山田哲也

東海地区で採用支援、就職支援を行う株式会社名大社の前代表。新卒プロパーから昇進、降格し…

山田哲也

東海地区で採用支援、就職支援を行う株式会社名大社の前代表。新卒プロパーから昇進、降格しながら社長まで上り詰めた今どき珍しい存在。2022年5月末に退任し、6月より会長に就任。映画好き、お酒好き。 https://www.meidaisha.co.jp/president/

最近の記事

映画レビュー「キングダム 大将軍の帰還」

世の中はもう夏休みか。 昨年の第3作、一昨年の第2作(1作も)は8月の夏休みのド真ん中に鑑賞。 この時期は意外と観たい作品が少なく当初は仕方なくの選択だった。 しかし、今年は公開早々に鑑賞。 キングダムファンでもないのに・・・。 映画コラムニストとしての仕事もあるが、興味を持ってしまったのか。 全巻を売り出そうとしている息子のコミックを今のうちに読んでおくか。 72巻はとてもじゃないけど読めないが(汗)。 まず僕が思ったのは、自分ももっと頑張らなきゃというどうでもいいこと

    • 映画レビュー「フェラーリ」

      やはり本作を観ながら「ハウス・オブ・グッチ」を思い出してしまった。 それは主役がアダム・ドライバーだからではない。 イタリアの街並みが「ハウス・オブ・グッチ」とダブったのだ。 歴史ある建物は時代が移ろうとも残す印象は変わらない。 それにしてもアダム・ドライバーは凄い。 本作ではフェラーリの創業者エンツォ・フェラーリを演じ、 一方ではグッチ経営者のマウリツィオ・グッチ。 似ても似つかない。 中年太りの体格とスラッとした紳士。 クリスチャン・ベール並みの役作り。 いやいや凄い。

      • 映画レビュー「ブリーディング・ラブ はじまりの旅」

        20歳の娘と父親との家族愛を描いたロードムービー。 年頃の娘を持つ身として、惹きつけられつい観てしまった。 映画を観ながら、どうしても自分をダブらせてしまう。 本作のように娘はアルコール依存症ではない。 僕は離婚経験もなく、子供と離れ離れの生活を送ったこともない。 そんな点では180度異なる家族設定。 お互いまっとうな人生を歩んでいる。 しかし、胸に迫るものがあり、自身の行動に反省させられる面は多かった。 娘の立場からすれば父親の存在は大きい。 最も愛情を欲する時期にど

        • 映画レビュー「悪は存在しない」

          「ドライブ・マイ・カー」でアカデミー国際長編映画賞を受賞した 濱口監督作品となればもっと話題になっていい。 しかし、思ったほどではない。 公開される映画館も時期もまばら。 4月公開作品だが、僕は7月に近所の映画館で鑑賞。 気づかなければスルーしていた。 では、公開時から駄作扱いか。 そうではない。 本作はベネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞。 ヨーロッパの映画祭は派手ではなく難解な作品が選ばれる傾向もあり、 そのあたりも話題性の低い理由かもしれない。 映画を観て思った。

        映画レビュー「キングダム 大将軍の帰還」

          映画レビュー「ピクニック at ハンギング・ロック」

          1975年に公開された作品をリバイバル上映で鑑賞。 監督や主演女優が亡くなったわけでもなく、なぜ今の時期に公開されたかは分からない。 僕が知らないだけで明確な理由は存在するのだろう。 ポスターのイメージは美しい少女を描くファンタジックな作品。 イメージ通りだったら観ることはなかった。 監督のピーター・ウィアーはこの作品で評価され、 国外でも注目を浴びたというのが観た理由。 本作をキッカケにアメリカでの活躍があるようだ。 80年代、90年代は素晴らしい作品が多い。 「刑事ジ

          映画レビュー「ピクニック at ハンギング・ロック」

          映画レビュー「ふたごのユーとミー 忘れられない夏」

          本作は双子姉妹を描いた青春ラブストーリー。 日本映画なら観なかった。 いや、アメリカ映画やヨーロッパ映画でも観なかった。 このジャンルはとうに卒業。 ではなぜ観たか。 理由は明確。 タイの映画はどんな感じかということ。 生まれて初めてタイの映画を観た。 タイ映画が日本に輸入されることはほとんどないと思う。 年間制作数は知らないが、それなりに作られているはず。 それだけでも本作は代表的な一本といえるのではないか。 舞台は1999年のバンコク。 2000年問題が騒がれていた

          映画レビュー「ふたごのユーとミー 忘れられない夏」

          映画レビュー「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」

          予備知識はなく映画サイトの評価が高かったので観た作品。 オープニングでリバイバルかと思ったり、 いつの時代を描いた作品なのかと予備知識のなさを後悔しながら映画は進行。 70年後半? 80年代初頭? と想像していたが、映画の途中で1970年ということが判明。 本作の解説にはしっかりと表記されていた(汗)。 当時のバラエティ番組やジムビームが2ドルで買える背景から時代は明確に。 作品とは関係ないが、主人公のハナム先生はどこでもジムビームばかり飲んでいる。 料理長のメアリーはラ

          映画レビュー「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」

          映画レビュー「朽ちないサクラ」

          今年は愛知県を舞台にした映画が多い。 先日の「ディア・ファミリー」は春日井市が舞台。 映像から背景をイメージさせてくれた。 本作は愛知県平井市という架空の街。 映像からどのあたりかも想像できない。 海が近い? 山が近い? ということは三河方面? なんて愛知県民らしい想像はするが、どこかはイメージできなかった。 作り手の策略なのか不明だが、混沌とした事件を解明するには謎が多い方がいい。 ネタバレしない程度に解説すると、杉咲演じる県警の広報職員が 親友の変死事件をキッカケに捜

          映画レビュー「朽ちないサクラ」

          映画「ディア・ファミリー」

          本作の予告編は何度も見た。 また、大泉洋が出演するTV番組もあきらかに映画の宣伝になっていた。 完全に「お涙ちょうだい」の映画。 毛嫌いするわけではないが、 人の死で泣かせる作品はあえて見る必要がないと決めていた。 しかし、である。 本作の舞台は愛知県。 それも実話がベース。 あまり映画を観ない愛知県の知り合いも鑑賞。 しかも絶賛の声が圧倒的。 モデルとなった主人公は「東海メディカルプロダクツ」の筒井会長。 愛知県では敬意を払うべき知られた企業。 なんとなく背中を押され

          映画「ディア・ファミリー」

          映画レビュー「蛇の道」

          個人的に黒沢清監督作品を評論するのは難しい。 前作「スパイの妻」はヴェネチィア国際映画祭銀獅子賞作品で評価も高かったが、 僕の中ではそれほどでもなかった。 面白くないといっているのではない。 人物の描き方が特徴的過ぎて、上手く感情移入できなかった。 それはセンスとか好みの問題であくまでも個人的なこと。 数多い受賞が優れた作品の証。 異論を唱えるつもりは毛頭ない。 そんな意味では、本作も絶賛する者とそうでない者と分かれるだろう。 やはり描き方は独特。 僕はミステリアスな予

          映画レビュー「蛇の道」

          映画レビュー「トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代」

          今年はドキュメンタリー作品を観る機会が多い。 「ビヨンド・ユートピア 脱北」 「劇場版 再会長江」 「Ryuichi Sakamoto | Opus」 珍しく音楽関係が続いた。 特に詳しいわけでも、好きなジャンルというわけでもない。 たまたまタイミングがあったのが正直なところ。 本作も観なきゃ知らないまま終わっていた。 加藤和彦という稀有なミュージシャンを理解できたのは観たからこそ。 僕が知っているのは「帰ってきたヨッパライ」と「あの素晴らしい愛をもう一度」くらい。 映画

          映画レビュー「トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代」

          映画レビュー「関心領域」

          正直、面白いとは言い難い。 映画にハラハラドキドキや痛烈なメッセージを期待する人は止めた方がいい。 今の若者ならオープニングの数分も耐えられないかもしれない。 きっと早送りしたくなる。 逆をいえばそれを気にせず、映画に向き合える方なら楽しめるのかもしれない。 いや、楽しめるという表現は間違っている。 本作を楽しむことはできない。 恐怖を感じることしかできない。 ホラー映画ファンなら恐怖は快感に変わる。 しかし、本作は快感には程遠い。 鈍感で無関心な人が何も感じない程度。

          映画レビュー「関心領域」

          映画レビュー「あんのこと」

          できれば観たくなかった。 でも、観ようとする自分を抑えきれなかった。 案の定、落ち込んだ。 救いようのない気分になった。 予告編を観た段階で、相当辛い作品であることは理解できた。 観たいけど、観たくない。 そんな気持ちだったが、同時に観なきゃいけないという妙な使命感に駆られた。 本作は実話をベースに制作。 それもコロナ禍を描いた最近の出来事。 コロナは多くの方に被害をもたらし不幸へ陥れていた。 主役杏もその一人。 しかし、ここで描かれるコロナはひとつのキッカケに過ぎない

          映画レビュー「あんのこと」

          映画レビュー「ミッシング」

          吉田恵輔監督は時代に翻弄される人を上手く描く監督。 それも今この時代を鋭く切り取る。 「空白」ではマスコミの偏った報道で勘違いされる人を、 「神は見返りを求める」ではSNSに極度にハマっていく人を描いた。 本作はその両方。 よほどマスコミに恨みを持ち、SNSを懐疑的な存在と認識しているのではないか。 過去、酷い目に合っているのかな(笑)。 しかし、ここはリアル。 中身はともかく実際に被害に遭っている人は多い。 正義感を振りかざす無責任な存在が人を陥れていく。 その餌食にな

          映画レビュー「ミッシング」

          映画レビュー「碁盤斬り」

          いい意味で白石監督らしくない作品。 僕は大好きだが白石作品はハードなイメージが付きまとう。 「日本で一番悪い奴ら」にしても「孤狼の血」にしても、 その続編も「凪待ち」も「ひとよ」も「死刑にいたる病」もそう。 ほぼ作品は観ているが、大体は登場人物が壊れている。 まともな主役は少ない。 それを得意とする監督と期待していたし、そんな作品が好きだった。 そんな作品に惹かれることは全うじゃない(笑)。 しかし、本作の登場人物は壊れていない。 破綻していない主役は初めて。 部分的に切

          映画レビュー「碁盤斬り」

          映画レビュー「ありふれた教室」

          学級崩壊や先生の過酷な労働環境など教育現場が話題になることは多い。 それは日本特有の問題だと思っていた。 実際は日本に限ったことではなく、全世界共通の問題。 本作を観て、そう感じた。 舞台はドイツの中学校。 仕事熱心で正義感の強い若手教師の行動が引き金になり、大きな問題へと発展。 その流れていく状況がとても恐ろしい。 社会派人間ドラマだがサスペンススリラーというジャンルも間違いではない。 むしろそう捉える方が正解なのかもしれない。 原題は「Das Lehrerzimmer

          映画レビュー「ありふれた教室」