農家は集まりたがる

持論を1つご紹介したいと思います。
「農家は組織を作りたがる」というものです。

農業は1人でもくもくとやる作業が多いという仕事です。
なので農家は基本的に話し相手を求めています。よっぽど忙しいときは別ですが、会社員のときに農家営業に行くと結構長くお話させてもらったり、お菓子とかお茶とか出してくれたりしました。帰る時には野菜とか持たせてくれたりと、営業に行ったのにおもてなしされて帰るなんてことも。
今農家の立場になって自分が思うのは、「わざわざ情報を持って来てくれるなんてありがとう」という感謝です。営業に行ってたときの農家さんもこんな気持ちだったのかなと思いました。

一日帰るまで誰とも喋らない日があってもおかしくない農家なので、人と会う、人と話すことは結構重要視してると思ってます。
そんな中で思ったのが、農家は組織を作りたがるということでした。

農協に関係していると色々な組織があります。出荷のための生産部会(部会というのが組織の単位名になってます)、地域というくくりの部農会、農家の跡継ぎが集まる青年部、農家の奥様方が集まる女性部など色々あります。
農協とは関係ない出荷組合なんかも多いですし、静岡県だと共同運営のお茶工場も多いです。また地元スーパーの産直出荷のための農家組織なんかもあります。
農協という組織がまさにそうですが、集まることで交渉をなるべく優位に出来るようにしたり、帰属意識を持つことで精神的な安定を図ったり、組織というのは色々な形態と目的がありますね。

組織が出来たてのときは目的がはっきりしているために意思の疎通もしやすいのですが、年数がたって組織の規模が大きくなってくると大変です。
組織のための組織になっている場合がほとんどで、形骸化してしまうと帰属意識以外に生み出すことがなくなってしまいます。
すると生産活動に活かされなくなってしまい、組織の本質が見えなくなります。

自分は生産部会の1つ、産直の部会に1つ、あと部農会に入っています。
青年部に声をかけて頂いたこともありましたが、正直に言ってあまり魅力を感じずやんわりお断りしました。
魅力を感じなかった要因として、①毎年恒例行事をこなしているだけでクリエイティブさがなくなってしまったように見えたこと、②置かれている状況が違うことがありました。
②について、他の青年部員はいわば従業員的な人が多く、経営者である親の下で働く形をとっている人が多いです。おそらく以前は経営的決定権があまりない中でやりたいことをやるために同世代と組んでやろうとしたのではないかと思ってます。自分の場合は経営者なので、やりたいことをやれる立場です。乱暴な言い方をすると「親の文句を言う必要が無い立場」となります。この立場の違いから、あまり魅力には感じませんでした。

現在において組織内の代謝は早い方がいいし、また必要に応じて組織を作り替えても良いと思ってます。
なので組織のための組織、帰属意識のための組織となったもの、そう感じるものには入らないようにしています。
組織に入らない強みである決定の速さを活かし、組織に入る強みである関係人口の多さをSNSやHPなどのデジタルツールを利用して克服しようと思ってます。


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