山田哲也

東海地区で採用支援、就職支援を行う株式会社名大社の前代表。新卒プロパーから昇進、降格し…

山田哲也

東海地区で採用支援、就職支援を行う株式会社名大社の前代表。新卒プロパーから昇進、降格しながら社長まで上り詰めた今どき珍しい存在。2022年5月末に退任し、6月より会長に就任。映画好き、お酒好き。 https://www.meidaisha.co.jp/president/

最近の記事

映画レビュー「首」

カンヌ映画祭で絶賛されたというが、絶賛のポイントはどこか? 映像美なのか、 斬新なタイトルクレジットか、 いとも簡単に首がポンポンと飛ぶところか、 歴史の解釈を大きく変えたところか、 それとも北野武監督だからか・・・。 独特な演出の北野作品は好んで観ている。 本作も公開3日目に鑑賞。 何度も観た予告編でも体が震え、自ずと期待感が増していった。 その期待に応えたかは大きく意見が分かれるだろう。 評価は分かれる作品じゃないかな。 ぜひ、自分の目で確かめてほしい。 構想30年

    • 映画レビュー「PHANTOM ユリョンと呼ばれたスパイ」

      ここまで日本人を悪く描くと韓国人はスッキリするかもしれない。 一方でこれが本当の姿として捉えられると日本と韓国の距離感は一向に縮まらない。 あくまでも娯楽作品として観るべきだが、勘違いする人が増えてもおかしくはない。 被害者と加害者の関係はどれだけ時代が進んでも平行線なのかな・・・。 これが事実かもしれないけどね。 本作は1933年、日本統治下のソウル(京城)で起きた朝鮮総督暗殺事件が舞台。 抗日組織「黒色団」のスパイ「ユリョン」が事件を起こす。 フィクションだがこれに近い

      • 映画レビュー「正欲」

        「正欲」というワードは普通に変換しても出てこない。 性欲、制欲と表示されるくらい。 「正しい欲」ならありそうなワードだが、実際には存在しないようだ。 言い換えれば「常識」というワードになるだろう。 この「常識」というワードも厄介だ。 僕は自分を常識人だと思っている。 誤った道は歩まない。 人を傷つける行動はしない。 犯罪を犯したことはない。 家庭を大切にしている。 結婚だって1回・・・。 しかし、これは僕が勝手に思っている「常識」に過ぎないのではないか。 自分の中の「正

        • 映画レビュー「私がやりました」

          昨年は韓国映画が面白いといい、かなりの本数を鑑賞。 今年はフランス映画か。 年に1本観るか観ないか程度だったが、今年はこれで4本目。 いずれも面白い作品ばかり。 これまで機会を捉えてなかっただけか、 それとも急激にフランス映画自体が盛り上がっているのか。 実態は調べないと不明だが、肌感覚として発信力が増しているように思う。 先日の「私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?」もそうだが、 実社会にメスを入れる堂々とした作品が目立つ。 本作はジャンルとしてはコメディ。 ユ

        映画レビュー「首」

          映画レビュー「SISU シス 不死身の男」

          描かれているのは第二次世界大戦末期の1944年。 「ゴジラ−1.0」に近い(笑)。 これが実話なら凄すぎる世界だが、さすがにあり得ない。 主人公がターミネーターかダイハード並に強すぎる。 いや、もしかしたらこの2人よりも強いかも・・・。 映画を観て、そんなことを感じた。 アクション映画はハリウッドが主役だが、最近は韓国やインドの台頭が目立つ。 それだけじゃない。 もしかしたらフィンランドもその国の一つかもしれない。 そもそもフィンランド映画って観る機会がない。 今年観た「

          映画レビュー「SISU シス 不死身の男」

          映画レビュー「ゴジラ−1.0」

          本作はゴジラの生誕70周年記念作品。 日本で製作された実写版映画としては30作目。 なんと公開日も第1作目の1954年の「ゴジラ」と同じ11月3日。 その初日に本作を鑑賞。 特にモーレツなゴジラファンでもない。 たまたま日程があっただけ。 最近観たゴジラといえば「シン・ゴジラ」と「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」。 といっても7年前だから随分と昔。 小学生の頃は公民館で上映会があり、ゴジラシリーズが流れていた。 「ゴジラ対ヘドラ」とか「ゴジラ対メカゴジラ」とか。 どち

          映画レビュー「ゴジラ−1.0」

          映画レビュー「フィリピンパブ嬢の社会学」

          名古屋の映画コラムニストとして試写会にご招待いただいた作品。 今週10日より愛知県で先行公開される。 なぜか。 作品の舞台は愛知県。 だからこの地区に詳しい映画コラムニストに案内も舞い込んでくる。 あんまし関係ないか・・・。 怪しげなタイトルだが、本作は実話を基に作られた映画。 原作の中島弘象氏の大学院時代が舞台。 その出身大学中部大学もそのまま、 その周辺の春日井市内もそのまま、 フィリピンパブのある栄の女子大小路もそのまま撮影されている。 映画を観ながら「あ~、あの

          映画レビュー「フィリピンパブ嬢の社会学」

          映画レビュー「唄う六人の女」

          「えっ、ホラー映画?」 映画を観始めて20~30分くらいの頃、そんな思いが頭をよぎった。 僕はホラー映画はほぼ観ない。 そのジャンルにそもそも関心がないし、 何の得もしないという気持ちが強く観ることはまずない。 本作は予告編を数回観ただけの知識。 怪しげな作品という認識はあったが、まさかホラー映画とは思わなかった。 30分ほど経った時に「途中で外に出ようかな・・・」と思ったのも事実。 しかし、そう思い始めたころから流れが変わっていった。 結果的には納得感が体を包んだ。 途

          映画レビュー「唄う六人の女」

          映画レビュー「私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?」

          ビックリするくらい話題になっていない作品。 「映画.com」のようなサイトは新作が公開されると必ずビューがアップされる。 迷っている作品はビューの内容や評価点を確認して観るかどうか決める。 本作は僕が通う「ミリオン座」での上映が決まっていたので気になっていた。 公開日の翌週に別の作品かどちらかに行こうと予定していた。 しかし、公開されてもビューは全くアップされない。 上映されて1週間経過した26日現在で1件のみ。 なぜ、こんなにも話題にならないのか・・・。 解説には 「フ

          映画レビュー「私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?」

          映画レビュー「アナログ」

          本来、僕の鑑賞リストには入っていなかった。 この年齢になるとラブストーリーにはさほど興味を示さない。 しかし、周りのざわつきが僕を映画館に向かわせた。 一つは映画情報サイトの評価の高さ。 ただ、それだけでは動じない。 決定的になったのは映画評論仲間の声。 50代後半のオッサン達が胸ときめかせ絶賛していた。 もう、これは自分の眼で確かめるしかない。 この年齢で「胸キュン」なんていう現実があるのかと・・・。 やられてしまった。 映画評論仲間のオッサン同様、胸ときめかせてしま

          映画レビュー「アナログ」

          映画レビュー「アンダーカレント」

          今泉力哉監督は日常を描くのが得意な監督と思っていた。 ごく平凡な人の普通の生活にドラマを生み出す。 そんな監督と思っていた。 本作もその流れを組んでいる面はあるものの、独特の世界。 オープニングで紹介される「アンダーカレント」とは、 1.底流、下層流  2.(感情・意見などの)底流、暗流 という意味。もっと長い文章だったけど・・・。 映画で意味を紹介されるとストーリーとの関連性を読み込みたくなる。 コミックの読者ならその必要性はないが、 その存在すら知らない者にとっては、

          映画レビュー「アンダーカレント」

          映画レビュー「月」

          144分の上映時間、ピーンと張り詰めた時間を過ごした。 観終わった後は疲れが残った。 それが心地よい疲れならいいが、そうではない。 自らを問いに向かわせる。 果たして自分はどっちの方向を向いているのか・・・。 自分の中で正解は出ている。 至極まっとうな判断。 しかし、それは偽善じゃないかと聞かれれば答えに窮する。 偽善じゃないとは言い切れない。 自分自身があらねばならないという気持ちがそうさせている。 僕だけの問題であれば、特に悩むことはない。 きっと多くの方が同じ感情

          映画レビュー「月」

          映画レビュー「BAD LANDS バッド・ランズ」

          原田監督は毎年秋に作品を公開するのが定番になっているのか。 大ヒット作や超優秀作は生まないが、 (大変失礼ですね、すみません) 安定した作品を提供し続けるのは配給側としても安心できる。 昨年は「ヘルドックス」、一昨年は「燃えよ剣」。 危ない作品が続くが、 (「燃えよ剣はそうでもない・・・) これも原田監督の特徴ではないだろうか。 そこからの岡田准一友情出演だったりして(笑)。 本作の上映時間は143分。 その前に観た「白鍵と黒鍵の間に」が94分。 約50分も長いが、その時

          映画レビュー「BAD LANDS バッド・ランズ」

          映画レビュー「白鍵と黒鍵の間に」

          何が凄いって、本作で披露されるピアノは主役池松壮亮が弾いていること。 素人レベルの見方だが、こんなに上手いのかと思ってしまう。 調べてみると役作りのために半年間、猛特訓したという。 半年でこのレベルになるとは、その役者魂に感動。 令和の仮面ライダーを演じるだけのことはある。 多くの映画監督が使いたい役者の一人なんだろう。 映画自体はとても不思議な作品。 笑わせたいのか、心の内や葛藤を表現したいのか、その両方なのか、よく分からない。 池松壮亮が二役演じる必要性は映画を観てい

          映画レビュー「白鍵と黒鍵の間に」

          映画レビュー「バーナデット ママは行方不明」

          すき間時間に鑑賞。 そうじゃなければ、観ないまま終わっていたかもしれない。 たまたま空いた時間に感謝。 まず映画を観て思ったこと。 英語が理解できれば、もっと楽しめたということ。 僕は英語は喋れないし、聞き取れない。 ふとした瞬間、英語を学ぼうと思ったりするが、本気じゃない。 この年齢になって覚えるのはしんどいし、 それなりの翻訳機があればなんとかなると思ってしまう。 しかし、本作を観ると日本語訳では伝わらない言葉があるはず。 もっと笑えたり、泣けたりすると思うし。 主

          映画レビュー「バーナデット ママは行方不明」

          映画レビュー「福田村事件」

          日本人の行動はいつの時代も変わらないのかもしれない。 これまで主にドキュメンタリーを撮ってきた森達也監督は今の時代だからこそ、 この作品を世に出したのだろうか。 本作の舞台は大正時代。 1923年9月1日、関東大震災後の数日を描く。 実際に起きた虐殺な事件。 情けない話だが、僕は本作に出会うまでこの事件を知らなかった。 言い訳するなら、事件を知る機会がなかった。 単に情報不足なのかもしれない。 一方で情報自体が公にされていたとは言い難い。 これまで国内における残虐な事件

          映画レビュー「福田村事件」