さっちゃん（2024.04.24）

夕飯時、テレビで可愛い犬がたくさん出てくる。
特に柴犬がみんな大好き。妻や長男が釘付けになって見ている。

妻や長男は裏返った声で「かわいいーーー！」を連呼している。そして夕飯のおかずであるメザシを頬張る妻。メザシの小さい骨が嫌で取り除こうと必死な長男。難なく食べる長女。そもそも食べない次男。

トイプードルだけはなぜか犬と認めず、テレビにトイプードルが出ると途端に真顔になる妻。同様な長男。トイプードル嫌いなDNAでもあるのかと思う。

テレビではゴールデンレトリバーが主に出ていて、みんなの大好きな柴犬はちょっとだけしか映らなかった。だから妻と長男は「柴犬を出せ」とテレビに向かって無茶な注文をしていた。

その一方、距離を隔てた部屋で、うちの飼い犬である幸子（ポメラニアン♀）がケージの中でガサガサしている。そうだ、うちにもちゃんとした飼い犬がいるのだ。それなのによその犬を見て「かわいいーーー！」などと言って、なんだかさっちゃんが可哀そうだ。

でもなぁ、確かにテレビに映っているゴールデンレトリバーや柴犬はおりこうさんだよなぁと思う。一方のさっちゃんは多分メザシが欲しいのか、ケージの中でガサガサしていて落ち着かない。品がないなぁ。

夕飯後、結局メザシは大量に残ったので、私はそのうちの一本をさっちゃんにこっそりとあげることにした。私がメザシを持ってケージの横に立つと大喜びのさっちゃん。ケージの中で高速でぐるぐる回っている。

メザシをあげると、さっちゃんはほとんど噛まずに一瞬で食べてしまった。やっぱり品がない。でもとりあえずメザシがもらえて満足したのか、さっちゃんはその後は落ち着きを取り戻し、ケージの中で真っ黒な毛玉みたいにドテーっと横になっていた。

もうすぐ夜が明けて、そしたらさっちゃんを連れて散歩に行く。リードをめちゃめちゃ引っ張るので腹立つ事もあるけど、そうは言っても私はよその犬よりさっちゃんが好きだ。

でももう少し品があったらなぁとは思う。