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【OW2】キリコの4 STEP PLAN:アングルとデコイの重要性

 d3watchでも取り上げられていた、Awkward氏の「I exposed the SECRET to CARRY on Kiriko (BANNED?!)」という動画について。全部見てないけど。


 翻訳や要約や解説というわけではありませんが、いい感じの題材になると思ったんで、この動画を元に色々と書きます。

 この記事はキリコの使い方解説というわけではありません
 動画をもとに、アングルやデコイという役割の重要性や、キリコ以外のヒーローの戦い方について、色々と書いていきます。

 初心者向けというよりは、初心者を脱却するために必要なことの一つになるかもしれません。知らんけど。


○キリコの4-STEP PLAN

これ。

 Awkward氏はキリコの使い方として、
1.交戦開始
2.距離を詰める
3.オフアングル
4.逃げる

 という4段階で説明しています。微妙な翻訳。

 んで、動画中の試合はスマーフしてるだけなので、見るだけではあんまりピンとこないと思います。エイムいいからダメージもキルもとりまくるし。
 
 ただし、内容が的外れだというわけではもちろんなく、参考になる部分も多くあります。
 特に以下はこの動画を象徴するような、非常に興味深いシーンです。時間指定してあります。


 デモンストレーションしてみます。一発だけ撃って、どれだけ相手の気を引けるか見てみましょう。
 こっちを見ろ、見ろ…
 ほら、どれほどの価値があるでしょう!私は何もしていないのに!
 見てください!たった一発撃っただけで、私のチームがどれほどの有利を獲得したのか! 

雑な意訳。
敵に阻害が決まり、ウィンストンがダイブ。
攻撃が綺麗に決まった。
キリコは横から一発撃っただけ。

 この行為には、もちろんエイムは関係ありませんし、相手の立ち回りやアビリティを考慮に入れた正確な判断があったわけではありません。
 横から一発撃っただけです

 この4-STEP PLANの説明にはエイムやアビリティ管理なんかは含まれていませんが、それでも有用だというのはこのシーンを見るとよくわかると思います。
 他のシーンを見ても「スマーフしてるだけじゃん」「エイムいいだけじゃん」と感じるだけかもしれませんが、このシーンは象徴的です。

○なぜこれが有用なのか

 1.交戦開始は別として、「2.距離を詰める、3.オフアングル、4.逃げる」について、当たり前のことではあるんですが、一つずつ確認していきましょう。

2.距離を詰める

 距離が近いほうが相手への影響力があります
 戦術的な話もありますが、ウィドウメイカーを除けば、基本的には味方に対しても相手に対しても、距離が近いほうがいい働きができます
 キリコが中遠距離から撃ってきていても、基本的には無視されるだけです。
 近距離で相手を引き付けたからこそ、あれだけの効果を発揮できたわけです。

 このゲームには遠い距離から撃ったほうがダメージが出るヒーローというのはいません(豚の右クリ?)。
 近いほうが味方をカバーするのも簡単ですし、相手へフォーカスを合わせて攻撃するのも簡単です。
 (もちろん、高度な戦術での例外はあります。)

 あるいは、以下に書くような相手からのフォーカスの分散のような要素も、距離を詰めていないと成立しません。

3.オフアングル

 非常に重要です。同じ方向にいては攻撃も防御も弱いですね。
 相手が見ていない角度からは一方的に撃てますし、相手の攻撃が分散することは防御面でも優れています。
 
 これは、「2.距離を詰める」とセットであることがほとんどです。マップやヒーローによって例外はあるかもしれませんが、遠い距離でオフアングルでもあまり意味はありません

近距離だからこそ角度がつく。
遠くからでは角度がつかず、影響力が少ない。

4.逃げる

 これも上の二つとセットで、「近距離・オフアングルから影響力を出し、期を見て逃げる」という一連の行動に意味があります。ただ逃げているだけではダメですね。

 逆に言えば、キリコはこの「逃げる」という行為が出来るゆえに、近距離・オフアングルから影響を与えるということが成立します。
 それはダメージを出すだけでなく、デコイという重要な役割でもあります。 

○デコイの影響力

・フォーカスの分散

 このゲームは、フォーカスを合わせると非常に強力な攻撃ができます。
 つまり逆に言えば、相手のフォーカスを分散させると相手の攻撃力は弱まります。
 「距離を詰める、オフアングル、逃げる」という三点セットにより、相手のフォーカスや影響力を分散させることができます。

分散させる。

 フォーカスが合うと1+1+1が3以上の効果を生み出します。
 同じ相手を攻撃すると瞬間的に大ダメージを出せ、相手に防御・回復系アビリティを消費させることにもなります。

 射撃だけでなく、アビリティも相乗効果があります。例えばラマットラの渦の影響がある相手にソジョーンのディスラプターアナの阻害瓶は十分に効果を発揮するでしょう。
 そうなると、フォーティファイや鈴を消費せざるを得なくなります。

 しかし、フォーカスが合わないとそれらの効果を生み出すことができません。
 タンクは硬いので、一人に撃たれたぐらいでは防御・回復系アビリティを消費させられません

 また、タンク以外がデコイ役となれば、相手の消費したリソースが十分に発揮されません
 キリコやトレーサーは弾も当たりづらく、エイム力にもよりますが、タンクに射撃する場合と比べて100%のダメージ量を出すことは難しいですね。
 それらのヒーローには逃げられるので、ダメージを与えても、あるいはアビリティを当てたとしても無駄使いになってしまいます。
 キリコやトレーサーに阻害瓶を当てても無効化されてしまいますね。

 あるいはタンク以外のヒーローにアビリティを使用したならば、タンクは十分に暴れることができます。特にアナの阻害瓶やスリープダーツを消費していれば、タンクへの脅威がかなり減りますね。


件の動画のシーンでも、キリコが敵を引き付けたところで、ウィンストンが後衛にダイブ。
阻害瓶も決まり、挟み込む形ができている。
上:そのままではウィンストンは飛べない。
下:キリコが注目されることでウィンストンは飛び、キャスディが火力を出す。


・ライフ・許容リソースの増加

 もっと単純な話で言えば、デコイによって前線のライフの総量が増えます。
 タンクが全てのフォーカスを浴びれば、タンクのライフ+盾・防御アビリティぐらいの耐久力しかありません。
 ラインハルトで言えば、許容できるダメージはライフとアーマー値、盾を合わせて2,000弱ぐらいです。

 しかし、そこに例えばキリコがいれば単純にライフが200増えますし、鈴による無効化、ヒットボックスの小ささによる被弾の少なさを含めれば、さらに多くのダメージ(リソース)を許容することができます。

 例えばキャスディがラインハルトに2,000ダメージを与えるためには、単純に28.5発撃てばいいです。体も盾もでかいので弾を外すことはあまりないでしょう。
 単純に、2,000のリソース(射撃)を注ぎ込めばいいです。

 しかしそこにキリコもいれば、ライフ200分の2.85発を多く撃てばいいというだけにはなりません
 キリコに弾は当たりづらく、キリコからも撃たれてしまうので、さらに多くのリソース(射撃)を必要とします
 単純に200増えるだけでなく、必要なリソースはさらに+αされるでしょう。

 相手のリソースが分散するとラインハルトは盾を温存することもできますし、ハンマーを振る回数も増え、こちらのリソースが増えることにも繋がります、

 このように前線で戦う人数が増えれば、相手が注ぎ込むべきリソースは増えることになります。
 特にキリコは、味方の後ろにいたほうがリソース的に有利だということはほとんどありません

 距離を詰めアングルを作ることで、こちらの影響力を最大化し、相手のリソースを無駄遣いさせることができます。

○まとめ

距離を詰めるほうが、味方にも相手にも与える影響力を大きくすることができます。
オフアングルから撃つことは、攻撃・防御の両面で優れています。
「近距離、オフアングル、逃亡」というデコイ効果によって、フォーカスは分散し味方が動きやすくなり、相手の必要なリソースが増え、味方の許容できるダメージも増えます

前にタンクしかいないとタンクがすぐ死にます負けます。

これ。

 さて、キリコの4-STEP PLANについてはここまでで、ここからは一般的なことや、その他色々について。

○キリコ限定の話か?

 ふたたび、4-STEP PLANを見直してみます。
1.交戦開始
2.距離を詰める
3.オフアングル
4.逃げる

 これの重要性を説明してきました。
 さて、これはキリコに限った話でしょうか?

 「4.逃げる」という点においては、たしかにキリコの神出鬼没は有用なアビリティですが、それができるのはもちろんキリコだけではありません
 そしてもちろん、「距離を詰めてオフアングルから攻撃する」という行為については、キリコよりも優れたヒーローはたくさんいます。

 この4-STEP PLANは、キリコだから重要なわけではありません。 
 Overwatchというゲームの戦いにおいて重要なことの一つだと言っていいでしょう。

こういう戦い方。
動画でクリップしたシーン。
キリコは1発撃って立ってただけ。


○できるかどうか。

 もちろん構成や状況にもよりますが、繰り返しているとおり「距離を詰め、オフアングルから撃ち、逃げる」ということは重要です。

 やってますか?できてますか?

 プレイヤーたちの上手さなんてのは数値化できないし、どこからどこまでが初心者/上級者とか区別することはもちろんできませんが、こういう戦い方ができるかどうかというのは一つの戦術的特異点ではないかと、私は思っています。

 私がアンチポークのラッシュ・ダイブ信者だということもあるんですが、このゲームは基本的に中遠距離から撃ってるだけでは上手くいかない場合が多くあります。
 相手に与える影響力は各々の射撃が当たるかどうかだけで相乗効果が生み出されませんし、相手のフォーカスが分散しないことで攻撃も受けやすくなり、前線がすぐに崩壊します。

後衛が誰も距離を詰めない、アングルを作らない。
よくあること。

 もちろん射撃系ヒーローを使ってはいけないというわけではありません。アッシュやアナは汎用性も高く、強力なヒーローでしょう
 しかし、それらのヒーローだけではなかなか上手く行きません。動画で取り上げたシーンでは、キリコが前線で立っているだけで強力な影響がありましたが、中遠距離の射撃系ヒーローではあれはできません。

 「距離を詰めて影響力を出し、デコイとなって相手のリソースを分散させ、こちらの前線を補強する」ということが出来るヒーローが必要になってきます。

こういうヒーローたち。
競技シーンでも活躍する。


 扱うのが難しいヒーローが多く、さらに本人だけでなく味方もそれに合わせたような戦い方ができなければなりません。
 それも含めて、このような戦い方が出来るかどうかというのが、試合レベルの高低を決定づける要素の一つであるような気もします。

 ウィンストントレゲンorトレソンルシオキリコのダイブや、そういうダイブに対抗するブリギッテ運用なんていうのは、ある程度のレベルがないと成立しない戦いだと思います。
 ブリギッテやモイラは味方も相手も中遠距離の戦いしかしないのなら役に立ちません
(※モイラがどうこうについては様々な人へのディスりになるので割愛します。)

 はじめに、『初心者向けというよりは、初心者を脱却するために必要なことの一つになるかもしれません。』と書きました。
 上で説明したように、Awkward氏はやってることはスマーフですが、キリコで立っているだけで味方を勝たせることができています。

 もちろんそれが全てではありませんが、ここで説明したような「距離を詰めて影響力を出し、デコイとなって相手のリソースを分散させ、こちらの前線を補強する」というプレイができるようになれば、自分自身も、そして試合のレベルも一段階上がっていくかもしれません。


先程の実戦。トレーサーが裏に回っていたので、タイミングを合わせてジャンプ。
クイックマッチだったし、レベルの高い試合だというわけではなかったけど。
トレーサーやゲンジというのはOWにおいて非常に重要で、いるといないとで戦術は大きく変わってくると思います。



○死んでもいいよ

 「距離を詰める、デコイになる」というのは、リスクのあるプレイです。死にやすくなるかもしれません。
 特にサポートのプレイヤーはそういうプレイをし辛いと思います。

 ただ、私はサポートプレイヤーに対して、「死んでもいいよ」と思っています。
 「サポートは死んではいけない」と言われることが多くありますし、もちろん死なない方がいいに決まっています。 
 しかし、それは「死なないプレイをしていればいい」というわけではありません
 
 リスクを負って前に出ないと相手に対して影響力を与えることができません。サポートも相手にプレッシャーを与える必要があります
 「遥か後ろで撃ってて、前線が崩壊したらぴょんぴょん後ろに逃げるだけ」ではいけません。

これはクイックマッチ
味方はどこにいるかもわからないほど遠い。
こういうスクショは山ほどあります。

 ウェーブに負けたときに生き残っていることは誇らしいことではありません。
 ウェーブに勝つためにリスクを負って前で戦わなければならない場面は多く、そういうヒーローをピックする必要がある試合は非常に多くあります

 ダメージプレイヤーならばトレーサーやゲンジ、サポートプレイヤーならばキリコやモイラといったヒーローで、「距離を詰めて影響力を出し、デコイとなって相手のリソースを分散させ、こちらの前線を補強する」というプレイングをする/できるようになることが、レベルの高い試合に必要な要素の一つかもしれません。

補:練習と本番

 少し話がそれるんですが、ネット対戦ゲームは「練習と本番」がごちゃ混ぜになっているというのが、成長を阻害する要因の一つだと思います。

 競技的なプレイヤーでなければ、多くの人にとっては野良のライバル・プレイが「本番」であり、そこでリスクのあるプレイを練習するというのは、自分にとっても味方にとっても、あまり受け入れられることではないかもしれません。国民性かもしれませんが。

 ゲームでなくとも、上達していくためには様々なことをやっていかなければなりません。
 勉強でも、「間違えてはいけない」だと練習問題にも挑戦できません
 サッカーやバスケでも、「外してはいけない」だとシュート練習もできません

 ライバル・プレイという本番で勝つためには「死んではいけない」かもしれませんが、「死なないプレイ」をするだけでは上達しません。

 そういう上達という観点と、上に書いた「リスクのあるプレイをしなければならない」ということと合わせて、私は「死んでもいいよ」と、あえて言わせていただきます。
 特に敗走できるポジションにいるサポートには、「あなたが生き延びているから前線が死ぬんですよ」と。

 (なので、クイックマッチでそういうプレイングを練習してみてもいいかもしれません。
 私はクイックだろうとアンチピック出しまくって勝ちにいきますけどね。だから上手くならない。)


○実は難しくない

 距離を詰めてデコイもこなすようなヒーローは難しいと書きました。

個人だけでなくチーム全体が。

 が、実は簡単なヒーローたちがいます。

この人ら。

 ラッシュ
 ラインハルトもメイもリーパーも、精密なエイムやキャラコンは必要ありません。
 ラインハルトは他のタンクに比べるとアビリティ管理も難しくなく、メイやリーパーの無敵アビリティも簡単です。
 
 必死にエイムを合わせて射撃するより、ラインハルトで殴ったりメイやリーパーで撃つほうが簡単です。
 相手から距離を取って逃げ回らずとも、盾を出したりアビリティで無敵になれば済む話です。
 近くにいるのでフォーカスもカバーもし易い。

 ただし、近距離戦はもちろん強いですが、相手にアングルを作られて包囲されるという弱点があります。
 そのためにメイがいます。アイスウォール

アイスウォールはタンクの分断だけでなく、横からの射線を切ることも重要。

 高度な連携がなくとも、インファイトを仕掛けて正面を制圧するというのは非常に強力な戦術の一つです。
 (メイの壁はエリアや射線の管理といったタンク的な状況判断が必要なので、やや難しいかもしれませんが。)

 こういう戦術の選択肢も増えると、有利に試合を進めることができるかもしれません。


○後記:全部必要

 この記事だけでなく、そしてOWだけでなく全てのことに対してなんですが、「これだけをすればいい」なんてことは殆どありません。「全部必要」です。

 例えばキリコに必要なことはあの4-STEP PLANだけではありません。勝つためにはもちろんエイム力も必要ですし、総合的な戦局判断も必要です。

 件の動画についても、Awkward氏は上手いプレイヤーなので、「どのタイミングでエンゲージするか、どの敵に近づくか、どのアングルを作るか、どのタイミングで逃げるか」というような判断は無意識に高精度でできています
 そういう部分の解説は動画内には無いと思います。もちろんエイムも非常に良いです。

 なので、もちろんあの動画や4-STEP PLANというのは重要で参考になることではありますが、「それだけをやっていれば勝てる」「あの動画を見るだけで勝てるようになる」というものでもありません。

 この記事の内容も、これが全てではありません。リスクを負ったプレイが必要ない場面だっていくらでもありますし、ラッシュ系のインファイトが刺さらない状況も多くあります。

 しかし、「状況による」と言うだけではなにも解決しません。必要なのは「どの状況だとどうするのが良いのか」という、戦術やプレイスキルの引き出しを多く持つことです。

 OWは複雑で難しいゲームです。なので、一つでも多くのことを、そしてできるだけ具体的に学んでいく必要があると思います。「これは進研ゼミでやった問題だ!」のような。
 
 もちろん本当に初心者のうちは、包括的・全体的に「とりあえずこれをやっていこう」というようなことはあります。
 しかし、ある程度の経験を積んで、そしてライバル・プレイで勝っていきレートを上げたいというのならば、とにかく多くの状況に対応できるような能力・知識が必要になると思います。

 したがって、私は基本的に「これをやればいい」「これをやればレートが上がる」というようなことは書きません。
 この記事でも何度か使っている表現ですが、私の書いた記事が「重要な要素の一つ」であればいいと思っています。
 上手くなるかどうかは本人次第だし。


 それを踏まえた上で、まずはラッシュ・ダイブ、インファイトすればいいと思ってますけどね。
 基本で簡単で強い戦い方。トレゲンメイリーパー出してくれると非常にありがたいです。


2023/05/21 山下

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