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店長と私

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某コンビニでの毎日
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記事一覧

店長と私 #07 眠り姫

その日、私とシフトに入っていたのはtheお母さんキャラのおばさんだった。私が1を聞いたら100で答えてくる。その割に肝心なことがよくわからない。とにかく常にどこか的を得ていない。典型的な「優しい近所のおばちゃん」である。高校の国語の先生に声が似ている。この人がまた、小さなことにうるさい。例えば事務所に椅子が三つあるのだが、そのうちの二つはオーナーや偉い人が座る椅子だから座ってはダメだとか、なんかそ

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店長と私 #06 ガタ

あーさんの告白(バッドニュース)は意外なものだった

あーさんの言い方は、あまりにも冷静で、他人事のようだった。私は「誰が?」と思ったが黙っていた。「ハッ そっか」オーナーは小さく笑った。まるで嘲笑のような笑い方だった。

あーさんが事務室を出ると、オーナーは私に向き直って言った。
「年取るとな、誰でもガタくるわな」

(ガタ、、、かぁ)
私はあまり詮索しないように努めようと思ったが、何も言わない

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店長と私 #05 バッドニュース

「そいつ」のおかげといってもいいかもしれない。
厄介なタバコの場所や銘柄は、補充を口実に直ぐ覚えた。自分で言うのもなんだが、私は窮地に立たされると頑張れるタイプの努力型だ。しかし普段は基本窮地に立ちたくないので努力はあまりしていない。

私は「そいつ」のことを腹いせに自分の頭の中で創作したりなどしていた。

こんな最低な想像をしていたら、オーナーが通りすがりに私に行った。

「レジ、忘れたか?」

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店長と私 #04 クールマイルド8ミリ

前回の記事で察していただけたかと思うが、この店舗、新人に優しくない。
「レジ袋、有料。25までは3円だけど、この一番大きいやつは5円。」
あーさんの指導のもと、なんとなく形にはなってきた。宅配便とかはすっかりやり方も忘れていて、しかも大忙しなこの店舗ではゆっくり説明してもらう機会にもなかなか恵まれない。つまり私は全ての業務を見様見真似で覚えなければならない。あーさんの後ろをヒヨコのようについて歩き

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店長と私 #03 勤務開始

その日私は、無心で品物を並べていた。ドラッグストアで養った知識、以前働いていたコンビニで養った知識、総動員して入荷した品物を並べ、フェイスアップ(品物を陳列棚の手前に引き出し、お客様が取り出しやすく、見やすくするようにする業務)に勤めていた。
本当はレジを打っているあーさんの横に立って作業を眺めたい。10分でいい。そしたら全部思い出す。しかしこの混み合った店内で、1人がぼさっとレジの横に立っていた

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店長と私 #02 出会い

目次の付け方や、読者にどう見えているのかがよくわかってない。もっと見やすくなる方法があるかもしれないが、ひとまずはこんな感じで我慢してほしい。なにか改善策があったら教えてください。

さて、私のコンビニライフ、ドキドキの初出勤だ。私が事務所に入ると、「負」のオーラが漂いまくっているおばちゃんが現れた。どうやらこの人が、うちの父親が言っていた「あの暗い人、20年くらい働いてるよ。あの人になんでも聞い

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店長と私 #01 はじまり

忌まわしきコロナに邪魔されながら1年間インドネシアでの生活に耐え、7月帰国した。
帰国してまず困ったことは仕事探しである。なんといっても金がない。
「ド」田舎である家の近くに唯一あったドラッグストアは、2、3年前に辞め済みだ。
まだギリギリ歩いて行ける距離にある某コンビニに掛け合ってみたが、「働きたいの?うーん。。。とりあえず連絡先だけ教えて」と言われたが半年経っても連絡がない。
そこで私は自転車

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