミセス日本グランプリの姐さんには感謝しないとね。

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