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旅は人を成長させる。例え半日でも。

果たして僕にとってトレイルランニングは仕事と言えるのだろうか?スポンサーがついているわけでもないのでいわゆるプロランナーではない。当然ながら。

しかし、これまでトレイルランニングを介したイベントで微々たるものですが収益を上げたので仕事なんだと思います。個人的な感覚ですがその行動で収益を1円でも得たらそれは仕事だという考えです。

※アウトドア関連の仕事は高尾オーダーメイドツアーbyやま施術院として請け負っています。

なので僕にとってトレイルランニングは趣味でもあり、仕事でもあり、日々の健康運動でもある。なのでなんだかんだ10年弱ほど楽しんでいます。学生時代に続けていたサッカーよりも長く続けています。山を走ると日常生活が豊かになるんですよ。結構オススメです。

TTT

先日、当院のクライアントでもありトレイルラン仲間と少し長めの距離を走ってきました。「丹沢から高尾」(Tanzawa to Takao)頭文字をとってTTT、と関東のトレイルランニング界隈ではそう呼ばれていたりします。

今回は神奈川県秦野市から北上(North Bound)するルート

今回のブログの趣旨ではありませんが一応ルート説明しておきます。トレイルランニングに興味のない方は飛ばしていただいても構いません。TTTをやってみたい方はご参考まで。

ルート

大倉駐車場(神奈川県秦野市)→大倉尾根(通称:馬鹿尾根)→塔ノ岳→丹沢山→蛭ヶ岳→姫次→焼山→石砂山→石老山→嵐山→小仏城山→高尾山
距離:50kmほど
累積標高:4,000mほど。

既にこのルートのデータやログは他の方がたくさんネット上に投稿されています。

山の名前だけ羅列しましたが全て繋がっているわけではありません。何度か舗装路に下山します。ざっと3つのパートに分かれます。

パート1「丹沢エリア」
大倉→焼山。馬鹿尾根をひたすら登る山岳感溢れるエリア。
パート2「相模湖南エリア」
石砂山→嵐山。低山ながらも小刻みなアップダウン&急登エリア。
パート3:「高尾エリア」
小仏城山→高尾山。勝手知ったるホームマウンテン。登山者もいるのでほぼ歩きエリア。

それぞれのパートごとに下山し、コンビニや自販機などで飲食物を補充。そして次のパートに登る。それの繰り返し。パート1は主脈上を進むので一度登れば次パートまでは割と平坦気味。パート2がなかなかハード。低山ですが登りがなかなかキツイ。一番大変だった区間だと思います。パート3は最後に小仏城山へ登り返す部分だけが大変で高尾山方面は日中、登山者や観光客がいるのでほぼ歩きになります。

時間は途中休憩も含め12時間ほどで高尾山頂に到着しました。走力の参考程度に山本はハーフマラソンを1時間40分弱で走るくらいです。トレイルランニングを日常的にされている方なら長くても16時間くらいで踏破できるのではないでしょうか?

半日旅の効用

たった半日山の中で過ごしたわけですがこれがとても良い。アウトドアスポーツとして楽しいのはもちろんですが心身の健康という観点からもオススメしたいものです。あ、もちろん体力や経験に応じて調整は必要です。

①身体的限界と無意識

日常生活の中で身体的限界を迎えることはあまりないと思います。腕が上がらなくなるほど荷物を持ち上げ続けることや一歩も足が出なくなるまで歩き続けるなんて早々ないですよね。

この身体的限界にある程度近づくことが大事。
日々なんてことのない悩みを抱えることや集中力が続かずついついSNSのタイムラインをダラダラ見てしまう、退屈、マンネリなど時間の浪費とも言える行動をついついしてしまいがち。

無駄な時間を省くために日常的に意識することも大切ですが、日々のあれこれに忙殺されているとそうもいかない。人間の行動の大半は無意識と習慣で作られているようなものなので意識することよりもむしろ「無意識」の行動をどうコントロールするかの方が大切だったりします。

そこでトレイルランニング。身体的限界に近づくとその時日々の雑念から離れることができます。息がゼーハー、脚もガクブルで単純に辛い時に「明日の会議の資料まとめなきゃ」なんて事は考えられません。だって今は身体のキツさへ意識が強制的に向けられているので。

脳科学の視点から簡単に説明すると現代人の思考や行動、計画などは大脳皮質(主に前頭葉)を主に使います。脳の中でも頭蓋骨に近い方(浅い方)の脳です。

対して、呼吸や情動など動物として生き延びるために使われる脳はもっと深い部分、大脳辺縁系(イラストの視床下部や海馬があるあたり)などが関与します。

・浅い脳→現代人らしさ、社会性
・深い脳→動物としての根本、本能

こんな感じ。

現代社会では浅い脳の部分を過剰酷使されますし、それを求められています。そのため、動物としての人間本来の機能が低下している。故に呼吸が浅かったり、情動が不安定でキレやすいなど社会的問題として表出しています。

これは生き物としてかなり脆弱なのでバランスを取る必要がある。そのために強制力を働かせることで浅い脳から深い脳を使わせるように切り替えることが大事。

そのアプローチとしてのちょっとキツめのトレイルランニング。
現代人的な脳をオフにして動物的な脳をオンにする。そうすることで走っている最中は現代社会での雑念(Noise)が吹き飛んでます。これがアウトドアアクティビティが流行っている理由。みんな雑念に押しつぶされているんですね。

で、走り終えたら動物→現代人に戻る切り替えがあります。このメリハリが大事。
確かに同じことを繰り返すことも大切です。しかし、適度にメリハリが無いと最初に書いたような集中力が失われたり、日常のマンネリ化を引き起こします。

ちょっとしたスパイスは人生に必要ってことです。(ほんのちょっとね)

あ、ちなみに運動すると脳、特に記憶や認知機能上がるのは認められているんで子どもに勉強だけ詰め込むよりも適度に身体を動かす時間を設けると文武両道に近づきますよ。

②自己肯定とログ

半日も行動しているとなかなか遠い距離を移動することができるんですよ。

移動した距離や時間などGPS時計やスポーツ系アプリで確認することができます。(TTTの説明に載せた画像がまさにそれ。STRAVAというスポーツ系SNSアプリです。)
旅の軌跡を視認できると「あ、私はこんな距離を辿ってきたんだ。やればできるんだ。」と自己肯定できるようになります。

デジタルガジェットを使ってアナログな行動を見えるようにする。

このバランスがなかなか楽しい。
それで他者と距離や時間を競い合うこともできますがそんなことよりも自分が満足することが大事。ただでさえ競争社会なんですから。(アドレナリンジャンキーが多すぎるんですよ)

③自然の美しさと危険性、そして旅

トレイルランニングを楽しむフィールドは山、森、自然の中。
故に危険もあります。例え歩き慣れていたり、人の往来が多い人気のある登山道でも一歩足を踏み外せば人は簡単に死にます。(高尾山でも年に数回死亡事故が起きています)

この危険(リスク)を抱えていることで①で書いた動物的な脳が刺激されるんですね。だって動物は「死なないこと」が最重要目的ですから。(同位で子孫を残すこと)

リスクに対するリターンとして自然の美しさを見る、聴く、感じる事ができます。山に登るという行動がなければ山頂からの景色は見れない、当然のことですね。(ヘリコプターで〜とかそういう御託は無視します)

このリスク-リターンが山旅の効用でもあります。別に山でなくてもバックパッキングなど知らない土地に行くことも近しいですね。

時間と共に変化する景色を見ることや行ったことのない場所に足を踏み入れること、街でのルールや常識が一切通用しない環境などに身を置くことで人生の豊かさや人間らしさ、隣人への優しさなどが培われていくものと思います。

霧がかかっていても「旅」感は薄れない

運動的な要素があって身体の健康に良いし、俗世間から離れて旅もできて精神衛生上すこぶる良い。で、ちゃんと夜はお家で就寝。

丸2日走り続けるようなトレイルランニングレースにも出たりしてましたが今の僕にとってはこれくらいが心地良い。

家族との時間と関係性を激しく傷つけてまで山を走りたいとは思いませんので。何事もバランスですね。毎度同じことですが。

ご自身の生活とのバランスを鑑みて楽しく山旅を楽しんでみてください。

それにしても良い時間だった…

奥にうっすら朝日に照らされた富士山が見えた

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