農家の労働時間と生産性

夜明けとともに動いて日が沈むと終わり、農家の働き方ってそんなイメージがあるかと思います。
実際多くの農家さんが近い時間感覚で働いているのではと思います。
そんな中、今年は第二子誕生があってそれとは全然違う時間感覚で働くことになり、それでもなんとか売り上げを作った年でした。

自分も3年前(就農2年目)くらいのときは夜明けから日が沈むまでのような時間感覚でがむしゃらに働いていました。
それでもなかなか売上が上がらず、「時給換算したらひどいもんだ」と、しんどかった覚えがあります。
毎日14時間くらい働いていましたから、今となっては何故あんなに働いていたのだろうと不思議に思ってしまいます。

仕事内容としては以下のようなものがあります。大きく「栽培する」と「売る」に分けてます。
栽培する
・種まき
・苗の管理(水やりなど)
・肥料まき(土壌改良剤、元肥、追肥)
・耕耘(トラクター)
・定植
・防除
・収穫
売る
・調整(洗ったり、綺麗にする)
・袋詰め
・納品(店舗回り)

うちは産直出荷メインなので、売る項目にかかる時間が多いです。
調整や袋詰め作業は結構時間がかかります。
ブロッコリー300個収穫すると、収穫作業で2~3時間、袋詰め作業で2~3時間くらいかかります。
また納品も大体2~3時間かかるので、売るための作業は結構時間を使ってます。
売るための時間が多いのが産直出荷ならではと言えます。

現在は冬ということもあり、9時~17時くらいの感じで働いていますが、3年でどんどん働く時間が短くなってきてます。
9時~17時だと一般的なサラリーマンと同じような時間帯ですよね。
これは意図的ではなく、結果的に、もしくは仕方なく短くなっていったものです。

大きな転機は第一子の誕生です。育児が増えた妻の家事の負担を減らすために少し早く帰ることを習慣付けるようにしていきました(正確には妻からの要請があってそうなりました)。
生まれてから3ヶ月くらいは3時間おきのミルクがあったので、22時~25時のタイミングは自分が起きていて、妻に寝てもらうなんてことをしてました。
あとは洗濯物をたたむ、子供をお風呂に入れる、妻がご飯を食べてる間に子供を抱っこしている、なんかですね。
こんな感じだったので、育児と家事の時間が増え、反対に労働時間が短くなりました。

下の子が生まれた6月から8月までの3ヶ月は、上の子の保育園の送り迎えをやってました。
9時と16時に保育園に行かないといけないので、実質的には6時間くらいしか働く時間がとれませんでした。

今は娘2人を保育園に出発するまで見送るとだいたい9時スタートになり、17時に終わってそれからお風呂に入れて、21時~22時くらいに2人とも寝るみたいな生活になってます。
朝は結構忙しく、上の娘と朝ご飯を食べて、着替え、歯磨き、下の娘にミルクなどやってると気づいたら保育園行く時間になります。
その後自分の準備して、大体9時くらいに仕事スタートになります。
年々働く時間が短くなってる状況下で、いかに効率よく仕事をするかを必死に考えながらやっています。

今年は妻やバイトに来てくれる方、自分の両親、妻の両親の助けもあって、去年並みの売上になりました。
数字で見ると売上が昨年並みと伸び悩んだのは初めてで、足踏みした年になってしまいましたが、自分としては作業効率を上げることに成功した年にも感じられました。
実際に作業効率を上げるために行ったのは以下の点です。
①植えてある作業量が大きな作物をやめる
②作付スケジュールの見直し、作物の優先順位の付け直し
③納品量の最大化のために収穫数を逆算

①今やるべき仕事を減らすという整理をしました。
元々産直出荷のために複数品目の同時収穫をやっていましたが、これがしんどい原因となっていました。
解決のため、毎日収穫しなければいけない果菜類を全部やめました。毎日収穫作業をすると他の管理作業や植え付けなどの作業が滞ってしまうからです。
除草剤をかけてしまって、枯れたらマルチや支柱などを撤去して何か植えられる状況にして、別のやるべき作業に集中することにしました。

②将来的な「頑張れば出来る」をやめる作業です。
売上見込み金額と時期を見直して、幹ではなく枝葉になるような作物の作付を辞めました。
プラスアルファの売上くらいに考えていた作物を作らない、収穫時期が重なりそうな作付を整理していくつかはやめるというような感じです。
特に11月は収穫が多くなるシーズンなので、作業の平準化を図りました。
うちについてはブロッコリーがメインなので、まずはブロッコリーの作付をメインに考えて動いた感じです。

総じて大きなロスが出来てしまいましたが、大きな教訓を得ました。
「これくらいだったら頑張れば出来る」という考えはやめるということです。
諦めることは辛かったですが、そうしてからは心に余裕が出来て頭も整理されました。
そしてこの一連の作業の中で必然的に品目集約と作業効率の向上が進みました。
「これくらいの数量しか売れないだろう」という思い込みから多品目やっていましたが、やってみたら結構さばけることに気づきました。「品目減らして、1品目を多く作っても大丈夫そうだ」となったのです。
ブロッコリーとキャベツを1,000株ずつやってたのを、ブロッコリーで2,000株にする、というように集約していきました。

③1日の最大売上のための収穫、荷造りを考えてやってます。
野菜の場合、どうしても単価が低いので、ここの部分を強化しないと効率化は図れません。
終わり時間が大体17時だとすると、15時には袋詰めを終えて納品に回る必要があります。なので、タイムリミットまでにいかに多くの野菜を荷造りするかを試行錯誤しています。
例えば妻と一緒に収穫し、その後一緒に袋詰めするパターンもあれば、自分は収穫作業して妻は袋詰めを随時やるパターン、など複数のパターンが考えられるので、その最適解を考えるということです。
調整や袋詰め作業時間短縮のために、作業台のスペースの使い方や、量りやコンテナの配置、詰める袋の置き方、動線の確認などを考えながら修正して効率アップを図っています。
また納品量も軽バンの積載量があるので、あえて収穫しきらないときもあります。
こういうことを毎日考えて生産性の向上を図ってます。

また妻が復帰してから、仕事の割り振りを見直して効率よく動けるようにもなりました。
これはストレングスファインダー関連の記事で具体的に書いています。
あまり頼まなかった畑仕事、体力系の仕事もやってもらうことで、1日の中の仕事量も増えて結果効率よく仕事をこなせるようになってきました。

1日とか1週間単位の仕事と3ヶ月とか半年単位の仕事の両方を効率化していったわけです。
仕事の加減乗除でいくと「減」のステージにきた所になりました。

次は「乗」のステージに差し掛かっています。
これについては色々実現したら記事にしていきたいと思ってます。

農業を始めてからようやく自分のパターンが出来そうになってきました。
効率化を考えることは今後も忘れずに仕事をしていきたいと思います。


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