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埼玉西武ライオンズ 松井監督休養!結局どうすればよかったの?

はじめに

埼玉西武ライオンズ松井稼頭央監督の休養について、世間ではさまざまな反応や意見が飛び交っている。このエントリでは、私自身の見解を述べるとともに、今後のプロ野球監督に求められる要件について、ちょっとだけビジネスっぽい視点から考察したい。

松井監督の責任について

今回の松井監督休養に際しての球団に対する批判として、「この戦力では誰がやっても同じ」「そもそもフロントの責任だ」「松井稼頭央は悪くない」「かわいそう」とする意見が多い。
一般のファンだけではなく、プロ野球関係者でもそういう意見を見かける。

しかし、これはあまりにも単純化しすぎていると思う。
確かに現在のライオンズの戦力では優勝は難しいかもしれないが、「誰がやっても同じ」というのは言い過ぎだ。
休養時点のライオンズの勝率は3割3分3厘。
先発ピッチャー陣は強力であるにもかかわらずここまで負け続けるのは説明がつかない。実際1点差で負けた試合が多く、采配次第では勝利していた試合も数多くあった。松井監督の采配には細かいところで疑問点があり、何かしらの意図があるのかもしれないが、だとしてもその考えがファンに伝わらないことが致命的である。

参考記事:古賀に代打若林のエピソードをご覧いただきたい

また、松井監督は急に任命されたわけではなく、現役引退後も二軍監督や一軍ヘッドコーチを経験し、十分な準備期間があった。将来の核を担う若手選手を自ら育成するチャンスもあったのだ。
勿論FAによる流出に加え、24年に限って外国人選手も不調であったことから、監督の責任が緩和される部分もある。しかし、基本的には松井監督自身が言っていたように、それなりの責任が監督にあると思われる。

山川選手の影響について

Twitterなどで見かける「山川が全部悪い」という意見も単純すぎる。確かに山川選手の不祥事とその後の態度には腹立たしさを覚えるが、山川選手のFAは事実上前から決まっていた。

参考:「アグーソフトバンク行くらしいよ」

むしろ不祥事により、松井監督自身がもう1年は西武で罪滅ぼししてから移籍せよと迫ることで、残留の確率は上がっていたんじゃないかとも思える。
松井監督本人はかねてからFAは選手の権利と口にしており、選手の優しい味方なので、そこまで迫ることはしなかったのだと推察されるが…
例えばこれが星野さんだったらどうだったろう?

松井監督の資質と問題点

松井監督は気さくな性格で選手の悪口を言わない点は評価できるが、それがチームのゆるい雰囲気に繋がっていた。
また、記者会見での言語化能力の欠如が致命的である。質問に真正面から答えず、曖昧な表現が多く、結局「あのー」「もちろん」「明日から切り替えて」「そこも含めて最後はこっちの責任」としか言っていなかった。

監督選定プロセスの見直しが必要

松井監督が楽天戦力外からの、指導者含みでのライオンズ復帰を果たした理由は、ライオンズのレジェンドプレイヤーであることが大きい。
しかし、レジェンド=勝利に結びつく要件だとは言えない。現に黄金時代の森祇晶監督はライオンズの生え抜きではなかった。
また、現役引退後すぐに指導者になるのも一部の例外を除いて成功しない。育成指導者としての実績を正しく評価し、何を持って一軍監督に適任と判断するかを見直す必要がある。

プロ野球監督に求められる要件

監督の仕事は投手の起用や代打策だけではない。

・選手にどのように勝つかを示す(業務の説明能力)
・球団の現状をフロントに共有し必要な打ち手を要求する(中間管理職としての交渉力)
・ファンに対しても自分の野球を分かりやすく語り、熱い応援を得る(マーケター能力)

といった部分も重要だ。
そして語るだけじゃなく、それを実行に移してもらうためのリーダーシップ。
投手起用や代打策は今後AIにやらせたっていいし、それがまずければコーチにやらせてもいい。
ただ、コミュニケーション能力とリーダーシップは監督自身の能力としてMUSTだろう。

こうして考えてみると、やはり優秀なプレイヤーが必ずしも良い監督になるとは限らないのが分かる。

余談:FA流出問題

西武はFA流出が止まらないことがもはや伝統的な問題であるが、球場の立地問題もあるのでもはやこれはある程度仕方ない。
その前提で、公式に若手選手にポスティングを認め、その条件を透明性の高いものにしてはどうか。

・個人として結果を残して、かつ日本一になること(最低リーグ優勝)
(こうしないとチームプレイを無視して個人成績に走るので)
・後進の若手の成長にコミットすること
(同じポジションでもいいし、ピッチャーがキャッチャーを育てるパターンもあり)

こうすればチームのために高いモチベーションでプレーさせることができるし、良い成績でポスティングした資金を優秀な外国人選手や、残ってくれそうな西武愛の強い選手の年俸に使うことで、チームの持続的な強化を図れる。
IT業界でもたまにそういうスタンスの会社を見かけることがある。
(ある程度自信がついたらフリーになっていいけど、育てた分は返してね~的な)
NPBにもそういうチームが一つくらいあってもいいんじゃないかと。
セットでやりたいのが、西武からMLBに行った選手のカムバック推進だ。
最近ではアルムナイ(OB/OG)の再入社推進というのも見かけるが、それと似た感じだ。
渡米前に「将来戻っておいで。その時にこういう観点で成長していたら監督も任せたい」というMUST要件も伝えておく。最近の選手はクレバーなので、きっと意識高く学んでくれるのではなかろうか。

まとめ

松井監督の休養を契機に、ライオンズは今後どのような監督を求めるべきかを考え直す必要がある。監督選定プロセスやチーム戦略を見直し、優秀なコミュニケーターでありリーダーシップを持つ監督を育成することが求められる。西武ライオンズ、そして西武ホールディングスの偉い方々、本当に頼みます!

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