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薬店で手に入る漢方薬についてまとめてみた⑴葛根湯

初めましての方もそうでない方もこんにちは。

やま施術院代表の山本と申します。

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漢方薬ってどうなの?

私は漢方医ではないですが経絡治療を行っている(鍼灸は使えません)のもあって東洋医学(中医学)の勉強をし続けています。

色々と勉強していくと必ず『漢方』の話が出てきます。

経絡や経穴に関しては西洋医学の解剖生理学と重なる部分も多く、実践向きなのでどんどん覚えていきますが、処方もできない薬に関してはなかなか手が出ませんでした。しかし、良いものではあると考えているので日常に取り入れていこうと思っていますし、状況によってはお勧めすることも検討しています。

とは言うものの漢方医では無いので自ら生薬(漢方薬の原材料)を調合して渡すことはできません。そこまで専門家でも無い。

なので今回は薬店で手に入る漢方薬に配合されている一つ一つの生薬の効能を調べました。調べていくと「大体こんな証(症状を引き起こす病状のこと)の人には合いそうだね」となんとなくわかってきました。

生薬の素人ながら調べてみましたので日常のちょっとした不調に取り入れてみようと思われる方は知っておいて損はないかと思います。

※漢方専門医によるものではないので不確実な点もございます。
※生薬の配合率はメーカーによって異なります。このnoteではリンクの製品のものを記載しています。またほとんどの生薬が原材料を乾燥させたものなので乾燥という言葉を省略しています。
※山本の知識と経験による基準や判断ですので雑学としてお楽しみください。

【薬局と薬店の違い】
薬局は、必ず薬剤師が常駐していて市販薬を販売するほかに調剤室をもち、医師から処方される薬を調剤することが出来ます。
薬店とは薬剤師を必要とせず、一般医薬品の販売を認められてはいますが、薬を調剤することは出来ません。薬剤師がいても薬の調剤は出来ません。
薬局と薬店の区別の仕方は、薬局には名称の最後に〇〇薬局と「薬局」という名称がついていますが、薬店は薬局という名称を使うことが出来ないので、〇△薬店とか、〇〇ドラッグといった名称になっています。

葛根湯(かっこんとう)

おそらく一般的に一番有名な漢方です。風邪の引き始めや頭痛によく使用されますね。

◯葛根湯
日局カッコン 2.68g
日局タイソウ 2.01g
日局マオウ 2.01g
日局カンゾウ 1.34g
日局ケイヒ 1.34g
日局シャクヤク 1.34g
日局ショウキョウ 1.34g
補足:日局とは日本薬局方の略で医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第41条により、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた医薬品の規格基準書です。

主な含有生薬について簡単に説明します。

◯葛根(カッコン)

マメ科クズの根
風邪・筋緊張・口渇(口の渇き)・下痢に使用

クズというと日本では葛湯(くずゆ)があります。これはクズデンプンに砂糖を加えてお湯で割ったもの。クズそのものに上記の効能が期待できるのでこれも風邪に対して飲みますね。
強い副作用もないので一般的に使われますね。

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◯大棗(タイソウ)

クロウメモドキ科ナツメの果実
「脾」を補う

「タイソウ」と聞くとわかりませんが「ナツメ」と聞くとわかりやすいですね。
ちなみにスーパーで見かける健康食「デーツ」はナツメヤシのことですので別物です。ナツメは別名チャイニーズデーツ・ジュジュべという名前ですのでお間違えなく。とはいうもののデーツも近しい植物なので補脾の効能がありそうですけどね。

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ナツメ=チャイニーズデーツ=ジュジュべ=タイソウ
ナツメヤシ=デーツ

【脾】とは五臓六腑の1つで、消化器系や女性器・血との関連があります。
湿度に弱い臓でもあり、日本人は弱りやすいです。特に貧血気味・痩せ細っている女性・生理不順や生理痛がひどい場合は要注意。そんな場合は《脾虚》傾向なので脾を補う=補脾、が必要です。

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治療では補脾に対応する経穴を押す・鍼をする・お灸するなどの施術がされます。
食養生的にナツメは手に入りやすいのでおすすめです。

◯麻黄(マオウ)

マオウ科マオウの地上茎
「陽」を補う

後述する「麻黄湯」にも含まれていますが、イメージ的にはカッコンよりも強い風邪薬的な生薬です。薬局でも風邪のひき始めは葛根湯、長続きやひどい風邪には麻黄湯、のような分け方がされてますね。

葛根湯<麻黄湯

効能も「陽」を補うとありますが、「陽」とは身体を温めたり発散させたりする気などを含みます。(積極的に活動するエネルギーの源、と考えてください)
なので陽を補うことで風邪を追い出し、治すことに繋がります。

良い生薬なのですが、【エフェドリン】というドーピング指定の成分が含まれているので場合によっては出場停止になることもありますのでスポーツの公式大会にだる方はご注意ください。
アスリートが風邪薬飲んだらドーピング検査に引っかかってしまった、というのはよくある話です。それだけ効果が強めですよ、ということですね。

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◯甘草(カンゾウ)

マメ科カンゾウの根
熱証全般に使用・毒性の緩和や他の薬物の効能向上

これもよく市販の漢方薬に含まれていますね。調べてみるとカンゾウそのものは「熱証」へ対応するものとされています。それよりも毒性の緩和という点で使用されているのがメインだと考えます。

生薬はモノによっては毒にもなり得るモノです。なのでその毒性を緩和することで人間にとって良い効能だけを引き出すのが理想。それを補うのがこのカンゾウ、というわけですね。

配合している生薬のバランスをとるのが甘草

◯桂皮(ケイヒ)

クスノキ科ケイ(トンキンニッケイ)の樹皮
「陽」を補う

これも陽を補う生薬です。
風邪は東洋医学的に風邪(ふうじゃ)がカラダに入って悪さをすることで起こります。(文字が同じでわかりづらいですね)

で、ほとんどの病気に「寒」が関連するので対抗する「陽気」を増やすのが一般的です。なので補陰よりも補陽の生薬が多いのが普通ですね。

ちなみに同じケイでもセイロンニッケイは香辛料の「シナモン」です。
シナモンも身体を温めるとされているのも同じ種類なのでわかりやすいですね。

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◯芍薬(シャクヤク)

ボタン科シャクヤクの根
血を補う・痛みを止める

これは『血虚』に対応する生薬です。
女性では生理などで血を大量に失います。(なので男性よりも貧血気味になりやすい)それ以外にも疲労やストレスで血は失われます。血が失われると筋肉にも栄養が行かなくなるので筋肉痛にもなります。

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◯生姜(ショウキョウ)

ショウガ科ショウガの根茎
発汗を促す

ご存知、生姜(しょうが)です。薬味としてよく日常でも食べますがちゃんと漢方にも含まれています。
イメージ通り発汗を促します。風邪や頭痛の場合、熱が頭や肩など身体の上部に溜まることで不調となります。(暖かい空気やお風呂のお湯は上にきますよね、あれと同じ原理です)

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普通なら熱は汗と一緒に放散されるのですが、風邪など体調不良の時は熱を押し出す力が弱くなります。なので熱が溜まってしまいます。

それをサポートするのがショウキョウ=生姜なのです。

ちなみに漢方では同じ生姜を乾燥させたものはショウキョウ、湯通しして蒸して乾燥させたものを乾姜(カンキョウ)と呼びます。カンキョウの方が冷えの症状に効果的だそうです。

まとめ

葛根湯一つでもこれだけの生薬が入っています。
どれも強い副作用のないものがメインなので薬局でも購入が可能なんですね。

ちょっと風邪っぽいかな?という時は葛根湯とお風呂などでとにかく身体を温める(&頭を冷やす)のも予防として効果的かと思います。

早めに対処するのが大切です。

長くなってしまうので次回に続きます。


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やま施術院 山本将也

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