IDストレッチについて
IDストレッチの本を買ったので、まとめていく
IDストレッチとは
個別的筋伸長法(individual muscle stretching)のこと。
筋緊張抑制のためにⅠb抑制および等尺性収縮を取り入れたスタティックスチレッチの範疇であるようです。
目的とした筋を単体で伸張する必要があるため、筋の起始停止や走行、三次元的な筋の位置関係の理解などが重要です。また触診技術も大切。
加えて筋収縮の機構、神経反射、体性神経系と自律神経系の関連、疼痛および疼痛抑制に関連する知識などの専門知識も必要になります。
目的
筋緊張の低下
可動域(柔軟性)の改善
筋痛の緩和
血液循環の改善
傷害予防
パフォーマンス向上
対象
原則的には上下肢および体幹の筋群すべてが対象になります。
複数の筋に緊張亢進が見られる場合には、その中でもっとも訴えが強い筋および運動制限や痛みの原因と考えられる筋からストレッチする。また表層の筋から深層とストレッチを進めていきます。
IDストレッチの時間に関する考え方
スタティックストレッチの効果が出現する時間について一定した結論はでていないようです。30〜60秒のストレッチが15秒間と比較し、優位に可動域の改善が見られたとされる報告があります。
IDストレッチは、ストレッチ中にⅠb抑制などにより筋の抵抗が弱まり、筋の伸張性が拡大するまでの10〜20秒としているようです。
ストレッチ時に異なる部位に痛みが発生する場合
ストレッチを行いたい筋のストレッチ方向に疼痛を訴えられた場合には、その方向の主動作筋である筋の短縮や機械的圧迫による疼痛を疑います。問診や触診によって該当する筋を同定し、その筋の運動時痛を抑制したあとに当初の筋に対してIDストレッチを行う必要がある。
慢性痛症の場合
疼痛を誘発している筋硬結部位が1箇所だけでなく、同じ筋あるいは隣接する筋にも存在することもあります。治療の順序は問診や触診を行い、痛みがもっとも強い箇所から治療を進めていきます。
中枢神経障害における疼痛、関節可動域制限の場合
中枢神経障害では痙性や固縮による筋緊張異常が発生しますが、加えて不動、努力性収縮、外的刺激によって痛みなどが引き起こされて症状が悪化することもあります。
そのため、中枢神経障害に対するストレッチでは末梢性の筋緊張亢進に対して効果を発揮できると考えられています。
急性炎症による疼痛や可動域障害の場合
急性期では、疼痛抑制法により一時的に疼痛が抑制され、その結果IDストレッチが可能になる。しかし、炎症が局所に残存している限り、時間の経過とともに侵害受容器の活動が活発になり、疼痛・筋緊張亢進・可動域障害が発生します。つまり、急性期では適応とならないようです。
まとめ
ひとまずIDストレッチがなんなのか、どういった考え方で行っていくかを簡単にまとめました。