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40代半ばの新参報告。組織学会2023年度研究発表大会。

安西さん

久しぶりに、こちらに書いてみようと思います。

この年齢になってくると、所属年数が長い学会ともなると、統一論題だったり、あるいはコメンテーターだったり、役職だったり、いわゆる自分の研究そのものを稀釈なく報告するという機会は減ります。学務も忙しくなりますし。そういうなかでも、ときどきは自由論題報告に申し込んで、自分のダメさ加減も含めて、身を晒さないとなとは思っています。

以前に、こんな感じで私自身の「越し方」(←時代がかっててすみません笑)を書きました。

3年近く前に書いたもので、今読み起こすと、ここからまた景色は変わったなって感じます。コロナ以来、いちばん読書会・勉強会でお話させてもらってるのは安西さんなので、もしかしたら安西さんがそこらあたりはいちばん感じてらっしゃるかもしれません(笑)

さて、さる6月24日に組織学会という経営学系では日本のなかで最大級(日本経営学会とともに)の学会の研究発表大会で報告してきました。

※ [ご利用くださるみなさまへ]こちらのファイル、著作権は山縣が保有しております。学術的な利用(引用等はご明記ください)や個人的な閲覧については自由ですが、改変や盗用、営利利用などはご遠慮ください。

この領域、世界的にもそう研究は多くないですし、日本では京都大学の山内裕先生がKyoto Creative Assemblageとして展開してらっしゃるくらい、あと『組織論レビューIV』で埼玉大学の加藤敬太先生が組織美学のレビューをしておられるくらいです。

しかも、もともと私自身の「好物」な領域、まだ十分に耕されていないとなると、これは行かねばならぬと2021年あたりに強く思ったわけです。

ただ、今ふと振り返ってみると、経営哲学学会という学会で統一論題のコメンテーターの役をいただいたときに、こんなこともしゃべっていたので、問題意識としては2018年前後にはすでにカタチになりはじめていたようです。このときは、この領域の研究が進展していることを全く知らない状態だったので、今から見返すとちょっと恥ずかしいところです。

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とはいえ、問題意識としてはつながっていて、アントレプレナーシップ(企業者的姿勢)における感性的側面をどう捉えるのかという点への関心は、この5年くらい続いています。

今回の学会報告でも、もちろん採り上げきれていない先行研究もあるかと思いますが、さしあたってはっきりAesthetics/Poeticsを言葉として用いているアントレプレナーシップ論系の研究は目通しはできたかなと。ただ、見落としはまだまだあるでしょうし、考察はもっとしっかり深めたいですし、論文化もしたいなと思っています。当日ご質問くださったある先生から、「学会のような学者の世界でこの話が通じたとして、アントレプレナーシップを発揮している方々にどう伝えるかというのも意識するとよいのでは」という趣旨のご指摘をいただきました。これはひじょうにありがたいご指摘(励まし)でした。Aesthetics/Poeticsという領域に閉じずに、Entrepreneurshipの議論のなかに位置づけつつ、できるだけ平明に書けるように頑張ってみたいと思います。

そのほかにも、ロマン主義への関心もけっこう高くて驚いたりなど、すごく濃厚な質疑になったのも嬉しいことでした。

この領域、山内裕先生がランシエールを参照しつつ指摘しておられますが、まさにAesthetic Approachは今までの考え方や実践の枠組を“宙づり”にするところに重要性があるというのはまったく同感同意です。

遊びという概念も、そこにつながってくるのは間違いありません(ホイジンガの議論が参照されつつも批判されるのは、これまでのルールの枠内でという色彩が滲んでいるところに理由があるようです。ただ、これはもう少し考えてみたいところです)。

まとまりなく書きましたが、とりあえず学会報告が終わってホッとして、久しぶりにここに書いてみようと思い立ちました(笑)

このアントレプレナーシップへの美学的/詩学的アプローチはやはり興味深いですし、これから切り拓いていくだけの意義や価値はありそうです。同時に、ビジネス/価値の流れ/価値循環というところとどう結びつけていくかもつねに意識しておきたいところです。そうしないと、アントレプレナーの美意識発露だけを採り上げることになってしまいかねないからです。そこをつなぐ概念の一つが“デザイン(サービスデザイン)”なのかなと想定したりもしています。

文化の読書会、アリストテレス&ソフィストの本を読み終わったら、「遊び」関連の本も読んでみたいですね。遊ぶのが下手な私が言うのもアレですが(笑)←下手だから読むというのが正確かもしれません

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