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温泉チャンス!その12【平田温泉】(2024.06.04)
逆に仕事で別府に来ていた。私一人で。
言い訳ではないけど、私は昼休み返上で仕事をしていた。そしてそれが一応片付いたので、帰社する前にひとっ風呂浴びていこうと思った。いいじゃない、別府だもの。
いつものようにGoogle Mapで「近くの温泉」を検索すると、一番近くにあったのは以前行った「前田温泉」だった。
前田温泉も素晴らしいところだったが、やはり新規開拓をしてみたい。まだ別府には行った事のない温泉が山ほどあるのだから。
そこで二番目に近い「平田温泉」という、公民館に併設された、基本的には地元の人が日常的に利用する共同浴場に行ってみる事にした。
平田温泉は住宅街の細い道の奥にある。駐車場はない。じゃあどこに車を停めたのかというと、近くのドラッグストアで買い物をして、そのついでに駐車場を利用させて頂いた。
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Google Mapの口コミによると、入浴料は100円とあったので100円玉と、保険で1000円札を持って行った(私は温泉に財布は持って行かないようにしている)。しかし入口付近のコカ・コーラのベンチに座っていたおじいちゃんが、別に尋ねたわけでもないのに「200円だよ」と教えてくれたので、私は自販機でいろはすを買ってお金を崩し、受付の缶々にお金を入れて男湯の暖簾をくぐった。
時刻は午後3時。そんな微妙な時間帯であるにも関わらず、3人の方(いずれもおじいちゃん)が入浴されていた。私は慣れた感じで、いかにも観光客ではない雰囲気を出して「こんにちは!」と挨拶をした。皆さん笑顔で「こんにちは~」と返してくれた。清々しい。
それから私はささっと服を脱いで体を流し、入浴した。お湯は丁度良い感じだった。無色透明で、サラサラしている。じわりと湯温が染みわたって、気持ち良い。
浴槽の横でおじいちゃんが地べたにぺたっと座って黙々と体を洗っていた。他のお二人はじっと目を閉じてお湯を堪能されていた。
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良い気持ちだった。天井や開け放たれた窓を見ていると「これはいつの時代だろう」という錯覚に陥った。平成?昭和?少なくとも令和であるとは到底思えなかった。女湯との仕切りがものすごく低くて、その横に立てば普通に向こうが見えてしまいそうだった。ユルい。
5分くらいお湯に浸かって、私は出た。長湯したわけではないが、汗は流れたし、ものすごくさっぱりした。建物を出ると、さっき「200円だよ」と教えてくれたおじいちゃんが「ありがとうね」と言ってくれた。もしかしたら単なる近所のおじいちゃんではなくて、温泉の管理者の方だったかもしれない。
温泉に入るといつもそうなのだが、視界がクリアに見える気がする。今回もそうだった。いつも薄っすら視界を覆っている霞のようなものが温泉を出てしばらくの間サァーっと晴れるのだ。
その時私は風や木々や町の匂いをいつもよりきめ細かく感じて、季節感を取り戻すことが出来る。いつも同じトーンで同じ色彩である景色が鮮やかになり、輪郭が明確になる。
今回も素晴らしい温泉体験だった。私は少しずつ別府という町に馴染んでいっている気がする。
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