「グレートコメット」終演のご報告
先日1月27日、「ナターシャ・ピエール・アンド・ザ・グレート・コメット・オブ・1812」全公演、無事に終演いたしました。
応援、ご支援、ご来場いただきました皆様、本当にありがとうございました!!!!!!!
なによりもまず、出演者&スタッフ含め、カンパニーにひとりの病人ケガ人が出ずに千穐楽を迎えられたことが、有り難く、奇跡のような幸運だなと思います。
だって、なんとも、タフな舞台だったから。
八百屋(舞台奥が若干高く、舞台前に向かって傾斜のある形の舞台面)、細い通路、舞台上にぽっかり空いた穴(別名コメットシート)、走り回るM18とM19、客席降り、などなど。
足腰に疲労を蓄積させる要素が有り余る舞台構成でした。笑
途中、ダンスというよりはむしろ、「ほぼ運動会」みたいなシーンもありましたし。
穴の空いた舞台機構も、かなり特殊なケースだし。
また同時に、世間は絶賛インフルエンザと風邪の流行シーズン。
そんななかで、誰ひとり欠けることなく、全31公演を走り抜けられたこと。本当にすごいことだと思います。当たり前だけど、有難いことだと思う。
それは、ひとりひとりのプロ意識によって導かれた体調管理やメンテナンスの賜物であると思いますし、同時に、演劇の神様からの思し召しでもあるのかな、とも思います。
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開幕前から「斬新!」の言葉が飛び交う状態で、もしかしたらこの作品に対して不安を抱えながら劇場へ足を運んでくださったお客様もたくさんいたかもしれません。
いかがでしたでしょうか。楽しんでいただけましたでしょうか。
ご覧いただいた方にとって、なにかひとつでも心に残るフレーズ、シーン、言葉、メロディがあったのなら嬉しいなと思います。
今回の作品づくりは日本版カンパニーの僕たちにとっても挑戦の連続でした。
さまざまなバックボーンを持った音楽によって彩られたスコア。1人称と3人称を行き来する形式の台本。「イマーシブ・シアター」の着地点。
ひとつひとつ謎を解きながら、未知の世界をみんなで探検するような、そんな稽古期間だったように思います。
それぞれが持っている力や技術、感性を総動員して、なんとか乗り越えられた冒険だったように思います。
そしてそれはおそらく、少なくない数のお客様にとっても同じ、だったのではないかな。そんな想像をしています。日本ではなかなか上演されないタイプの演劇手法、作曲手法が盛りだくさんの作品でしたから。
でも逆に言えば、「日本ではなかなか上演されないタイプの作品」が、ショービジネスの本場ブロードウェイでは、熱狂とともに受け入れられ、トニー賞という栄光も与えられる状態にある、ということ。
日本の演劇作品および演劇人たちの技術の高さは、世界に誇るべきものがあると思います。
しかしその一方で、「分かりづらい作品」や、「聞きづらい音楽」は敬遠されがちだという傾向もあるわけで。
そんな、「レベルは高く、多様性に弱点のある」日本の商業ミュージカルのフィールドにおいて、「あの作品が、多様性広げたよね!」と言われるような存在になれたら嬉しいなと、僕は個人的に思っています。
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僕自身、この作品では多くのことを学びました。
いや、毎作品毎作品「多くのことを学びました」って言ってる気もするんですけど。笑
でも、中身のない常套句としてではなく、本当に心の底から、「グレコメで多くのことを学んだなー」と思います。
それらは間違いなく、これから先の僕の舞台人生にしっかりと影響を与え続けてくれると確信しています。舞台上であっても、舞台の外であっても。
そして改めて、「演劇とは、ありとあらゆるバックボーンを持った人たちが寄り集まって力を合わせるからこそ成立する、総合芸術なんだな」ということも学びました。誰もが、自分のやり方で、ベストを尽くそうとしている。
僕もこの演劇界のなかにおいて恥ずかしくないように、常にベストを尽くし、かつ、いつも自分のなかのベストを更新し続けられる俳優でありたいなと強く思いました。
そう改めて思えたのも、「グレコメ」カンパニーの皆さんとの出会いがあったからこそです。
願わくば、また皆さんとお会いできますように。カンパニーの皆さんとも、客席の皆さんとも。そして、1812年のモスクワにて一所懸命に生きていたあの皆さんとも。
彗星だから、公転周期があれば、またいつか僕たちの目に見えるところへ戻ってきてくれるでしょう。まあ、なかには非周期彗星もありますが・・・。
戻ってきてくれることを信じて、その日をワクワクして待つこととします。
ご来場いただきました皆様、応援してくださいました皆様、この作品を愛してくださった皆様。本当にありがとうございました!!!!
読んでくださってありがとうございました!サポートいただいたお金は、表現者として僕がパワーアップするためのいろいろに使わせていただきます。パフォーマンスで恩返しができますように。