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カブトムシがやってきた(2024.07.11)

夜7時頃、皆でやっとこさ夕飯を食べていると「ピンポーン」と鳴り、幸子(ポメラニアン♀)がけたたましく吠える。

「あれ?こんな時間に誰だろう?」と思ったら、妻の両親だった。妻の両親は先日「カブトムシを今度持っていく」という事を長男に言っていたから、その約束を果たすべく、雨の中車を1時間も走らせてカブトムシを持ってきてくれたのだ。

妻の両親がカブトムシをあげる話を長男にした時、私と妻は「もうもらうのやめとき!」と言った。なぜならきちんと世話ができずカブトムシやクワガタが可哀そうな最期を遂げてしまうのを幾度も見てきたから。

ついこの間も長らく暗い汚れたケースの中で飼われていた外国産のクワガタが天に召された。たった一匹で暗いケースの中で暮らしているクワガタを見て私は不憫だったが、あえて私は長男を手伝わなかった。「どうしても飼いたいなら自分で世話をするんよ」という長男との約束を自ら反故にする事はできなかったし、正直クワガタの世話をする余裕がなかった。

そうしてついに日の目を見ることがないまま外国産の大きなクワガタは死んでしまった。クワガタは長男の手によって庭に埋められたが、掘った穴が浅いので、そのうち強い雨に打たれて表に出てくるだろう。

「ただ生きていれば良いという事はない」と私は思っていて、暗く不潔なケースの中でたった一匹で生きているクワガタを私はとても可哀そうだと思っていた。できる事なら逃がしてやりたかったが、長男が納得するはずもないし、そもそも外国産のやつなので野に放つ事はあまり褒められた事ではない。

クワガタが「暗いなぁ」とか「じめじめして気持ち悪いなぁ」とか考えるのかは分からない。案外エサさえ食べられれば良いのかもしれない。しかし妻や私は野生のクワガタや、他所で大事に飼われているクワガタが生き生きとして暮らしている姿を想像して、我が家のクワガタが可哀そうに思えてしょうがなかったのだ。

だから長男にはもうクワガタやカブトムシは買ってあげない事にしていた。妻の両親があげようとするのも断ろうと思っていた。その事については長男もしぶしぶ納得していた。

しかし妻の両親は直接長男に「カブトムシあげようか?」と言い、長男はそれを断らなかった。妻も何も言えなかった。

果たして雨の日にカブトムシ8匹は大仰なケースに入れられてやってきた。子供たちは皆大興奮だった。おかげで夕飯は中断し、一日のリズムは崩壊した。

長男に8匹のカブトムシの世話が出来るとは到底思えないので、妻は長男に「2週間したらカブトムシは逃がすんよ」とけっこう酷ないいつけをした。長男もさすがに8匹は困難であると思ったみたいで、それを承諾したみたいだ。

8匹のカブトムシの運命やいかに。


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