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自己啓発と辞世の句

自己啓発的なものの見方は、いつ頃始まったのであろうか。

昨今では、自己啓発の言説が書籍やインターネットなどにあふれており、いわば自己啓発のブームが到来している。それでは、自己啓発は、人類が最近編み出した考え方なのであろうか。

この疑問を考えるにあたって、まず、高杉晋作の辞世の句を見てみたい。

おもしろき こともなき世を おもしろく

この句からは、不条理に満ちた世の中でおもしろいことを自ら探し作り上げていこうとする、晋作の生き方が見て取れる。生き方を示すのは自己啓発の構成要素の一つであり、この句には自己啓発的な着想があるという評価もしうる。
なお、高杉晋作は、幕末、すなわち江戸時代の末期に活躍した人物である。ということは、遅くとも江戸時代末期には、自己啓発的なものの見方が存在したということになる。

さらに、

おもひおく 言の葉なくて ついに行く 道は迷はじ なるにまかせて

という、戦国武将の黒田如水の辞世の句がある。この上の句からは、後悔の無い満ち足りた人生であったという、如水の最期の心境がにじみ出ている。これもまた、悔いのないように生きるという、自己啓発でよく見聞きする考え方と通ずるものがある。
自己啓発的なものの見方は、日本の戦国時代にすでに存在していたらしい。

自己啓発の起源は、かなり昔に求められるものかもしれない。

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