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刺さる!(2023.12.17)

昨夜は楽しかった。

とり天を揚げつつ、食べつつ、私は金麦の赤いやつをガンガン飲んだ。

納車もあったり、保険関係の困りごとが午前中に良い方向に進んだので、妻も比較的機嫌が良かったのだ。

そんな中、長男と私は風呂前に妻に髪をカットしてもらったが、もうそのへんから記憶が曖昧だ。ちなみにカットの出来は微妙で、なんとなく左右のバランスが悪くアシンメトリーになっているような気がする。

妻が風呂に入っている間にも私はyoutubeでミッシェルガンエレファントが出演した98年フジロックのライブ映像などを見ながら最高の気分だった。いいちこなんかをジョッキに注いでさらに飲んでいた。しかしそのへんから私の記憶は帳が落ちるように徐々に濃い闇に浸食されていて、細かい部分を思い出す事が出来ない。

そして昨夜、忘れもしない午前1時35分。妻が私が眠っている部屋をガラガラッと開けて、「次男のおしっこもれてるんですけど!」と抗議をしてきた。どうも、私が夜中にオムツを替えると言ってたのに、替えなかったのが原因らしい。

シーツや布団がおしっこで濡れてしまったらしく、妻はその処理をするよう私に言うのだが、私は飲み過ぎて体が動かない。動かしたくない。私は再び妻がやってきて、激しく抗議するのを適当に受け流して布団にひっくるまってやり過ごした。ベッドのすぐ下には妻が抗議の一部として置いて行った次男の濡れたパジャマと丸めたオムツがあったが、私はそれを朝まで放置して、寝た。



翌日、私たちは新しい車で練習を兼ねて遠く大分の酒屋までお歳暮用のお酒を買いに行ったのだが、助手席の妻の言葉が辛辣すぎて苦痛だった。

妻は私のちょっとした判断の迷いや遅れを見逃さず、重箱の隅を針でつついたのち、空いた小さな穴をインパクトドリルで広げ、さらに重箱自体を木っ端みじんに破砕してしまうかのように、その言葉は辛辣を極めた。私の人格や、果ては私のこれまで生きてきた道程までも否定するかのようだった。

そしてその合間で「ケンタッキー食べたい」だの「うどん食べたい」だの言う。結局それについては誰一人として賛同しないので、ますます不機嫌さを増して妻はその矛先を私にのみ向けて、その矛で私の急所を執拗に攻撃してくる。

私はなるべくその言葉を真に受けないようにしながら、ハンドルを10時10分に保ち慎重に運転した。仮免練習中みたいだった。そして教官は鬼そのものだった。

私はだいぶ経って、昨夜のあの出来事が尾を引いているのだと思い至った。妻は私に昨夜の復讐をしているのだと思った。

私は耳を塞ぎ、心を閉ざして嵐が過ぎ去るのを待った。いずれ嵐は止んで、厚い雲の隙間から晴れ間が覗くだろうと考えた。

結局家へ帰って妻が風呂から上がるまで、嵐は吹きすさび、私と言う家の外壁はぼろぼろになり、屋根は吹き飛んだ。しかしすんでのところで私のメンタルは無事で、子供たちが寝静まった今こうして文章を書くことが出来ている。

お酒はほどほどにしなければならないという事を何百回目か、再び学んだ。


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