【OW2】タンクの役割:Spiloコーチの翻訳・要約
以前に、Spiloコーチのサポート解説動画についての記事を書きましたが、今回はタンク編です。
ただ、前回のサポート編ほど価値のある内容にまとめられていないと思います。すいません。
後記にも書いてるんですが、この記事では書かないことにした不完全燃焼の部分が結構あったりもします。
この動画を見れば済む話なんですが、長いし英語だしで取っつきにくいので、簡単に要約します。勝手に。
冒頭のイントロ部分で要点になりそうな箇所だけ都合よく解釈してます。個別ヒーローについては今回はなしです。
恣意的です。断片的でツギハギになっている部分もあります。ご了承ください。
(動画の話の順番に訳していくわけではないので、動画を見ながら記事を読んでも時系列が合いません。すいません。)
※私の英語力はブロンズ4です。
・Spiloコーチって誰よ?
Cloud9のOverwatch部門、London Spitfireでもコーチを務めた人。トッププロ以外にもコンテンダーズチームや一般プレイヤーへのコーチングも行っている。
元々は数学や体育の教師なので、指導という点においてもプロフェッショナル。
(以下、翻訳・要約。)
○基本
孫武曰く、「最も利他的な行いとは、利己的に考えることである」。
嘘です。これは孫武の引用ではなく私の言葉ですが、OWのタンクも同じで、最もチームの役に立つこととは、自分本位に考えることです。
タンクの仕事はチームを守ることではありません。間接的にチームをサポート・補助することになるような、利己的なプレイをすることです。
味方を守ろうとする、味方のために動こうとするタンクはゴールドやプラチナで行き詰まってしまいます。
そういうタンクは「タンクとは何か」という考え方が完全に間違っているため、決して進歩することはありません。
タンクの仕事は守ることではなく、敵チームに圧力をかけて倒し、自分に注意を向け、その結果としてウェーブに勝つことです。
敵チームを積極的に脅かさなければ、自分のチームを守ることはできません。
ウィンストンのバリアは味方を守り切れるほど強くはなく、相手のタンク・DPS・サポート全員から総攻撃を食らって負けてしまう。
現実世界の戦車を考えてみましょう。それは巨大な鉄の砲塔です。盾ではありません。侵攻・攻撃し敵に損害を与えることで、味方の兵士を守ることができます。
さて、ただ無闇に攻撃するだけではダメで、3つのことを考慮しなければなりません。
1.『1対1の価値』
対象とする相手との1対1の価値について考えます。
ウィンストンならば、ふつうは対タンクではなく、弱い相手やスパムを受けてライフが減っている相手と1対1をするほうが良いです。
ラインハルトはほとんどの相手と1対1ができますが、D.vaのような機動力の高いヒーローを相手にするのは難しいです。
相手の構成や状況によって、優先順位は変わる可能性があります。タンクがモイラ・ルシオに戦いを挑むのは難しい。
タンクが弱い相手に積極的に1対1を仕掛けることにより、その相手をキルできる可能性があり、相手の視線がタンクに向き、ピールする(敵を引きはがす)ためにカバーに来ます。
有利な1対1(1対2、2対1の場合もある)により、相手に脅威を与え注目を浴びること、これがタンクの役割です。
2.相手の『脅威度』
1対1によりプレッシャーを与えるとき、考えなければならないのは相性だけでなく、相手の脅威度です。(Level of aggro.)
ジブラルタルの攻撃側、開始直後の状況で考えてみます。
例題1(復習):誰にジャンプしようか。
もちろんウィドウメイカーにジャンプします。最も有利な1対1で、最もプレッシャーを与えることができます。
ウィンストンがザリアやメイと戦っても仕方ないですね。
例題2:どっちにジャンプしようか。
ゼニヤッタのほうが倒しやすいかもしれませんが、重要なのは自分のチームへの脅威度です。
この時点では、あの位置にいるキャスディよりもゼニヤッタのほうが自分のチームにプレッシャーを与える可能性が高いため、ウィンストンはゼニヤッタへジャンプしたほうが良いでしょう。
ウィドウメイカーが遥か遠くにいるときよりも、近くにいるときのほうが味方への脅威は大きいです。したがって、そのような位置にいるウィドウメイカーにはジャンプする必要があります。
ウィンストンがジャンプするというだけでなく、他のタンクでも同様で、誰を撃つべきか・誰に圧力をかけるべきかというのは、1対1の相性だけでなく、「相手の脅威度」によっても変わります。
3.『スペースの価値』
1対1の価値、相手の脅威度に加え、スペースの価値も考えなければなりません。
単に無差別にスペースを広げるのではなく、マップのどの部分に価値があるのか、どこにプレッシャーをかける必要があるのかを選択しなければなりません。
メイやリーパーが攻撃的にプレイしていても、味方のアナやゼニヤッタが高台へ向かっているのならば、地上の正面のエリアにスペースを作る必要はありません。
単に「自分はスペースを作るんだあぁ!」といって突っ込んではいけません。価値のある1対1を見つけ、相手の脅威度を判断し、誰に/どこに圧力をかけるかを決定しなければなりません。
☆タイミング
ここまでで説明した、1対1の価値、相手の脅威度、スペースの価値をふまえて、最も大切なことはタイミングです。
正しいことをしても、間違ったタイミングで行ってしまっては意味がありません。
タンクがすることはすべて、味方のタイミングに合わせて行う必要があります。タイミングに注意を払わないと、何度も負けてしまいます。
味方がまだ準備中なのに相手に1対1を仕掛けてはいけません。死んでしまうか、撤退してライフやアビリティを浪費するだけです。
ウィンストンのバリアは非常に重要なアビリティで、浪費してしまっては役に立たなくなります。これは他にも、ジャンカークイーンのシャウトにも当てはまります。
また、味方をよく見ておかなければなりません。お尻には目がないので、戦いの前やエンゲージの前に確認に時間をかける必要があります。
『私はここにいて、右に行こう、味方はこっちにいる、味方のトレーサーが押し込んでいる、高台を取れている、味方のモイラがペイロードを押している、よし自分は右に行こう』
アナをプレイしているときは後方にいるため、タイミングが狂うことはありません。前にいる味方が見えるので、どこで戦うのか、いつ戦えば良いのかがわかります。
タンクは最前線にいるヒーローですが、だからこそ味方がどこに位置しているかを確認する必要があります。
絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に必要です。
全てはタイミングです。タイミングタイミングタイミングタイミングタイミングタイミング。
※翻訳・要約はここまで。動画の冒頭、0:00~19:45の「Tank Fundamentals」の部分です。
○実戦のリプレイ検証
サポートのときはアナのプレイングを翻訳・要約して記事にまとめたんですが、今回は割愛。
「基本」の部分で紹介したこと以外の要素が多い気がしました。アビリティ管理とか。
アナのときは「相手にプレッシャーをかけられているか」という要素に注力して見ればよかったんですが、タンクは根本のゲームメイクが必要だしマップ相性だとかポジショニングだとか色んな要素が有りすぎて、そして特にレートが高くない野良マッチだと味方も相手もグダグダでなんか微妙な感じになってる気がします。
コーチの指摘も、基本で挙げたこと以外の要素も多くなってるような。
「後記」にて、そこらへんの難しさについて少し触れてます。
元の動画はヒーローごとにチャプター分けされてるので、気になるところを見ていただいて。丸投げ。
以下は私の文章。
○アクティブ・アグレッシブに。
Spiloコーチも言うように、タンクは味方を守るのが仕事ではありません。
私も同意見です。この部分が違ったらどうしようかと思った。
このゲームはダメージロールだけでなく、タンクやサポートも敵にプレッシャーをかける必要があります。基本的には、攻撃が最大の防御となるゲームです。
以前のサポートに関する動画では、「プレッシャー=キルの脅威を与えること」が重要だという内容でした。
とは言え、なんだかんだでサポートはダメージよりもヒール量のほうが多いし、「できるだけ、なるべく相手にプレッシャーをかけられるように心がけよう」ぐらいでも試合にならないことはない思います。程度問題。
しかし、タンクは程度問題では済まないと思っています。タンクはバリアを張って味方を守るロールではありません。敵を殺しに行くロールです。
タンクが味方を守っているだけでは試合にならない場合が少なくありません。
これはタンクだけでなく、ダメージやサポートのプレイヤーも意識せねばなりません。
タンクは味方のダメージやサポートを守るのが目的のプレイをしません。相手にプレッシャーをかけることで、結果的に/間接的に味方が守られます。
助けないよ。君が一人で勝手に助かるだけ。
かなり前ですが、相手のタンクがいわゆる「イキリハルト」だった試合がありました。とにかく突っ込む。
しかし、このマッチは際どい勝負でした。お互いにペイロードを押し切り、延長戦のオーバータイムで味方のアナのナノブーストがギリギリ溜まり、最後だけ出した私のウィンストンが相手のスリープをたまたま躱したのでギリギリ勝てた試合でした。
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また、別の試合ですが私がサポートをやっていたとき、味方のタンクがとにかく敵陣にチャージすることを続けるトロールレベルのラインハルトでした。味方のアナはずっと文句言ってました。
しかし、そのラインハルトが敵陣に突っ込んで暴れ、私はモイラで一緒に突っ込んで暴れました。
その間に、後衛のアッシュやアナは自由に射撃できるし、突っ込んできたラインハルトやモイラにリソースをつぎ込んだ敵を味方のリーパーが順番に殺していくという展開となり、かなり一方的にマッチに勝利することができました。
もちろんこれらは極端な例ですが、タンクだけでなくチーム全体が積極的に戦いを仕掛けるほうが、OW2というゲームには向いています。
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他の記事でも書いていますが、もちろん死なないほうがいいですが、「死なないプレイをしていればいい」というわけではありません。
もちろん程度問題です。死にすぎているなら死なないようにすべきだし、消極的になりすぎているのなら積極的になるべきです。
んで、私の体感としては、野良のマッチだと後者のプレイヤーが多いように感じています。
したがって私としては、「もっと積極的に、攻撃的にプレイしよう」という立場で記事を書いています。
後ろで撃ってるだけじゃなくて、積極的に戦っていくほうがいい場面は多くあります。サポートでもです。
タンクも突っ込んでいって死ぬだけではダメですが、味方を守っているだけなのは論外です。相手を殺せば自分も味方も死にません。
参考:コンテンダーズの試合。
青チームのラインハルトLhcloudyは元OWLプロで、トップレベルのラインハルトプレイヤーです。今度のワールドカップのフィンランド代表でもあります。
このスクショは野良のマッチで遊んでいるシーンではなく、公式戦の重要な試合です。
ラインハルトは盾を張って弾を防ぐのが役割ではありません。突っ込んでハンマーを振って敵を殴るのが仕事です。
○タンク対面をしない→
動画のリプレイ検証では「タンクと戦うな」ということを繰り返し強調しています。
もちろんヒーロー相性と状況によりますが、「より価値のある1対1を行い、相手の脅威度に対してプレッシャーを与える」という目的を考えたとき、多くの場合ではタンクはタンク以外と戦います。
多くの場合、タンクがタンクを攻撃しても不毛です。
もちろん局所的に対処することはありますが、タンクがより価値のある1対1をし、相手に脅威を与えようとするならば、それはタンクを攻撃することではない場合がほとんどです。
さて、この「タンク対面をしない」という点と、上の項目の「攻撃性」ということを合わせると、一つの重要な事実が浮かび上がります。
すなわち、「タンクはダメージとサポートが対処する(場合が多い)」ということです。
例えばウィンストンは眼の前のザリアと戦いません。相手の後衛に飛びます。ならば、相手の後衛はウィンストンと戦わなければなりません。
そして同様に、相手のザリアはウィンストンを追いかけないので、こちらの後衛を狙うことになります。こちらの後衛は相手のザリアと戦うことになります。
マップや状況にもよりますが、このタンクは間違ったプレイというわけではありません。
ではその場合、なんとかしないといけないのはダメージやサポートのプレイヤーです。
タンクは強力な影響力のあるロールです。相手のタンクを活躍させれば味方の負けに繋がりますし、相手のタンクに仕事をさせなければ勝利に近づきます。
「タンク奴隷」とかいう表現をされることがありますが、私としてはダメージやサポートのほうがキツイと思ってます。
残念ながら基本的に襲われても味方タンクは守ってくれません。被害者面が気に食わねえっつってんだよ、お嬢ちゃん。
ダメージやサポートは頑張ってエイム練習したんでしょうけど、エイムもクソもないウィンストンやラインハルトにボコられるわけです。
相手がストイックに時間と労力と愛情をかけて築き上げたものをグチャグチャに崩壊させるんだ これはもうセックス以上の快楽だッ
なのでみんなタンクやろうね!
○まとめ
・タンクは味方を守るのが仕事じゃないぞ!攻めろ!
・有利な1対1を仕掛けるんだ!
・脅威度が高い相手にプレッシャーを与えるんだ!
・価値のあるスペースを確保するんだ!
→それらはすべてタイミングが重要だ!
・後衛はタンクに守ってもらえないぞ!
○後記
もちろん、タンクはこれだけが全てではありません。
攻めてくる相手を迎え撃つような場面では、マップや構成に合わせたポジショニングや待ち構え方など、他にも考えるべきことがあるでしょう。
アビリティの使い方なんてのも非常に重要です。動画ではそれぞれのタンクの個別の説明やリプレイの検証のところで、それに触れていることもあります。
あるいは、「理想と現実」のような内容で、もっとめんどくさい内容をいくらでも書くことができます。というか書いてました。記事にしようと思ってた内容があったので。
「タンクはタンクを撃たない」という点に関しても、現実的には・実践的にはそうでもない場面がいくらでもあるでしょう。
私自身もタンクをやっていて、ウィンストンやシグマで相手のバックラインを狙っていることは多いですが、相手のタンクを止めることに注力することも少なくないような気がします。
いや、どうだろう。わかんねえや。
動画内のリプレイを解説する部分でも、低レートの試合はもちろん、高レートの試合にもSpiloコーチが指摘・苦言を呈するシーンも少なくありません。
超高レートの韓国サーバーなら違うのかもしれませんが、やはり野良マッチは野良マッチでしょう。
連携が取れない、VCをしないというのも珍しくありません。
自分が全てのヒーローを均等に使えるわけでもないですし、味方がわけわからんピックしかしないことだってあります。
そういう現実において、「何が正しいか」「どうすればいいのか」というのは、難しい話です。
Spiloコーチはトッププロや競技シーンだけでなく、一般プレイヤーへの指導経験も抱負なので、「理想だけ語って現実が見えていない」なんてことはありません。
しかし逆に、「野良で上手くいかないことが前提となりすぎている」ような印象も少し受けます。
例えばラインハルトのリプレイだと、ウォッチポイント・ジブラルタルでラインハルトミラーが起こっています。
そういうのは、なんかもう1対1の価値がどうとか、そういう話でもないような気がするんですが。
んで、競技的な試合をしないのだったらどうしても「野良は野良」なので、レートの問題も含めて不完全なマッチが考え方の基準になってしまいます。
そしてそれを言い出したら、キリが無くなってしまうわけで。
それらの理由で、今回は個別のヒーローのリプレイの内容については触れず、冒頭の基本の部分のみを要約しました。
「タンクは味方を守るロールじゃないよ」ということだけ伝われば、とりあえず大丈夫です。
この後記に書いたような内容も延々と書いていたんですが、記事の主旨ではないし、動画の翻訳・要約の記事ということで、ここに載せるのはやめました。いつか別に記事にするかもしれません。
「野良のマッチ」というものを対象にする以上、自分自身のプレイングも、そしてコーチングやアドバイスなんてものはなかなか「適切」なものがわからないかも知れません。難しいですね。
つーかそもそもゲームを上手くなりたいんなら、動画見るとか記事読むとかじゃなくて、チームで試合とかしたらいいと思いますけどね。
2023/06/14 山下
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