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「ものがたりの家」

小学四年生になる長男は、僕と一緒で本屋が好きです。たくさんの本に囲まれていると気持ちが落ち着くのだそうで、これも僕と一緒です。なのでできるだけ大きな本屋に行きます。大きな本屋はいろんな種類の本が置いてあるので本当に楽しいです。

我が家の住人は集団行動が苦手なので、本屋に入るなり「じゃあまた後で」とそれぞれ勝手に行動を始めるわけですが、しばらくすると長男が「ねぇ、家に帰ったら貯めていたお金を渡すから、これ買ってくれない?」と一冊の本を持って僕のところへやってきました。

僕は「お金を渡すだなんて珍しいな」って思いました。なぜなら、僕はいつも自分の本を買うとき、子供に「何か欲しい本があるならついでに買うよ」と言って買い与えているからです。本の虫だった僕の父親はいつもそうしてくれて、おかげで僕は本からいろんなことを学ぶことができたので、子供にも同じことをしているんです。でも長男は「買って」とは言わず、自分のお金で買うことを選びました。よほど彼にとって重要な本なんだなと思いました。

手に取ると、それは『ものがたりの家』という画集でした。

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イラストレーターである著者が色々な世界を設定して、そこに出てくる家を描いたそうで、パラパラめくるとユニークな建物が次々と出てきます。

たとえば次の絵は、寂しがりやの幽霊が住んでいるお屋敷です。『風のフリをして玄関のドアを閉める』とか、小さい字で色々な設定が書き込まれていて、これを読むだけでも楽しいし、これを知った上で建物の外観や間取りを見ていると、次々と妄想が膨らんできます。
なるほど! これは俺でも欲しくなる!

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僕が気に入ったのは、竜使いの郵便局ですね。なんでもその世界には竜を使った郵便事業があるそうで、馬車に比べると運べる大きさや重さは制限されるものの、早く届くので重宝されているのだそうです。また気まぐれな竜を手懐けるには高度な技術を要しますし、また竜に乗って空を飛ぶ姿は子供たちにとって憧れの的なので、竜使いは人気の職業でもあるそうです。って、これだけでも妄想が捗りますね。この世界に生まれていたら、僕は竜使いを目指しますよ。

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