山田哲也

東海地区で採用支援、就職支援を行う株式会社名大社の前代表。新卒プロパーから昇進、降格し…

山田哲也

東海地区で採用支援、就職支援を行う株式会社名大社の前代表。新卒プロパーから昇進、降格しながら社長まで上り詰めた今どき珍しい存在。2022年5月末に退任し、6月より会長に就任。映画好き、お酒好き。 https://www.meidaisha.co.jp/president/

最近の記事

映画レビュー「侍タイムスリッパー」

話題になっている自主制作映画。 単館で公開された作品がSNSで拡散し徐々に全国に広がったという。 6年前の「カメラを止めるな!」と同じような現象か。 一世を風靡した「カメ止め」はもう6年も経つんだ。 主役を演じた濱津隆之は「キングダム」でも頑張ってますね。 最近でいえば昨年の「リバー、流れないでよ」か。 これも面白い作品だった。 共通するのは低予算映画であること。 有名な俳優が出演していないこと。 映画がいかにアイデア勝負かは本作が教えてくれる。 自分たちの作りたい作品

    • 映画レビュー「劇場版 アナウンサーたちの戦争」

      NHKスペシャルで放送された作品の映画化。 TVドラマと映画とは一体どこが違うのか。 重箱の隅を突くよう見方はしない。 よほどの訴求力もあったため映画化されたと期待する。 日本でも海外でも戦争を描く映画は多い。 僕も毎年必ず観ている。 第二次世界大戦が舞台の作品は「オッペンハイマー」「人間の境界」 「関心領域」「ぼくの家族と祖国の戦争」と今年だけでも4本。 最近は戦争ど真ん中の激戦ではなく周辺の人々を描く作品が多い。 その方がより悲惨さは伝わる。 本作もそう。 1939年か

      • 映画レビュー「ナミビアの砂漠」

        僕は一部の人からZ世代研究家という認識を持たれている。 それが正しいかはともかく人前で今の若者像を語る機会は多い。 世間一般にいわれるデジタルネイティブであるとか、 プライバシー保護の意識が高いという傾向はあるが、 結局のところ多様化していて一括りにできないというのが僕の回答。 それで研究家かと問い詰められれば、「まあ」と軽く頷くしかない。 そんなもんである。 実際にはよく分からないのが事実。 そして、本作を観て益々わからなくなった。 河合優実演じるカナは21歳。 まさに

        • 映画レビュー「愛に乱暴」

          極端に描いているが、どこの家庭にも潜んでいる問題かもしれない。 問題をどう捉えるのかは難しい。 夫の不倫に対しての妻の不満なのか、 嫁姑の微妙な関係性なのか、 日々積もり積もったストレスなのか、 そもそも社会の息苦しさなのか、 多方面から解釈することは可能。 どの視点で観るか、誰の立場で観るかで解は異なる。 例えば小泉孝太郎演じる夫真守の立場。 妻に申し訳ないと思いながら取る行動は理解できないわけではない。 むしろああなってしまう可能性は高い。 家庭内での態度、重ねるウソ

        映画レビュー「侍タイムスリッパー」

          映画レビュー「ボストン1947」

          シンプルに感動できる作品。 しがない若者が努力を積み重ね栄光を掴むドラマはよく存在する。 シチュエーションにより見せ方が変わるが、感動を呼ぶのは同じ。 似た類の作品は多い。 何が違うかといえば本作は実話を描いていること。 感動を呼び込もうとすれば、 大きな挫折の後により高い目標を成し遂げるドラマを描けば簡単。 さほど難しい作業ではない。 しかし、今や嘘くさい話に気持ちが揺れ動くことは少ない。 騙されなくなったのだ。 それが実話となると一変。 置かれた環境下での苦悩や努力に

          映画レビュー「ボストン1947」

          映画レビュー「ラストマイル」

          TVドラマはほとんど観ない。 今年は大河ドラマ「光る君へ」と「不適切にも程がある」くらい。 ドラマに関しての知識は少ない。 本作についても情報不足。 言い訳するつもりはないが、なぜ、こんな豪華俳優陣なんだ・・・と不思議に思っていた。 「アンナチュラル」の石原さとみ、井浦新、窪田正孝らが出演し、 「MIU404」の綾野剛、星野源らが出演。 塚原あゆ子監督はよほど人望があるのかな。 こうした映画製作も新しいカタチになったりして。 いい意味でエンターテイメント。 作品全体として

          映画レビュー「ラストマイル」

          映画レビュー「ぼくの家族と祖国の戦争」

          第二次世界大戦を描く映画は多い。 国内だけに目を向けると敗戦国で多くの方が亡くなった悲惨な戦争として描かれる。 どうしても自分たちが中心でそれが世界と勘違いしがち。 当たり前だが戦争の被害は全世界。 敵も味方もない。 敗戦国でも戦勝国でも多くの人が不幸に陥る。 大半は一般市民で直接戦争に関わっていない人ばかり。 余計に悲しくなる。 事実を知ることで戦争や紛争が収まればいいが、その気配がないのが現実。 この類の作品に触れる度にどこかの大統領や首相は映画を観るべきだと思う。

          映画レビュー「ぼくの家族と祖国の戦争」

          映画レビュー「ソウルの春」

          韓国映画は実話をベースにした作品が多い。 映画化できるような大きな事件が頻繁に起こる国ともいえる。 実話を基にした日本映画に物足りなさを感じるのは製作側の問題ではなく、日本が平和である証。 どっちの国に住みたいかといえば、やはり日本。 本作は「粛軍クーデター」「12.12軍事反乱」と呼ばれる韓国民主主義の存亡を揺るがした事件がベース。 いわゆるファクションだが、ほぼ現実に近いようだ。 この事件の前には「KCIA 南山の部長たち」であり、事件後は「タクシー運転手 約束は海を越

          映画レビュー「ソウルの春」

          映画レビュー「ブルーピリオド」

          好きなものに出会うことができ、それに向かってひたすら努力を繰り返す。 そんな生き方ができるのはどれだけシアワセか。 苦労や苦悩、挫折や落胆も伴うが、それを上回る情熱で乗り越えていく。 その姿は清々しく、いい歳のオッサンも純粋に熱くなり応援したくなる。 こんな青春を送ることができるのなら、もう一度、高校生に戻りたい。 とモヤモヤの高校時代を思い出してしまった。 主人公矢口八虎が夢中となる美術に出会うのは偶然だ。 たまたま見た絵に感動し興味を持ち始める。 まさにクランボルツの

          映画レビュー「ブルーピリオド」

          映画レビュー「ボレロ 永遠の旋律」

          音楽は好きだが疎い。 80年代の洋楽や邦楽はある程度の知識はあるが、 クラシックとかバレエ曲となると音楽の授業で習った程度。 曲を聴けば「あ~、あれね」とはなるが、作曲家も曲名も当てられない。 「ボレロ」もそう。 イントロを聴いただけでどんな曲かは分かるが、 作曲家も知らなければ、どんな場面で使われるのかも分からない。 映画館はいかにも音楽をやってそうな観客(勝手にそう見えただけ?)が多かった。 8月は意外と観たい映画が少ない。 子供向けや超娯楽作が多く、時間がある割には

          映画レビュー「ボレロ 永遠の旋律」

          映画レビュー「ツイスターズ」

          いい意味で裏切られた。 てっきりパニック映画と思っていたが、完全なヒーロー物。 それも強靭な肉体を持つ戦う戦士ではなく、 気象学者の女性が巨大な竜巻に向かっていくヒーロー物。 荒れ狂う竜巻がアメリカ全土を襲い、 そこから非難する人々を描く映画と思っていたが大きく異なった。 実際は竜巻から非難する人を描いているが、それは竜巻の恐ろしさを示す。 与える被害も甚大。 イメージは間違いないが、そのために予習はしなくて正解。 意外な展開にワクワクし、何も知らない方が数倍楽しめる。

          映画レビュー「ツイスターズ」

          映画レビュー「このろくでもない世界で」

          止めておこうかと思いながらも観てしまった。 救いようの世界を見ても自分にプラスになることはない。 気持ちが塞ぐのは観なくても分かっている。 しかし、それを止められない自分がいた。 犯罪組織に巻き込まれ堕ちていく若者を見るのは辛い。 それは日本でも韓国でも同じ。 日本だったら白石和彌監督がどうしようもない社会を描く。 いや、北野武監督か。 暴力や犯罪でのし上がる姿は万国共通。 それには生まれ育った環境や深刻な家庭関係が影響する。 どんな国でもろくでなしの親の存在が子供の将来

          映画レビュー「このろくでもない世界で」

          映画レビュー「流麻溝十五号」

          僕らは近隣国の歴史を知らない。 韓国については精力的に制作される映画を通して学ぶ点はあるが、 台湾は知らないことが多い。 蒋介石が中国共産党との争い敗れ、 台湾で政府を樹立したという教科書に載る当たり前のことくらい。 何となく平和なんじゃないの?という短絡的な発想自体、無知すぎる。 やはり映画を通して歴史を学ぶことは重要。 自ら突っ込んで見に行かないと知らないままで終わってしまう。 本作の舞台は政治的弾圧が続く1953年の台湾。 台湾国民政府による恐怖政治下で戒厳令が敷

          映画レビュー「流麻溝十五号」

          映画レビュー「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」

          久しぶりに”らしい”映画を観た。 らしいというのはアメリカらしいスケールの大きいコメディ映画ということ。 コメディ映画というジャンルは正しくないかもしれない。 社会派ドラマともしアクション映画とも恋愛映画とも呼べる。 ラストシーンなんてまさにそれ。 いかにもという感じに好感が持てた。 正しくはロマンティックコメディに分類されると思うが、勿体ない気がしてならない。 描かれている世界は1969年。 アポロ11号打ち上げ計画を行うNASA。 その時代背景だけでも素晴らしいが、ス

          映画レビュー「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」

          映画レビュー「ルックバック」

          アニメ作品はほとんど観ない。 昨年は81本中、「THE FIRST SLAM DUNK」「君たちはどう生きるか」 「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」の3本のみ。 それでも多いほう。 一昨年はゼロ。 観ない理由は特になく実写を優先しているだけのこと。 日本で大ヒットするのはアニメだし、優秀な作品が多いのも理解している。 いつの間にか食わず嫌いになってしまったのか。 本作の評判の良さは知っていた。 それでも素通りしようとしていた。 58分と映画としては短く一律1700円の入場料もマイ

          映画レビュー「ルックバック」

          映画レビュー「大いなる不在」

          地味な作品。 知らずに通り過ぎる可能性も高い。 しかし、素通りするには勿体ない。 この家族の物語を押さえておくのも大切。 もしかしたら自分が当事者になるかもしれない。 そんな危機感を抱きながらも別世界の父子関係を味合わせてもらった。 本作は元大学教授の父親とその父親に捨てられた息子の関係を描く。 藤竜也演じる元大学教授陽二は頑固で偏屈。 認知症が原因で警察に捕まり、離れて暮らす森山未來演じる息子卓が呼ばれる。 その代わり果ては姿に驚きながら、関係性が紐解かれていく。 現

          映画レビュー「大いなる不在」